Hyuga City Career Education Support Center
2026.07.23
先週、平岩小中学校9年生にて伊久良さんの後、5校時に芥川彩様をお招きし、よのなか教室が実施されました。私は同時進行で大王谷学園で授業を行っておりましたので、事前打合せと報告によりお伝えします。
芥川さんというより「あやべこ」さんと言えば皆さんご存知ではないでしょうか。この↓キャラクターグッズで有名なデザイナーです。

<無断転載はお控えください>
今回は、中心となるショップが道の駅にあるということで近い平岩小中学校の9年生の学習をお願いしました。

芥川さんの人生グラフ
中学1年の時にソフトボールに目覚め、実力ナンバー1の投手を目指し日々練習に打ち込まれたようです。初めはルールも知らなかったという方が最終的にはソフトボールで大学まで進学されることになるのですから、あの村上和雄氏の「『スイッチオン』の目覚める遺伝子」のことを思い出してしまいました。人間は「思い込む」ことによってまだ使われていない遺伝子が目覚め活動を始めるという脳科学のお話です。まさに、芥川さんは、自分の遺伝子を目覚めさせられたのだと思います。
今のお仕事は、先ほどの通りデザイナーとしてご活躍されています。オリジナルグッズの販売が中心となります。以前、私は失礼ながら芥川さんのことを存じ上げず、道の駅で「かわいいな」と思い、ハンカチを購入した思い出があります。日向道の駅だけでなく、駅の売店や宮崎空港、西都原、青島、鵜戸神宮などにもグッズは置いてあるそうです。また県外でも鹿児島や東京でも販売しているということで、「あやべこ」さんの語る「おひさまフレンズ」では「太陽がある限りみんな繋がってる。」というそのままなのですね。
さらに、企画コラボとして、焼酎や祭りイベントにてデザインが活用されています。今年の日向ひょっとこ祭りのデザインもあやべこさんの手によるものとなります。宮交バスの100周年記念でもデザインが使用されているとのことですから、バスに目を凝らして見てみたいと思います。

現在は土日限定で、道の駅では「AYABECO CAFÉ GALLERY」として軽食も出されているようです。そんな多方面にご活躍の芥川さんですから、ここまでの道のりでは乗り越えるために必要な人間力として以下の「4つの力」を提示していただきました。
1つ目に「相手を尊重し社会を理解する力」として「自分から挨拶すること」「笑顔でいること」です。これは芥川さん自ら実践されていることがお話してよく分かります。
2つ目に「自分を正しく知りコントロールする力」として「自己分析すること」「好きを見つけること」「前向きな考え方を知ること」です。芥川さんの人生グラフでは、子どもだんが誕生した後に仕事をどうするか考え、そこで「自己分析」されています。「自分は何がしたいのか」「自分は何ができるか」と、問い直した結果にこのデザインの道が拓かれたということになります。こういう冷静な自己管理・自己認識という分析力が大切なのですね。
3つ目に「課題を見極め解決の工夫をする力」では「聞く力」をストレートに挙げられました。「人の意見を聞くことで、自分では気付かなかった原因や解決方法が見つかることがある」と言われます。まさに私自身にも当てはまることなので肝に銘じたいと思います。
最後に「働く意義を知り、将来を切り拓く力」として「まず自分を『知る』こと」を提示されました。これは自己分析に繋がることだと思いますが、「自分を知った上で、世の中では自分がどの分野であれば役に立てるのかから考えていくのが良い」とアドバイスをいただきました。小中学生にはイラストレーター・デザイナーに憧れる子どもは多いと思いますが、こうして実際にデザインの世界で活躍されている方がこの日向におられ、その仕事の過程について学べるということは大変幸せなことだと思います。

最後に芥川さんは、「笑顔の意識」「好きを見つけて」「世界は広い」「夢中を探す」という4つの視点を生徒へ投げかけられました。ぜひ生徒の皆さんは胸に刻んで前に進んで欲しいと思います。デザインのお仕事に加え多方面で多忙な中、平岩小中学校にお出でいただき本当にありがとうございました。
【日向市キャリア教育支援センターから読者の皆様へお願いです】
いつもメッセージを読んでくださりありがとうございます。
このブログ及びLINEでは、普段のSNSなどでは言えない「ここだけの本音」や「ちょっとディープなお話」を特別にお届けしています。そのため、配信した内容はブログやSNSへ載せない(転載・拡散しない)のはもちろん「日常のちょっとしたお喋りでも『秘密』に格下げしておいてもらえると嬉しいです。
登録やブックマークしていただいている皆さんに、これからも濃いお話をしていきたいと思っていますので、秘密基地のような感覚でこっそり楽しんでください。
2026.07.22
先週、大王谷学園7年生の「よのなか挑戦」事前学習へ行ってまいりました。学期末も迫り何かと慌ただしい状況の中で、視聴覚室に学年が集合しての一斉学習となりました。これまでの事前学習の改善点を盛り込んだ内容にしましたが、それでも時間内に収まるか不安をかかえたままの実施となりました。

中等部校章
いざ始まってみると7年生の反応がよく、遠い後方の生徒もよく挙手し発言してくれたので嬉しくなり余計に進行が遅れたのかもしれません。
「うどんセット800円」から経費や儲けをどのように考えるかという「問い」を設定しました。生産者の立場で考えるという視点を学んで欲しかったので前半にそのような学習を位置付けました。活発に「税金」「給料」などと発言してくれます。どうしてもただ説明、通過するだけの講話形式では深まりが浅かろうと考え、対話的に進めました。その結果やはり時間不足になってきました。
それでも「山本由伸選手のボールをキャッチした青年」の映像や、課題対応能力・人間関係形成能力に関する動画は視聴して欲しかったので時間オーバーになりながらも見てもらいました。
今回は十分に準備をしたものの、学習形式との兼ね合いから削除するべき部分について検討が不十分だったことを反省しました。帰りがけには新たに「よのなか教室事前学習」の依頼も受けましたので、方向性は違うものの1クラス単位という設定の状況から、しっかりと学習できるのではないかと次回頑張ります。

アンケートでは「試してみることに失敗はない」という話に共感してくれた生徒が多かったです。また、生徒の感想に次のようなものがありました。「今回の前半の話では、失敗することを恐れてはいけないこと・よのなか挑戦の具体的な目的などがわかり、後半の話では社会の一員であることや大切なマナーについての説明が印象に残った。だから、2学期のよのなか挑戦のときは今回の講話で言われたことを意識して、体験を通じて色々学びたいと思った。」
大王谷学園7年生の皆さん、9月の社会体験学習「よのなか挑戦」をぜひ実りある活動にしてもらいたいと思います。我々も熱心な学習態度の生徒たちの期待に応えられるように頑張ります。

*<今回は一人での参加になり画像は一枚のみになりました>
2026.07.21
先週、平岩小中学校9年生のよのなか教室が実施されました。午前中はサーフショップ経営の伊久良城二様です。
自己紹介を兼ねた人生グラフから、ファシリテーターである担任の先生が「チャートから2つの山を解き出してみたいと思います。」となかなか導き方がお見事でした。伊久良さんはサッカーが好きだったそうですが、15歳のときにサーフィンと出会いのめり込んだそうです。すかさずファシリテーターが「このクラスでサッカーをしている人は?」と問いかけられ3名が挙手しました。また、「サーフィンをやっている人は?」では1名でした。人数は少なくても多彩なプレーヤーが揃う平岩小中学校です。

お店の仲間とのコンペの後に
ファシリテーターの先生とよのなか先生が教卓の前で椅子に座って進行されるので、親しみやすい雰囲気を醸し出していました。伊久良さんは、「20才までにサーフィンのプロになるから続けさせて欲しい。」と親と約束をされたそうです。目標を決めて区切ることで最大の努力をし、それが達成できなければ切り替えると判断されたそうですから、十代の頃にそういう決断ができていたのだと感服しました。また、将来に引き際がある可能性としての家業の引継ぎも考え、書道には力を入れて学ばれたとのことで、「五段」の腕前は今の仕事にも生きているとのことでした。また、あのシーガイヤ・オーシャンドームがオープンした頃、ドーム内でサーフィンをやっているのを私も知っているのですが、あれが伊久良さんだったと聞き、当時がフラッシュバックすると同時に驚きました。

よのなか先生伊久良さん
「今の仕事の悩みは?」との問いかけに「自分の好きなことを仕事にできているのであまりありません。というより、前を向くようにしています。」とのポジティブ思考を披露されました。これはその後も随所に登場します。
現在、日知屋小学校などではプールを利用したサーフィン教室を行っているとのことで、そこはぜひ生徒から「ウチもやりましょう。」と言って欲しかったなあと私の心の叫びです…。

SUNRISEサーフショップ
伊久良さんは現在、サーフショップとゲストハウスを経営されているということです。そのようなお仕事の中での「四つの力」についてお話ししてくださいました。

ゲストハウス オーシャンサイド
「相手を尊重し社会を理解する力」では「挨拶を心がける」「楽しむ」「自然を大切にする」「感謝する」の4つを挙げられました。日本の老舗サーフボードショップであるCHPの社長から「大人になったらサーフィンで恩返しをしなさい」と言われた言葉は胸に刻んでいます、という言葉は印象的でした。この「軸」がすべてに循環して今の伊久良さんの存在があるのだと合点しました。
この話の後に担任のファシリテーターから「先日バドミントン日本一の方と話す機会がありましたが、やはり『感謝することは大事だ』とおっしゃっていました。」とスーッと視点を転換する事例を挿入する辺りはお見事です。

ファシリ―テーターとの和やかなやり取り
「自分を正しく知りコントロールする力」では、「苦手な事を克服すること」「嫌なことがあってもプラス思考で考える」「体調を管理する」と伊久良さんは提示されました。
担任のファシリテーターは「体調管理というのはなかなか難しいですが、特におすすめすることはありますか?」と生徒に代わって質問され、「突っ走っていないで、一旦落ち着くことですね。」と冷静になることを話されました。この頃になると、13名全員の鉛筆が走っています。流石9年生ですね。
「課題を見極め解決の工夫をする力」では、「前に進むこと」「嫌なことから逃げない」「整理整頓」「他の人の意見を取り入れる」の4つです。「皆さん、整理整頓は大切だそうですよ。」と担任が生徒に問いかけると、生徒の中には後方のロッカーを眺める者もいました。(笑)
「働く意義を知り、将来を切り拓く力」については、「無理をしない事」「自分好きな趣味を見つける」「自分の夢を信じ諦めないこと」の3点を出されました。伊久良さん自身が、1日5ラウンドもスクールを実施し体調を壊した時期があったとのことで、体調管理に頷いている生徒がいました。スポーツの道を進もうとしている生徒だけに響いたのでしょう。

生徒はメモを走らせる
生徒から「ショップの経営とスクールの実施をされていますが、皆さんに伝える上で難しいことは何ですか?」と核心に踏み込む鋭い質問が出されました。すると伊久良さんは「初めての人への伝え方は特に気を遣います。さらに笑顔は大切だと思います。また、危険を回避させることや天候で左右されることにも気を遣います。」と返答されました。
また、「大きな壁にぶつかった時には最初に何をしますか?」の質問には、「乗り越えるために自分を信じて進みます。」とのことでした。さらに参観していた学校の先生から質問が出されました。「起業された時の大変さや喜びを教えてください。」これには、「自営は自己責任なので大変と思わないようにしています。来てくれる人が笑顔になることが自分にとっても喜びになります。」と、あくまでも人の幸せを願っての仕事であることを強調されました。ここにも「サーフィンで恩返し」が生きていると感じました。
伊久良さんは、「コロナの時は大変でした。県外からのお客さんに対してプレッシャーがかかり、自分もサーフィンを自粛したりしました。」と。また、経営に興味をもっている生徒がいると判断された担任は、「自分でお店を開きたいと思っている人は?」とタイムリーな投げかけをされ、男子生徒が「アップルやマイクロソフトのような大きな会社を経営したいです。」そしてもう一人の男子が「料理店を出したいです。」と夢を語ってくれました。
まとめとしての「今日から大切にして欲しいこと」では、「感謝の気持ちを持って行動する」「夢を見つける」「将来に向けて書き出してみる」「楽しむことを忘れない」という4点を挙げられました。さらに「将来に向けて書き出してみるというのはとても有効だと思います。宣言することはとても良いと思います。そしてそれをノートに書き出して現実化することが良いと思います」と丁寧なアドバイスを頂きました。
最後に日向市の魅力については、「日向はとてもよい街だと思います。田舎としての良さがあるから移住者が増えているのです。」と現状認識の視点を与えられました。そして「楽しいことを見つけて頑張ってもらいたいです。まだまだやり直しが利くので失敗してもまたやれる。チャレンジして欲しい。」とエールを送られました。

その昔地区の人の手で建てられた正門前で
授業は十分な時間を残したので、このあと生徒は残りのワークシートに想いを書き留めることができ、さらにQRコードのアンケートにも応えてもらう時間がありました。ファシリテーターもお見事でした。
伊久良さん、貴重な時間を割いて平岩小中学校においでくださり本当にありがとうございました。

シャカー(心をこめて、ありがとうございました)
2026.07.16
今週月曜日、よのなか教室が日向ひまわり支援学校にて実施されました。個人的には5年ぶりの訪問になります。現在も小学校は塩見小学校、中学校は日向中学校、高校は日向高校が日向ひまわり支援学校との交流会を継続していると聞き安心しました。
さて、高等部8名の生徒のみなさんに対して、認定こども園伊勢ケ浜保育園の青木雅矢園長ほか3名のスタッフの方と、(有)悟空マンガ倉庫の甲斐悟社長が学校まで来てくださいました。どんな展開になるのか大変楽しみでした。
空調の効いた作業室でお二人の仕事内容の説明と働く意義を含め、高等部の生徒たちに響くようなお話がありました。青木さんは、十五夜太鼓の演奏で威勢よく登場され、太鼓のリズムに生徒たちもノリノリになった状態でお話が始まりました。太鼓で人々を元気にするボランティアを長年継続され、ワークライフバランスとして一生懸命に取り組み、趣味も全力で楽しむことが大切だと説かれます。一人の生徒に趣味を聞くと「乗り物が好き」と答え、突然の質問にもしっかりと対応できる生徒たちのようです。

保育の仕事についても分かり易く説明され、子どもを大事に預かり成長させることはもちろんですが、この仕事があって初めて、預ける親の仕事を支えることになるので、結局保育の仕事は、たくさんの人々の生活をささえることにつながると話されました。改めて考えてみると本当にそうだと深く頷きました。そこには、預かってもらう保護者からの感謝の言葉はありますが、スタッフ職員も働く親でいられるので、お互い様として「ありがとう」の感謝の気持ちをもつことが大切だと強調されました。
大切にしていることは「コミュニケーションと笑顔」だと言われます。常に、子どもたちが安心して過ごせるように、親の皆さんが安心して仕事ができるように常に考えているとのことでした。

保育ということをリアルに考える例として童謡「はないちもんめ」をアニメ風のプレゼンテーションで提示されました。「誰ちゃんが欲しい」と指名した後で「相談しましょ」があります。この時、「誰がいい。いや誰ちゃんがいい。」と異なる価値観をすり合わせて合意に至るのです。違う考え方を受入れることで伝える力や相手を理解する力、そして最終的にまとめる力という過程を経ることになります。まさにこれはキャリア教育の目指す「4つの力」と合致すると思いました。また、プレゼン「はないちもんめ」の6人から始まった遊びは、獲得によって一方が5―1=4、5+1=6になり、その差2人という算数的な計算力もそこでは育ちます。
このように、遊び「はないちもんめ」一つを例にとっても、そこには実に多くの教育的配慮や意義が織り込まれているので、こういう遊びを通して子どもたちが成長できる環境をつくっていく使命があるとの話は生徒に深く根付いたのではないかと感じました。
2人目の甲斐さんのお話を参観しました。マンガ倉庫がエンターテインメントリユースショップであることの説明を生徒たちにプレゼンテーションされました。みんなの「楽しい」を集めたお店であることを目指している意味を、店内の商品の画像とともに説明され生徒も納得しているようでした。いずれも生徒が興味ある分野なので、生徒はすぐに話に没入することができたようです。甲斐さんが店舗経営のスタートをされた岐阜とは違い、日向ならではの商品としてサーフボードを置いているということでは深く頷く生徒たちです。商品は時代の流れに伴って人気が変動するので、それに伴い価格が流動的になることも分かり易かったです。それでもずっと普遍的な人気者もあると、アンパンマンの事例を出され、生徒全員「あ~あ」と納得でした。

しかし、もともとお店に人が持ってくる物は不要になったものであり、それを売るというのはなかなか難しいものだと強調されます。店の利益を見込んでの価格設定は売却するお客さんとの駆け引きになるため、双方が満足できる価格を提供できなければならない部分が難しいとおっしゃいます。それを本日は生徒に体験してもらいたいとのことでした。
リユースすることは「もったいない」の精神があるからこそであり、無駄をなくし、商品を大切に使う心、そしてそれが文化を未来へ繋ぐことになるとの信念を熱く語られましたので生徒によく響いたようでした。それでも時代に合わせて販売形態も変化させなければならず、最近のオンデマンド文化などの影響で、宮崎店では遂に漫画の扱いを取りやめたため、店名も「トレトレ倉庫」にしているとのビックリ情報も伺いました。

お二人の話を通じての生徒からの質問の時間になりました。
Q「マンガ倉庫で一番の人気は?」A「ポケモンカードです。」
Q「保育園の場所はどこにありますか?」A「伊勢ケ浜の近くで、イオンも近いです。」
Q「知り合いのマックブックはなぜ500円だったのでしょう?」A「詳しくは分かりませんが、起動しなかったとか、古い製品だったのかもしれませんね。」
後半はワークショップの時間です。2つのグループに分かれ部屋を仕切りました。甲斐さんの「買取価格を設定する」という勉強グループを見学しました。「呪術開戦」の第1巻と15巻が手元にあります。ヒントとしてお店ではどちらも220円で売っています。お客さんがこれを買い取って欲しいとお店にもって来た時、皆さんはいくらで買い取りますか?」という学習で大変興味深かったです。生徒は用紙に自由に書いてみますが、要領を得ない場合、200円と書いてみたりするので、近くの先生がアドバイスをします。すると「利益を考えないとね。」と段々、経費についても考えるようになり、その生徒なりの価格を設定するという面白いワークショップでした。これから社会に出る生徒にとってお金の計算は必須になります。そこを現実社会に照らして丁寧に分かり易く取り上げてもらったことは生徒にとって有意義な時間になりました。

もう一方の青木さんのところは、「ゴム風船を膨らませてネズミなどの動物を作る」というものでした。実演されると感嘆の声が聞かれ、割れずに見事に変化する風船には夢と希望が詰まっているように感じます。早速生徒も挑戦です。ネズミについては青木さんのアドバイスをもらいながら何とか完成させることができたようでした。一方、犬についてはねじる部分が多く、手強いようで苦戦している様子です。生徒たちは作った風船の動物で最後に飛ばしてみました。この飛ばし方にもコツがあり、尻尾に当たる部分を引き延ばして、反対の手の指でOの形を作った部分にネズミの体を押し付けて引っ張った尻尾を勢いよく弾き出し、その弾性を利用して前に飛び出させるというエントロピー弾性の力学を応用したものになります。ここにも青木さんの笑顔があります。生徒たちはその笑顔に引き込まれながらの貴重な経験ができたようでした。

お二人のお話とワークショップで、生徒たちは経験のみならず、生活していくこと、働くことの意味を体験活動を通して掴むことができたではないかと思います。高等部を卒業すると生徒は社会に踏み出します。何度失敗しても立ち上がり自分の求める道を進んで欲しいと切に願います。宮崎では失敗した時にやり直す受け皿の整備が遅れています。特別支援学校や特別支援学級の生徒たちが社会に適応していくために必要な環境を生徒目線で整えることが重要ですが、未だ追いついていないのが現状です。私たちも、こうして支援することで少しでもお力になりたいと思いました。そのためにも本日のようなよのなか先生の学習は大変なパワーを生徒に与えていただきます。今後とも日向市のすべての児童生徒にご支援をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
2026.07.15
先週、富島中学校にてよのなか教室が実施されました。1年生4学級が事前調査による希望を経て4つのグループに再編成されました。まず初めのよのなか先生は、多肉植物農家である髙橋友美様になります。このクラスには23名が入っています。

よのなか教室は例の通り「嘘つきクイズ」から入ります。意外にも「祖父はロシア人」という嘘にひっかかってしまう生徒もいて面白いスタートとなりました。小学校から成績が悪くて苦労したと話されましたが、それほど酷い状態でもなかったんですがねえ・・・。そして、中学では学業にとても苦労し、一念発起して親に嘆願し塾に通うことに決めたそうです。その甲斐あって段々と学力が伸びてきて、やればできると実感したそうです。この間にも生徒はとてもよくワークシートにメモをして話を聞き漏らすまいとする姿勢が感じられました。
髙橋さんは初め看護師をしていたのですが、仕事や人間関係に悩んだ末、趣味だった多肉植物をYouTubeにアップしたところ、瞬く間に登録者数が増え、本格的にYouTuberへの道を決め、同時に多肉植物一本で進んでみようと決断されたそうです。覚悟を決めると自然と交流世界が広がり、色々な人との出会いが待っていたようです。
Q:仕事の楽しみは? A:妄想で多肉の未来を考えることです。 Q:気を付けることは? A:気温が30度を超えると植物の管理が難しく、特に、水を減らす量が難しいです。交配がとにかく楽しい。 と、生徒との質問にも気さくに答えてくださいました。
5校時の後半は次の学級を見学しました。ここには31名の生徒がいて、よのなか先生は、歌手・MC・ラジオパーソナリティである小田かな子様です。ご存知の方も多いと思いますが、生徒も興奮気味でとても反応が良かったです。そういう生徒の掴み方うまい小田さんでもありました。幼稚園の時には「歌手になる」と絵手紙を書いていたという画像を提示していただいたので、夢の実現というワードが生徒には残ったのではないでしょうか。小6の時には現在のサインの原型をすでに練習していたということでした。「今やるべきことを一生懸命にやっているとご褒美が来る」ということを大事に活動し続けていると、ある時、千昌夫さんや吉幾三さんから声を掛けていただく機会を得て感激したそうです。そのような新しい出会いを大切にできたのは、母の存在が大きかったことを振り返られました。

Q:歌ってください。という質問ならぬリクエストに気軽に答えられ、A:十五夜恋歌を歌われました。(流石本物です) Q:お気に入りの演歌は? A:美空ひばりの歌「川の流れのように」です。と一部を歌われると、生徒も知っているのか、ミニ合唱のようになりました。
「4つの力」では特に、挨拶について想いを説明され、「一挨一拶」という禅語から来ていて、押し合いながら前に進んでいくことです、と深いお話でした。
続いて6校時になり、今度は30名がいる学級を見学しました。定置網漁師である髙田一人様がよのなか先生となっています。高校3年生の時、それまで行われていたサッカーの3校定期戦がなくなり、現在も続いている「紺青ウォーク」に変わったそうです。さらりと話されましたが、その当時の部員のショックは相当大きかったことと思われます。それくらい小・中とサッカーに明け暮れ、全国大会に出場するくらいの実力だったようです。ちなみに私もカンパしました。

大学卒業後、一度はIT関係の会社に就職されていたことが現在に生かされているようで、この日提示するプレゼンはビジュアルが凄く、私も教えていただきたいくらいです。宮崎県の漁業について地図や画像、グラフデータを含めて表示してもらったため、生徒は大変分かり易かったと思います。宮崎の近海カツオ一本釣り漁は、30年連続日本一となり435.6億円の収益を上げたそうで、現在カツオ一本釣り日本一の船には富中卒業生が乗っているという情報もいただきました。スマート水産業というこれからの分野として、データ化や獲りすぎない、持続可能サイクルなどの実践を紹介していただきました。
6校時後半は生徒が27名いる教室へ移動しました。よのなか先生は(有)天領うどん本店社長田崎澄様です。
食事を提供するお店だけに「5S」は徹底しているとうことです。説明するまでもないのですが、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の5つのSになります。衛生管理を徹底しないといけないので気の休まることがないのではないかと察しました。店長候補というスタッフ育成やホール、レジ管理など多様な形態の従業員を育成していく苦労もお話から受け取ることができました。ファシリテーターとなっている担任の先生から「(話に集中していた生徒に)○○さん、来年の職場体験学習はこちらでやってみますか?」と聞くと生徒は「はい、やりたいです。」と目を輝かせていました。お店は、セントラルキッチンスタッフがいて、数多くの店舗で味が変わらないように一括して味を統一管理しているそうです。だからあの美味しい味がどの店舗でも味わえるのですね。また、姉妹店である「ビッグパパ」は弟さんが経営されていて「チーズケーキがおいしいですね。」と言われることが喜びにつながるようです。田崎さんは、この仕事をしていて「おいしかった。」とお客様の感想をダイレクトにいただけることが嬉しいと話されていました。
質問の時間になりました。Q:店頭のオブジェの意味は? A:グリーンパークの現代アート彫刻展時のオブジェを引き取ったのです。 Q:うどんのメニューは? A:定番のほか季節メニューがあります。シンプルを基本としてあまり拡大しないようにしています。 Q:大変なことは? A:異物混入やクレームに気を付けています。
最後に中学生に大切にして欲しいことのお話では、とにかく挨拶ですと言われます。挨拶は人に敵意がないことを示す態度として大切なものだと力説されました。また、「LIFE Work Balance 」として、趣味やライフスタイルを大切にすることで仕事を長く続けられますとおっしゃいます。「田舎で暮らし、都会で遊ぶ」この視点は凄いと私はとても納得しました。さらに、日向は平均通勤時間が16分、物価は安く、自然が豊かで子育てがしやすいという大きな魅力を語られました。「4つの力」に関連して、何か起きたときは原因の把握と再発防止についてしっかりと協議することが大切だとのことです。その上で、どんな仕事も人の役に立つのであって、仕事に上下はないという言葉で締めくくられました。
最後にお礼の言葉を代表生徒が前に出て話してくれました。私は後方からこの生徒の直前の動きを見ていたのですが、この生徒は講話の後半からワークシートにメモした部分の中から別の小さなメモ用紙に印象的な部分を書き込んでいました。つまり、授業と並行してお礼の言葉を作成していたということです。授業の前に予め用意していた文章ではなく、学習中に自分が吸収したことを率直に伝えたこの生徒に感心しました。
生徒たちは2時間枠だったので4名のよのなか先生から2名しか聞くことはできなかったのですが、いずれの先生も富島中学校の卒業生であり、現在多岐に渡って大活躍をされている先輩でもありますから、充実した2時間を送ることができたのではないかと思います。お仕事を中断して後輩たちのために駆けつけてくださり本当にありがとうございました。それぞれのよのなか先生の詳細については後日お伝えします。
2026.07.14
昨日、細島小学校の職員研修会に参加しました。研修テーマが「エピソードシートを活用したキャリア教育の展開」になります。エピソードシートというのは以前紹介しました通り、日向で働く人が、仕事に就くまでの経緯や仕事を始めてからの苦労ややりがい、そして働くために必要な「4つの力」をご本人はどう意識しておられるのか、そういったことを1枚のプリントにまとめた読み取りシートになります。

日向市キャリア教育支援センターのホームページには以下のようなプルダウンメニューがあり、その中に「教材」という部分があります。そこをクリックすると、日向市で働く6人のエピソードを開くことができます。ただ、現在はパスワードが掛けられていますから、お問い合わせください。
その中のお一人、定置網漁師である髙田一人さんのエピソードシートを今回の研修で活用させていただきました。HPに掲載してあるシートより、さらに詳しく学年別に書き直したものを活用します。現在は5年生用、6年生用、中学生用と3段階に分けて文章表現をレベルアップさせています。実際に、市内の中学校でこのエピソードシートを活用した学習も行い、生徒に読み取りをさせているところです。
細島小学校の研修会では、キャリア教育の概論を説明した後に、演習として先生方に実際のエピソードシートの読み取りを体験していただきました。「苦労」はどのあたりに書かれているでしょうか。「やりがい」はどこでしょうか。そして「仕事の役割」はどこに記述してあるでしょうか。そうやって、髙田さんという一人の人物像に迫りながら、その「生き方」を追体験していくのです。実際の児童生徒の学習では、途中でペア学習を設定し内容の確認させます。そうすることで、「多様な考え方に触れる」ことを経験させたり、「異なった考え方を受入れる」ことを対話の中で学び取らせるのです。
最後に、髙田さんが考える「働くために大切な力は何でしょう」と問いかけ、「チャレンジすること」、「自分で考え行動し、人とつながること」を読み取らせます。これは「4つの力」を小学生向きに易しく表現したうちの「やりぬく力」や「見通す力」、「かかわる力」に対応していることが理解できると思います。
ここまでが、エピソードシートの読み取りになるのですが、学習のメインはこの後になります。すなわち、「自分はこれからどの力を身に付けていきたいか」そして「将来はどこへ向かう(希望の仕事)」のか、そのために「今からの自分の姿勢(自分の軸)」はどう形でづくっていくのか。そういうことをしっかりと児童に考えさせるのです。
今回の研修では最後の部分は説明だけにしましたが、1年間の中で何回も「自分の夢」と「軸」を考えさせる時間を作っていくと、本当にその方向へ向かっていけるという脳科学の研究もあるくらいですから、「思い込み」は役に立つという訳です。
エピソードシートを効果的に活用できるようになれば、わざわざ私がよのなか教室の事前学習に向かう必要もなくなり、また、よのなか教室の後にも異なるエピソードシートを活用して子どもたちに読み取らせることで、さらに違った職業観・人生観を考えさせる時間を提供できる訳ですから、これは使わない方がもったいないということになります。
細島小学校の先生方は、話に熱心に聴き入ってくださり、対話の場面ではエピソードシートから読み取った部分を答えていただきました。現役教師時代の私も立場上、研修を設定し話し提案する場面が多かったのですが、改めて学校現場での研修会に参加してみて、今の時代に応じた研修の提供が必要だと感じたところでした。現在、研修によって学校が変わるという各方面の専門家の著書などで勉強し直している最中です。リカレント教育を行っているというよりもブラッシュアップをしていることになりますが、よりよい研修の在り方について、請け負う者として責任ある内容を提供したいと思います。
7月はほかにもエピソードシート研修を実施する学校もありますし、よのなか教室での担任のファシリテーション研修も計画されている学校もあります。研修を通して学校を新たにリデザインしていくことは重要な修養の場となるという信念は昔と変わらず持ち続けたい思いです。
2026.07.09
先週日向中学校2年生全クラスでよのなか教室が実施されました。当日は5、6時間目に4名の「よのなか先生」に登場していただきました。効率よく2名のよのなか先生のお話を聞けるように学年を4グループ編成としました。
4名のよのなか先生は次の通りになります。(株)ケーブルメディアワイワイ 岩元明日真様、(株)ベルフォート日向 中村綺乃様、中村眞税理士事務所 代表 中村眞様、特別養護老人ホーム永寿園 川本進也様になります。4名の皆様の詳しい学習内容につきましては後日ゆっくりお伝えしますが、本日はよのなか教室の概要をお知らせします。
一人目が(株)ケーブルメディアワイワイの岩元明日真様です。企画、取材、撮影、編集まで何でもこなすオールラウンドのお仕事人です。

ご本人のプレゼンの中で私が印象的だった言葉は、「4つの力」のうちの「課題を見極め、解決の工夫をする力」に関して話されたことで、「そもそも自分に求められていることは何かを考える(上司・親・学校の先生)」という言葉です。仕事に埋没していると、目先の課題を解決しようと対処ばかりに目が向いてしまいます。それで解決した気になってしまいがちになります。しかし、この岩元さんの発言は核心を突いているのではないかと私は思います。原点に立ち返る。それがどれほど重要なことか、私はこの言葉で考えさせられました。これを中学生はどう受け止めたか表情を見たかったです。

二人目は(株)ベルフォート日向 中村綺乃様です。もともとは美容師の資格を取得され、関東で大変な活躍をされていたようです。ご家族を助けるために日向に帰って来られたとのことでした。

中村さんのお話で印象的なことは、「4つの力」のうちの「相手を尊重し、社会を理解する力」の中で、「相手の良い所を見つける力」や「相手の話を最後まで聞く力」そして「相手を否定せず、別の意見を伝える力」という3つの項目に特に引きつけられました。それはこの3つはいずれも「相手」目線なのです。自分ではなく、まず相手に対して自分がどう行動するかというところが接客業のプロだと感じさせられました。よく「I(アイ)メッセージ」という言葉もありますが、相手のために自分がどうあるべきかという視点があればこそ成立する仕事であることを再認識させられます。

三人目は中村眞税理士事務所 代表 中村眞様です。経営支援や事業承継など多岐に渡る日々の業務の中でもユーモアや趣味を忘れずに頑張ることが大事であることが伝わるようなプレゼンのようでした。それはお祭りやマラソン大会への参加で忙しい日々を下支えする原動力になっていることが分かります。

想像の通り、税理士という国家資格は試験が大変難しく、何年も受験してやっと合格するというほどの難関だと改めて知ることができました。特徴的だったのは、「自分を正しく知りコントロールする力」に関して、「こころの通信簿」と「職人手帖」と呼ばれているものを活用しているとのことでした。詳細は後日にしますが、私は「職人手帖」が気になりました。実際の業務内容を細かく洗い出し、自分は何ができていないのかを見える化しているそうです。自分ができていないことを客観的に振り返ることは大変重要です。その障壁となっているものまで見通してこそ開ける道がある訳ですから、実際に見てみたいと思いました。

最後の四人目は特別養護老人ホーム永寿園 川本進也様です。ご出身は広島県とういうことで、幼少の頃は祖父母と同居されていたことが分かりました。語られたかどうかは分かりませんが、お爺ちゃん、お祖母ちゃんとの生活経験が将来に大きく影響することはよくあることだと感じました。

川本さんが言われる「4つの力」のうちの「働く意義を知り、将来を切り拓く力」において、「誰のために働くかを考える」という言葉は、一人目の岩元さんの言葉にある「自分に求められていることは何か」に共通する自己の軸ではないかと感じました。「なぜ働くのか」では「収入のため」というのは現実的なのですが、それだけではとてもモチベーションが続きません。ですからきっと人は「他人のために働く」というのが前提としてあるはずです。その「他人」とは誰なのか。それを明確にできたときに、働く意義がより焦点化できるのではないかと、川本さんの言葉を聞いて考えたところでした。
私も九州内を転々として今宮崎に落ち着いているように、川本さんも広島から宮崎に来られました。多くの人が同じ場所に留まっていることはなく、大河ユーコンを流れる「旅する木」なのだと、ふとそんなことも考えてしまいました。

四人のよのなか先生につきましては後日詳しく紹介しますが、大変お忙しい中、業務を停止して学校に駆けつけてくださり、本当にありがとうございました。中学生、特に2年生の時期は、何をどう動いて良いのか途方に暮れる時期でもあります。分かっているふりをする時期でもあります。そんな中で、実際に社会人として日々奮闘されている方々から、大人になる過程や実社会での経験談を聞ける中学生は幸せです。日向中学校の2年生がこれらのよのなか先生から何を吸収できたのか、それが大変興味深いです。アンケート結果(の一部)と共に、後日お知らせしたいと思います。
2026.07.07
先週金曜日は当センター大繁盛の日となり、富島中学校と日向中学校で同時によのなか教室関連の学習を実施しました。私は前回6月29日の本ブログでお伝えしました富島中学校1年生のよのなか教室事前学習の残り2クラスについて実施しました。日向中学校のよのなか教室につきましては、スタッフからの報告を聞きながら後日お伝えします。
富島中の同一学年で学習内容に差があってはいけないのですが、どうしても「反省すれば改善する」という鉄則というか意地とでもいうのでしょうか、妥協せず今回少しでも良い形で伝えたかったので前回から若干変更しました。

前半部分は前回と同じで、「4つの力」(相手を尊重し社会を理解する力、自分を正しく知りコントロールする力、課題を見きわめ解決の工夫をする力、働く意義を知り将来を切り拓く力)へ導く学習です。その4つの力に対して自分の課題は何かと生徒に問いかけ、ペア学習後に発表してもらいます。その発言を受けて、そこから学級全員で考えてもらうようにしたのです。「私は相手の尊重が足りないと思います。」と発言してくれると、「今出た相手の尊重について自分も同じだと感じている人はいませんか。」とか、「この人は自分の課題を出しましたが、こんなところがいいと思う人はいませんか。」と言うと、「よく頑張っている人」と言ってくれる生徒がいます。
こうやって、オープンエンドの問いで迫るとどれも正解なので答えやすく、しかも対話が一対一にとどまらずクラス全体に広げやすいので、学習に対する全体のベクトルは同一方向を向くことになります。こういう主体的・対話的な学習を構成するところを前回と変えてみたのです。

次に、前回と同じ「山本由伸選手のボールをキャッチした男性」の映像を流し、4つの力のうちどれを身に付けている人なのかと4つの力を生活レベルにフォーカスします。これで生徒は4つの力の具現化イメージができます。さらにとどめを刺すように「感動ムービー」と呼んでいる「営業のプロ」「建築担当者」が登場するストーリーを映像で流します。終了後、登場する2人は4つの力のどれを持つ人だろうかと、自由に感じたまま発言させると、「相手の尊重」とか「将来を切り拓く力」など生徒が捉えたままの発言が繰り出されます。それでいいのです。自分の受け止め方によって、視点を変えれば、自分がより深く感動した部分はきっと自分の課題としている能力に合致するはずです。ムービーを学習中盤に組み込むと、ほかの部分を削ぎ落とすことになります。そうしないと同じ50分間には収まりません。それでもよかったと、生徒の表情を見て感じました。
最終的にこの時間の学習目標は「自分の生き方改善」ですから、ワークシートに「希望する将来の仕事」と「それに向かう自分の軸」を表明してもらうことにあります。将来の仕事についてはまだ迷っている、或いは描き切れない生徒もいると思うので強制せず、イメージだけとか、或いは「やってみたいこと」でも良しとしてプレッシャーを与えないようにしました。書き終えた生徒には聞いてみます。「私は将来医者になりたいです。それで相手の立場で物事を考えられるようにしたいです。」や「僕は将来イラストレーターになりたいです。だから人が喜ぶようなことを考えていきたいです。」と、この一時間の学習の目的と方向をしっかりと受け止めていてくれたことが嬉しくなりました。大切なことはほぼ全員が何らかの表明をできたかということです。書くことは脳に刻むことに繋がる重要な活動だと考えています。しかし残念ながら時間の制約上、全員の確認はできなかったので、後日ワークシートを見せていただくことにしています。書けていないのが悪いのではなく、なぜ書けなかったのかを私と本人が理解することが大切なのです。「分からないこと」を掘り下げていく。そのことが「正解のない問題に向き合う」ことに繋がり、これからの時代はそうしたクリエイティブな思考が求められるのです。もう、私たちが通過してきた「穴埋め式問題」を埋められる時代はとっくに終わりました。

QRコードから回収した前回と今回を併せた生徒のアンケートには次のようなものがありました。「自分がいままでしていたことがいいのかまちがっていたのかがわかった。」「わたしは将来の夢がたくさんありすぎて決めきれていなくてこれでいいのかなと思っていたけど、今日お話をしていただき、こういう人になろうというだけでもいいんだと安心しました。」「日向市の魅力を知って、地元を愛していこうと思いました。これからはずっと笑顔でいて、相手も自分も幸せになれるようにしたいと思いました。」「今まで相手の気持をあまり考えずに発言、行動していたから、次からはこの発言をしたら相手がどう思うか考えて行動したい。」「今日の話を聞いて失敗を恐れず、親にはただいまやありがとうを言うようにしたいと思った。また自分をコントロールし生きようと思った。」「ムービーがとても感動しました。」「今日の話で将来の夢を決められたのでとても良かったです。」「苦労があったとしても仕事のやりがいがあることがわかった。」「以前よりやりたいことなどがはっきりしました。」
良い発言ばかり掲載したように受け止められるかもしれませんが、ほとんどの生徒が自分の将来に対して前を向いて考えていこうとする姿勢が感じられる記述をしていました。
このように、生徒一人一人の受け止め方が大切になります。人の生き方は千差万別で、正解のない時代にこそ自分らしい生き方を手繰り寄せる力が必要となりますから、生徒には自分の納得いく人生を歩んで欲しいと思います。富島中1年生は今週4人のよのなか先生を迎えます。授業時間の都合上生徒はそのうちの2人のお話を聞くことになります。今回の事前学習での聞き取り方を生かして、2人の話からさらに「自分の軸」を確固たるものしていく部分を吸収して欲しいと思います。
2026.07.01
今日から7月。一年の半分が過ぎました。早いものです。
本日は「よのなか先生シリーズ」で美々津小学校を訪問していただいた金丸文武さんを紹介します。以前紹介しましたが、金丸さんは「世界2周したツワモノ」です。『世界の路上で生まれた奇跡6,000円とギターと寝袋を持って世界一周』という本も出されています。私は金丸さんの当時のブログを読んだのですが、それはもうハチャメチャで読者にとってはとても楽しい旅物語でした。
そんな金丸さんが子どもたちに紹介された人生グラフは、私や他の講師の方と違って、中学生以降「谷」がないのです。ずっと「評価10」で来ているのです。それほど納得いく人生を送っておられるのだと思ったところでした。

現在は美々津で居酒屋「ひなた屋」を経営されています。立ち上げの際にはこれまでの世界旅が役に立ったとのことで、人生は何があるか分からない、それを面白いと思うことが大切だと、話を聞いて受け取ったことを今でも覚えています。

よのなか教室のメインテーマである「4つの力」に関しては次のように話されました。一つ目の人間関係形成・社会形成能力に関しては、「相手のバックボーンを理解する努力をする」です。アメリカの国境の話やトルコでの路上での話をされました。確かに初めて訪れる町であり初めての国民であるため、どんな人が自分の路上ライブに集まっているのか分かりません。しかも言語もなかなか分かりません。ですから、相手が何を求めているのかを感覚的に捉えるという動物的な感覚も必要になるのだろうと思います。

二つ目の自己理解・自己管理能力については、「自分が輝く場所を探すこと」を路上での演出や場所選びを例に話されました。そして「そのためにはひたすら失敗を繰り返すこと」だそうです。確かに、どこでライブをすれば人がより多く集まるのかということが分からないと、一日の稼ぎすなわち、食事や宿泊に影響するのですからこれは一大事になります。人間の感覚は研ぎ澄まされてくるものだと納得しました。そのことを「忍耐。1ミリの一歩を刻む。」と表現されました。「三苫の1mm」ではありませんが、ほんのわずかな前進でたどり着ける場所があることを示していただいたのだと思います。

三つめの自己管理能力については、「相手が何を望んでいるかを読む」だそうです。それぞれの国でリクエストしてくる曲やバンドがあるため、鋭く、相手の言わんとすることを読み取る力が必要になるとのことでした。一つ目の「相手のバックボーン」とも共通することになるかもしれませんが、相手を知る事というのは重要なことになります。しかし、こだわりは大事だと言われ、「なりふり構わず稼げればいいっていうのはあまりいい結果はまねかない。」と、体験から滲み出た極意なのかもしれません。

最後にキャリアプランニング能力として、「自分のやりたいことをやる」と、ど・ストレートを投げて来られました。金丸さんならではの将来設計ではないかと思います。冒頭の人生グラフでもお伝えした通り、世界旅では数々の困難があったと予想されますが、それはすべて自分で踏み出したことであり、それを楽しみに変えて来られたからこそ人生を豊かなものに変換しながら過ごしてこられたのではないかと思います。正に私が通ってきたかったことを金丸さんは実行されているなあと羨ましくも感じましたが、私は「試すことに失敗はない」と子どもたちに話し回っている自分を思い出し、まだやれる、と密かに狙いを定めようと力をもらいました。

最後に、金丸さんから子どもたちに頂いたメッセージは、「価値は人が決めるものではなくて、自分で決めるもの」 これまでの話が理解できていると、すーっと入ってくる言葉です。そして「今は何も考えないでやりたいことをとことんやってください。」と、目標を決めることを促すキャリア教育の裏街道的な助言で一瞬ひやっとしましたが、「好きなことをやる、そして、やっていることをすきになる。」と同じだと思い返しました。「Do what you like,Like what you do.」

私はこの写真がとても印象的でした。雪の降るとある町に夜到着して。今から宿探しをしなければならない状況です。言葉も伝わらない異国の小さな町で夜にトボトボと荷物を引いて歩きながら、どこに宿があるかも分からず、ただ勘を頼りに街中心部らしい方面へ向かってみる。もしかしたら宿はないかもしれない。でもあるかもしれない。ない時、その時はその時。そういう気分だったのでしょうか。それにしても雪が降っているので、絶対、凍死できないですよ。そんな状況でよく撮影できたと思う一枚です。

こうして、改めてよのなか先生の生き様を振り返ることができるのは有難いことだとつくづく思います。自分が人生の終盤に差し掛かろうとしている中で、年齢に関係なく実に色々な人たちの人生に触れられるというのは、自己のキャリア形成に再び火を灯してもらっている気分になります。役得だと思っています。
金丸さん、これからも刺激的な発信をお願いします。
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