日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.11.02

ふるさと学習~財光寺南小学校5年生

 11月に入りました。個人的には明日の「五十猛神社大祭」が気になります。天気はよさそうなので、秋晴れのお祭りになりそうです。

 

さて、先週、東郷学園若竹分校の体験学習についてお知らせしました。私は、そのまま、財光寺南小学校へ向かい、5年生のふるさと学習(総合的な学習の時間)「日向市の魅力を再発見しよう」を参観しました。

 

これは当センターが中心的に支援している「よのなか教室」とは若干異なり、職業に特化した調べ学習の一環としての総合的な学習の時間になります。したがって、内容は講師の仕事に関する話題が中心となり、資料としてのプレゼンテーションも講師が準備するもになります。この日は、日向市観光協会の立石一真さんです。

私が、とうきゅう農園から学校に到着した頃には、観光地の説明をされていました。

「クルスの海」と名付けたのが細島八坂地区の原田一郎さんで、その場所を観光名所にしようとしたのが商工会議所青年部YEGのメンバーだそうです。検討の末、「願いが叶うクルスの海」と命名したということでした。現在はさらに、「日向坂」まで名付けられ、今年のライブ中止の後には、駅のレンタサイクルが最大3時間待ちにまで拡大し盛り上がったそうです。

 

日向の魅力は、「自然×人=魅力」であり、「文化×人=魅力」と考えることができるという説明でした。海や山を基盤にした観光名所や大きな祭り、碁石などの伝統文化が日向市を支えているというお話に児童は熱心にメモを走らせていました。

ふるさと学習でありながらも、「将来どんな大人になるか」との問いを立石さんが投げかけられたのには、キャリア教育に迫る問いかけで有難く感じました。「外に出ても自信をもって日向を紹介して欲しい。帰りたくなったら帰ってきて日向を盛り上げて欲しい。」と、まさに我々が担うキャリア教育の一つのねらいを代弁していただいたことに、ふるさと学習型の出前授業もキャリア教育の一翼を担っている実感が持てました。

 

次の4校時は隣の学級でまた立石さんが同じような内容のお話をされました。内容については省きますが、5年生では授業の冒頭で、自分たちが調べた内容を班が発表し、次に専門(観光=立石さん)の立場から講話があるという、一単位時間に学習がきちんと構成されていることを感じました。

質問の時間の子どもたちの問いがなかなか的を得ていました。「コロナ以前と比べて観光客の人数は増えましたか。」や、「観光の仕事は地域のどの範囲までするのですか。」「立石さんのお勧めの観光地は。」など、実に深い質問でした。回答は、それぞれ「だいぶ回復してきました。」「日向市だけでなく、延岡、諸塚、或いは鹿児島県という周辺観光にも詳しくないと、国内外の観光客に対応できないので、広く勉強し守備範囲としています。」「馬ケ背、クルスも好きですが、本谷の水神様も好きです。」と、丁寧に答えていただきました。

財光寺南小学校は、このように1年間の探究学習を自分たちでの調べ学習と、出前授業を組み込んだふるさと学習、そして、生き方を追求するよのなか教室にまで発展させながら計画的に総合的な学習の時間を構成しています。まさに、理想的な学習だと言えます。

 今後3学期へ向けてどのようにまとめ、表現していくのか楽しみです。

 

本日早朝5時、財光寺の五十猛神社前を通ると、神社社殿では厄入りのひょっとこ踊り舞踊隊が2日間の無事祈願をしている場面が下の鳥居から見えました。赤着物の背中が「今から始まるぞ。」と気迫を感じさせました。25年前、私もあの場にいたのでその実感が伝わってきます。

朝6時を回ると、各隊がそれぞれのルートで地区内を回ります。朝のランニングを終えて汗を流していると、「ピーヒャララ」と笛の音色が聞こえてきました。その音にすかさず孫が反応し、心躍る様子でした。ただの秋祭りではないので一般には、その全貌は見えにくいのですが、一生で一回しか訪れないチャンスとなる五十猛神社のひょっとこ踊り隊が明日まで踊り回ります。(地区によってはプラス1日があります)

さらに明日は、五十猛神社大祭となります。冒頭の財光寺南小学校が午後の各地区舞踊隊のスタート地点となり、大盛況となります。また、明後日このブログで報告する財光寺中学校の吹奏楽部も参加するということでした。私も地区壮年部の一員としてサポートし、地域一体となって秋の財光寺地区を盛り上げていきたいと思います。

午後9時からの境内での総踊りは圧巻です。約1年をかけて準備してきた厄年の男たちが、2日間計30時間以上踊りまくり、最後に境内で無心にひょっとこ踊りを奉納する姿には心打たれるものがあります。あまり知られていないのでご紹介します。(餅まきもあります)

2026.10.30

体験学習~東郷学園若竹分校

   明日で10月が終わります。台風が過ぎ去り秋の深まりが一段と早くなってきました。

今日は、実りの秋に相応しい体験学習についてお知らせします。

 

東郷学園若竹分校については、お陰様で少しずつ理解・認知が進んできたのではないかと思います。今回、若竹分校の生徒が学年ごとに分かれて市内各所で体験学習を行いました。活動場所が分散しているので当センタースタッフは分かれて見学に行きました。私は、後で小学校の参観へ向かう関係で、美々津地区にある(株)東九のとうきゅう農園に向かいました。とうきゅう農園様には昨年度、寺迫小学校でのよのなか教室にご協力いただいた関係で今回お願いをし、若竹分校の生徒の体験活動を快く引き受けていただきました。こちらでは実際に、就労継続支援B型の事業所として働いておられる方々も多く、野菜の生産や加工品の販売などを手掛けておられる会社なので、その高いノウハウをお持ちですから安心してお願いできました。

 

数人の生徒たちは、ピーマンの計量の方法を学び実際に袋詰めを行いました。ピーマンはそれぞれ形と大きさが違うので指定の重さに揃えるのはなかなか難しい作業です。初めは手間取っていた生徒も慣れてくると、どれくらいの個数で適切な重量になるのかを見繕うことがスムーズにできるようになり、手ほどきをしてくださる方から褒められるまでに上達しました。計量すると袋に入れますが、販売する際に見栄えよくなるように考えてピーマンを袋詰めする作業が段々とスピードアップしていきました。

 

一方では、赤く熟した「赤ピーマン」を袋詰めする生徒がいます。こちらも段取りよく袋詰めができるようになりました。袋をテープで固定する器具はバッグシーラーというらしいのですが、生徒はガッチャンと下まで下ろしてテープで固定されると「オオーッ」とその仕上がりの良さに感嘆の声が上がりました。

 

とうきゅう農園のほかにも、道の駅とうごうやスーパーやまさ、(株)あくがれ蒸留所、スマイルホーム360の事業所の皆様にご協力をいただき、若竹分校の生徒たちが体験活動やインタビューを実施することができました。地域の皆様のご厚意で一人の児童生徒も残すことなく、社会へ出る準備としての体験活動が実施できていることに感謝申し上げます。ご理解とご協力、本当にありがとうございました。

 

明治から平成までに活躍した仏教詩人坂村真民(しんみん)の詩に「人間づくり」という詩があります。

 

どんないい種でも しっかりと土作りをし

たっぷりと肥料をやり うんと光と水とを与えてやらねば いい花は咲かない

日々の努力 念々の精進 その果てに 見事な花が咲き 見事な実が実り 

真実な人間が出来あがる

花作りも 人間作りも同じだ

 

おいしい野菜をつくることと、花や人を育てることには共通する土台づくりがあると読み替え受け取りました。そしてその上に「育む」という日々の献身的な支えがあってこそ期待に応えて人として成長の花を咲かせてくれるということなのでしょう。

 

あと少しで、この生徒たちも社会に出ることになります。色々な立場の多くの方々の支援を受けながら自立していくことが求められるので、日向市はこれまで同様、温かい地域社会であって欲しいと願うばかりです。

2026.10.28

研究~市教科等研究会

 先週、平岩小中学校にて日向市教科等研究会での総合的な学習の時間部会の研修会が行われ、その内容については一昨日にお話しました。

この教職員の研究会というものは、一般の方には分かりづらい研修だと思いますので、本日は、教職員の一つの研究会(全体的には「研修」)についてお話をさせていただきます。個人的な一つの見解としてお受け止めください。

 

 全国のどの自治体でも、教職員には研修会があります。形式、内容はそれぞれでしょうが、日向市でも昔から、「教科研究会」というものが存在し、教職員は何らかの研究会に参加しています。現在は、教科以外の総合や特別活動など、教育領域が多岐に渡るため教科に「等」が付いています。

そもそもの話ですが、各学校の教職員には自分のもつ校務の分掌がなされています。主免教科が中心となりますが、小学校では学生時の専門教科ではない場合も多いです。教科以外にも学校では、道徳、特別活動、総合的な学習の時間もあるため、どの指導内容でももれなく担当教員が配当されています。ですから例えば、算数(数学)と道徳の「主任」を任されるというように年度初めに決まる訳です。ところが、職員数の多い学校であればそれで良いのですが、少ない小規模の学校ではそうもいかず、一人でいくつもの「主任」を兼務することになります。そうなると、一斉に全教職員が研修会をする日などは、どうしても片方の部会にしか参加できないので、もう一方の部会には欠員(欠席)が出るということになります。

 

また、学校教育には様々な「〇〇教育」を指導しなさいとの文科省の方針が示され、それについても誰かが担うことになります。我々が推進している「キャリア教育」もその一つですし、環境教育や金銭教育、統計教育、食育、性教育、人権教育、防災教育、小中一貫教育、安全教育、清掃教育・・・など実に多くの「〇〇教育」があり、それぞれに担当が「主任」として割り当てられます。この「○〇教育」はお飾りではなく、きちんと各校における教育構想を立てなければなりませんし、年間の計画も立てておかなければなりません。想像しやすい例として、清掃教育は毎日の活動ですから、主任は、学校の敷地・教室分の全校児童生徒の人数割りと清掃の手順計画、時間帯による子どもの動き、そして、実働中の用具の過不足手配等、この担当は猛烈に忙しいのです。校内の清掃状況があまりよくないと矢面に立たされ、反省を受けてその担当が新たな一手を提案しなければなりません。本人が学担で部顧問だったりするとどうなるか、想像に難くないと思います。

〇〇教育 

さて、主務としての「教科等研究会」の話に戻ります。

この研究会では、日向市内の小中学校の教職員がそれぞれの担当教科等(道徳、学級活動、総合的な学習の時間を含む)に分かれて、一堂に介しテーマに基づいた研究を行います。年間に3~4回程度実施されています。基本的に自分たちの研究の検証は子どもの変容によって確かめられるので、授業研究が基本となります。(授業研究を実施しない部会もあります。) そこで、年度初めの研究会にていつ、誰が研究授業をするのかを決めます。勿論、立候補、挙手で決められれば良いのですが、なかなか各自諸事情を抱えている人もいて、研究授業となると率先して立候補できない場合があります。

昔、血気盛んな若い私は、日向市内の若手教職員を10数名集めて毎月1回、中央公民館にて夜に実践研究報告会を行っていました。いわゆるサークル活動です。そういう意気盛んな集合体に所属していると、先ほどの市内の教職員での研究会にて授業者を決定する場面では、率先して手を挙げていました。(いわゆるメヤガリですな…ミヤガリ?)

メヤガリ

 

思い出話として、ある年には、そのような大きな場での研究授業を9月から3カ月連続で実施する羽目(もとい幸運)になったこともあり、流石に若い私でも相当体力の消耗をしました。たかが授業を公開して、授業後の研究会(反省会)で叩かれるくらい、とお思いかもしれませんが、2カ月以上前から「指導案」という授業計画を、当時B4版の用紙(手書き)で5枚程度書いていました。その内容の検討会が校内の職員研修会で開かれ批評され、修正が必要となります。そして当日の教材(提示物)などを作るのですが、当日用だけでは子どもたちを自分の理想とする学習内容の理解や授業方法のルーティーン獲得まで高められないので、その単元に入ると数時間以上はそのようなベストの状態で毎時間授業をする準備が必要になります。ですから、授業公開の当日が終わると、成功の有無にかかわらず、どっぷりと疲労感に包まれます。(大概の場合、授業はうまくいかないのですが。)

 

あの頃、運動会は秋の一日のお祭り

 

しかし、そうして研究授業を数多くこなすことで、多くの諸先輩方にコテンパンに批評されながら実力をつけていくことができました。上記の三カ月連続の大きな研究授業だけでなく、市内や県内での研究授業、そしてその成果を踏まえての九州大会での発表など、大きな舞台で授業研究を続けてきたからこそ、その後の平常の授業でも本質に迫ることにはこだわり続けることができたのだと自負します。

それ以降も校内外で研究授業をする機会はありましたが、信念としては「一年中70%の授業」を維持してきたつもりです。研究授業を多くの教職員に公開するとなると、「ここ一番」ですから力が入り、多くの掲示物や学習パターンなどを駆使してビジュアル的に見ごたえのある授業を公開する場合があります。それはそれで構わないのですが、そこだけが煌びやかでも、平常の授業がまったく「冴えない」授業では、子どもの成長はあまり期待できません。私は一年間を通して確実に学力の向上を図るのが一番のねらいですから、授業の準備は何とかして毎日時間をかけました。最大の見ごたえ抜群の授業を満点100%としたとき、毎日そんな準備はできないので、一年を通して毎時間70%くらいの力量(資料だけでなく、授業時間の子どもへの指示ややりとりも含めて)の授業を心がけてきました。そうすると必ず一年後に子どもの変容として結果が付いてきます。「先生、私は理科が一番好きです。」や「先生、うちの子、算数の時間を一番楽しみにしています。」などの嬉しい声を聞くのが何よりの喜びになります。

 

最近のよのなか教室事前学習

 

私の研究会での話を広げてお話しましたが、このようにして現在でも市内の小中学校の先生方は、校内外で研究会を続けています。それは研究が教職員の使命だからです。時代の流れに沿った形で、現在のベストな授業の提供を研究し続けることが教職員としての価値であり、その変容が子どもの姿で還元されなければなりません。そのためにも、不要な雑務は削減されるべきだと思いますし、研究ができる教職員として、保護者も地域も温かく見守っていただきたいと思います。

 

今回の日向市教科等研究会の総合的な学習の時間部会では、講師を招いて講話を聞くというスタイルでした。こういう外部講師を招聘して違った角度から新しい情報を得るというのも研究の基本になります。それは他の部会でも取り入れられていることと思われます。その上で、授業実践を公開して多くの人から批評を受け、力を付けていく教職員が一人、また一人と増えていくことが理想の形になるのは間違いありません。

 

教職員がこのような研究会や基礎研修会などに参加するには出張という形が必要になります。以前は、堂々と子どもを自習にして出かけていました。それに対して保護者から何ら不満も出ませんでした。それが教職員として必要な任務だからです。しかし、現在は、「働き方改革」が先行し、さらに、子ども達に自習の時間をできるだけ少なくなるように配慮する結果、一つの策として小学校では午前中5時間授業によって午後3時以降であれば児童に影響が出ず出張がしやすくなりました。(中学校では授業入れ替えによって自習はほぼ無い場合が多いです。)さらに、このような研究会や研修会そのものを減らすことで、児童生徒から距離を置かずに、できるだけ当該校で子どもに寄り添えるように出張回数を減らしているのが現状です。

 

昔、研究にいそしんでいた私にとって、この現状は危惧しています。教職員はどんどん研究会や研修会で腕を磨くことが必要ですし、そのためには子どもたちも自習を受入れ、頑張って、その自習すら学級全体の学ぶ力の向上へ向け、自己の弱点の確認と捉えてもらいたいのが本音です。とは言っても、自習環境が成立せず、誰かの監督なしには静寂な自習は望めないのでしょうか。或いは、部活動指導を任され、夜遅く帰宅する身では、そんな余裕ができないのかもしれません。世の流れというものは、甘くはないようです。

永遠に続く教育という人を育てる営みに課題はつきものですが、地域で解決できそうなものについては、大人が一致団結して解決していければ一番よいことです。 どんな状況でも議論によって突破する。人類の英知がそこに凝縮されているのではないかと思います。

本日は、教職員の研究環境の向上を研究の視点から、一般の方にもご理解いただきたく、先日の市内研究会をベースに自分の経験を交えながら出しゃばってお話しました。現在の教育環境とのズレがありましたらご容赦ください。

2026.10.26

総合的な学習の時間部会 研究会

 先週、平岩小中学校を会場に、市内教職員で構成する総合的な学習の時間部会の研究会が行われましたのでお知らせします。

 

 キャリア教育の要は、実は特別活動になります。学校における「特別活動」の分野は、学級活動(学級会と学級・学校への適応指導など)とクラブ活動(小のみ)、委員会活動、学校行事になります。この中の学級活動における「学級・学校への適応指導など」の時間は年間数時間において将来への希望・準備や進路としてキャリア教育を実施することになります。ここでは、「自分の将来は」なとどじっくり考え、自己実現できるように指導を直接的に行うことになります。そして、その指導を受けて委員会活動や学校行事などに生かしていくという意味で「要」になるということです。ところが実際に現場では、キャリア教育として、この前の学級活動とこの行事を繋げて考えるという思考過程はできにくい状況です。

 さらに、年間数時間の学級活動(進路関係)のみでは十分な効果を上げることができないために、総合的な学習の時間を活用し、講師を呼んだり体験活動を行ったりして、児童生徒の将来への希望を確かなものにしていけるように計画されています。

 ですから、我々キャリア教育支援センターが関わる部分は、主に、総合的な学習の時間における講師による「よのなか教室」ということになります。中学校における「14歳のよのなか挑戦」(社会体験学習=職場体験学習)もキャリア教育として総合的な学習の時間に位置付けられますが、センターとしては今後、生徒への事前学習や教職員・事業所向けの研修会の充実という方向にシフトしているところです。

 

 体験学習を担う総合的な学習の時間では、日向市が目指すキャリア教育の理解は在職、転入職員を問わず必要なことですから、こういった研修の機会を捉えて呼んでいただけるのは有難いことです。

 

 今回のお話は、「キャリア教育と特別活動をつなぐ実践と評価のデザイン」をテーマにしました。まずは、日向市のキャリア教育の取組について説明しました。このブログを読まれている方にはご理解いただいている内容になりますが、意外にも学校現場にはキャリア教育を、環境教育や人権教育、性教育などのように多岐に渡る「〇〇教育」の一つとして捉えられる嫌いがあることから、十分に行きわたっていないのが現状なのです。

 

 日向市のキャリア教育の方向をお話したあとで、特別活動へのつなぎと評価について話題を移しました。

 ① なぜ、総合的な学習の時間と特別活動に評価を重点化することが必要なのか。

  ・ 「総合的な学習の時間」と「特別活動」を往還することで、個人の内省が実践へと昇華する。

 ② 総合的な学習の時間での「探究学習」で、「探究」と自己変容を促すことの必要性について。

  ・ 試行錯誤や他者との対話を通じて、価値観が揺さぶられる過程そのものがキャリア形成。

 ③ 総合的な学習の時間から特別活動に接続する「探究」の学びを実践へ向けることについて。

  ・ 総合で深めた探究的な学びや自己理解を、学級活動や生徒会活動、学校行事などの集団活動・実践の場で、他者と協働し役割を発揮する場づくりのデザインとして行う。

 

 

 次に、それらの学習活動を繋ぐ場合の変容を捉える評価のデザインについてお話しました。具体的な評価の方法はルーブリックで提示しました。ルーブリックとは評価マトリックスのことです。下の図表を見ていただくとお分かりになると思います。評価項目と評価レベルが一覧になっていて、右端に自己評価をチェックするようにしているものです。(今回の研究会へ向けて作成しました。)

 

「総合&キャリア」ルーブリック

 

 一般的にはこれでルーブリックを提示し評価するということができますが、本来のルーブリックでは、評価される者、すなわち、児童生徒と共にこのルーブリックを単元の初めに確認しておくことが最も重要になります。この単元は、どのような学習が展開され、この段階では自分がどの位置にいると客観的に評価できるものになります。そして自分はどうすれば、より高いレベルに到達できるのかが分かっていること。これが重要です。

 したがって、一単位時間ごとに自己評価を行い、確認した授業担任がその児童生徒の自己評価をチェックし、担任の評価と一致していない場合や、評価が低い場合には、個別に呼んで指導することが大事です。「君は『C』にチェックしているけど、なぜ『C』にしたの?」という問答で児童生徒の学習意欲の向上と自己有用感を定着させることができます。

 そして何より、子どもが「現在の自分は、ここまで理解できている。到達している。」「次回は上のレベルに上がるように努力しよう。」と自覚することが最も大切です。すなわち「自己変容の自覚」であり「メタ認知」になります。自分が何を学び、どの位置にいるのか。次はどうすれば高みへ上れるのか。それこそが学びの原点であり、自己変容へ繋がるものになります。

「合唱コンクール連動」ルーブリック(中学校用)

 

 そういうことをお話し、評価のための評価ではなく、子どものメタ認知を促し、自己変容を自覚するための評価であることをお伝えしました。年間にかなりの時間数を設定する総合的な学習の時間こそ、体験活動や講話活動などを探究的に実施することで、特別活動を実践の場と意義付けることができ、それぞれが効果的につながることでさらに教育効果が高まります。その一連の流れの中で児童生徒の変容を克明に記録していくのが評価になるということです。

 理想的な学習展開についての話で、実際の学校現場ではルーブリックを提示した評価なんてのんびりとやってられない、という心の声が聞こえそうですが、100年近く前から研究されてきた学習評価ですから形を変えながらも意義や効果が叫ばれているものです。私はコツコツと実践を積み重ねていくことで、最終的には児童生徒に浸透していくと思っています。子どもが自己評価をしていくことは、将来的にも節目節目で自己を振り返る点検(自己確認、認識)の役割を果たす習慣として有効であると思っています。「メタ認知」というと堅苦しい言葉ですが、現在の自分の位置を客観的に知るという行為は、何歳になってもどの社会的位置に立っても必要かつ有意義なことです。

 

「参考になった」との声をいただきました

 

 研究会の最後に提案としてお伝えしました。日向市の総合的な学習の時間部会から市内小中学校に、総合的な学習の時間部会からの提案として、特別活動との繋ぎを十分に考えたルーブリック評価を子どもと一緒に創り上げていくことを市内学校で広く展開していければ良いですねと。すぐに実行することは難しいかもしれませんが、どなたか一人でも教職員に火を点けることができれば幸いです。それほど現場は多くの課題を背負っているので、外部からの話を「はい分かりました。」と簡単に実践できるほど容易ではないことは十分理解しています。キャリア教育の展開が児童生徒の「生き方の軸づくり」に効果があることを頭の片隅に焼き付けていただきたいと願っています。そのために日向の「よのなか先生」は無償で、「自分らしい道を歩みなさい」と子どもたちの背中を押してくださっているのですから。

研究会最後のアンケートには「今日教えて頂いたことをぜひ校内へ伝達したいと思います。」などの声もいただきました。有難いことです。

2026.10.23

富島高校 文化祭&体育大会


 

一昨日、富島高校の文化祭『輝柏祭』が行われましたので、午後に参観してきました。学校運営協議会として協力している関係で、できるだけ学校の様子は見ておきたいと思っています。

午後は3年生によるクラスごとの演劇でした。体育館ステージで華麗に衣装をまとった3年生は正に青春そのものです。体育館の音響設備があまりにも良くて効果音の方がセリフより大きくなる場面もありましたが、笑いあり真面目なセリフもあって、出演者そのものが楽しんでいる雰囲気が伝わりました。会場の生徒や保護者も演目中は静かに見守り同調し、15分間の演劇を温かく鑑賞しているようでした。

 

女子生徒が多いクラスの発表で、王子様が自分の妃を探す旅に出る物語があり、6人の妃候補の最後に登場した姫が、「私は、自分の人生は自分で決めます。だから、貴方の思い通りの生き方はできません。」と王子様に主張すると王子は「まさに貴方のように、お互いを信じ合い共に歩んでゆく人を探していた。」と感嘆の声で結ばれるという結末でした。この2人のセリフは、なかなか深みのある言葉です。相手に依存しない、かといって、突き放すのではなく寄り添って理解しあいながら前に進んでいく。そういう生き方こそ、これからの時代にも相応しい生き方になると、演劇セリフに盛り込める視点に感心しました。

 

一日明けて昨日は富島高校の体育大会でした。台風30号の影響で前倒しとなり本日となりました。秋晴れ快晴ですが、日陰のテント内は強い風ために相当寒かったです。長袖を持参すべきでした。

 

開会式の10分以上前から生徒はグラウンドに整列着座し集合していました。乱れることなく整然と開式を待つ姿から、学校が落ち着いていることが伝わりました。

そのような良い校風ですから開会式も安心して見ていることができました。校長先生の「個性の伸長と皆さんの団結力を発揮するように。」との挨拶に続いて、来賓の話と競技場の注意までスムーズに進みました。生徒会長は「楽しく、全力で。」と、体育館に掲げられていた生徒スローガンを訴えました。その後の選手宣誓は各団代表が指揮台に集まり「キビキビとした態度」を宣誓しました。ちなみに団編成は、白団、緑団、黄団、赤団、青団の5団編成です。

準備運動が終わるとプログラムが始まりました。まずはエール交換です。中学校までのイメージとは違い、内容は応援団に任せられているようです。1番バッターの白団は何をするのかと思いきや、「妖怪ダンス」でした。可愛く、孫に見せたかったです。その後の緑団から青団までは女子生徒も学ランを着て、正統派に可愛らしさをプラスした味のある応援を工夫していました。中には上半身裸で筋肉ムキムキの生徒もいて、彼らのパフォーマンスは多くの保護者の目も引き付けていました。

 

 競技の1番目は、多人数で息の合ったチームワークが問われるHR(ホームルーム)対抗の「10人11脚」です。1年生の部から3年生の部まで3試合が行われます。事前に打合せや練習を行っていたとは思われますが、それでも足並みがそろわず、一度崩れた体勢をもとに戻すのはなかなか難しかったようです。両足が一度に左右の仲間から引っ張られ、開脚状態で哀れに前面に転倒する姿は、申し訳ないですが笑いを誘っていました。

 

 次は、HR対抗学年別リレーです。高校生になると専門的に陸上競技を行っている生徒も在校しているので、全ての生徒を同一条件で競技させるのは差が開きすぎるため、富島高校では工夫がなされていました。予め計測したタイムによりハンディを設定しているそうです。トラックのコース内にワープラインを引き、条件に合致するチームはその内側のラインを走って良いことになっていました。校長先生いわく「予行練習での真剣な競技」があったので、本番の本日も生徒たちは不満はまったく見せずに競技に臨んでいました。

 

 時々ありがちな観客へのアピールをするような茶目っ気も見せず、どの生徒もチームの仲間から受け取ったバトンを握りしめ、全力で走る姿に私は感動を覚えました。次回の学校運営協議会で富島高校ではどのような生徒が育つのか、育てようとしているのか(いわゆる生徒像とそこへ向けた取組)を質問しようかと思っていましたが、本日解答を見ることができました。やはり富島高校は「全力」です。見ていてとても気持ちの良い生徒たちの全力で取組む姿勢が伝わってきました。校風は生徒と先生、そして保護者が一団結して作り上げるものです。伝統はどう引き継がれているのか見てみたいと思い開会式から参加して良かったです。残念ながらリレーまでしか見ることはできませんでしたが、時間が許せば午後まですべて見たいと思える体育大会でした。


別視点で目に留まったことがありました。グラウンドに引かれているライン石灰です。ワープのラインがピンク色で、テイクオーバーゾーンのラインが青色でした。つまりカラー石灰なのです。ここ10年ほどでしょうか、登場してきていることは聞いていましたが、実際に使用しているものを見るのは初めてでした。その昔私は、交差点の複雑な区分はカラーのラインにすれば良いのにとか、学校グラウンドの石灰もカラーにして色分けをすれば良いのになどと思っていましたが、それが現実になってきました。時代は確実に変化しています。

 

それでも、若人の熱気は今も昔も変わらないようです。すでに私の「あの頃」は50年、半世紀も昔のことになってしまいました。今も、当時の文化祭や体育大会のことはありありと覚えています。はて、思い出を振り返り平穏を維持しながらも尚も生を求めていくのが五木寛之「下山の思想」だったかと、著書がふとよぎったところでした。それはともかく、若者はこれからの時代を力強く、前を向いて、意味ある人生を進んで欲しいと願いながら、紺碧の秋空と秋風に送られ、清々しく富島高校の門を出ました。

2026.10.21

読書とキャリア教育

  

 

 風が涼しくなり読書に良い季節になりました。以前気になっていた読解力に関する東洋経済オンラインの記事を書き留めていたので要約して紹介します。

 

「なぜ現代人の読解力は低下しているのか?「ちゃんと読めない・聞けない人」が急増する”7つの要因” 」

 

概要

全国学力・学習状況調査(令和6年度)において、中学3年生の国語の平均正答率が低下するなど、学年が上がるにつれて読解力の伸びが鈍化しています。書籍『読解力は最強の知性である』によると、日本人の読解力が低下している背景には7つの要因が存在します。

 

読解力が低下している7つの要因

1. 読書量の低下

月に1冊も本を読まない人が過半数(62.6%)に達しており、文章に触れる絶対量が不足しています。

2. 会話量の低下

スマホ依存や対面機会の減少により、インプット・アウトプット双方の機会が失われています。

3. スマホの受動的使用(思考停止)

思考を必要としないアプリや自動化された利便性により、人間が言葉を使って考える機会が激減しています。

4. 認知機能の低下

ストレスやマルチタスク、テクノロジー依存により、物事を多角的に捉えて解釈する認知プロセスが衰退しています。

5. 短文・不正確なSNS文章に触れる機会の増加

スラングや背景を欠いたチャット・SNSの受動的閲覧は、大きな文脈や論理を読み解く力の向上を阻害します。

6. 世代間コミュニケーションの減少

異なる価値観や未知の語彙に触れる機会、相手に配慮して伝えるトレーニングの場が減少しています。

7. アウトプット不足

単なるシェアや受け売りではなく、得た情報を自分の頭で咀嚼し「自分の言葉」で表現・定着させる機会が不足しています。

<まとめ>

SNS上で他人の投稿を安易にシェアすることは、論理的な解釈や思考プロセスを欠いた単なる情報の受け売りにすぎず、アウトプットとは言えません。読解力を高めるためには、得た情報を思考停止で拡散するのではなく、自分の頭で意味や意図を深く咀嚼し、借り物ではない「自分の言葉」で表現することが不可欠です。

                                       以上

 

正に!「自分で書きなさい。」と私自身に言われていることだと自省します。

 

さて、読書とキャリア教育には、「自己理解・職業理解の深化」と「社会で必要な汎用的スキルの育成」をつなぐ非常に深い関係があります。それは大きく分けて以下の4つの柱に整理できます。

■読書がキャリア教育にもたらす4つの効果

1.  視野と選択肢の拡大(自己理解・職業理解)

o   伝記やノンフィクション: さまざまな生き方・職業・価値観に触れ、「自分はどんな生き方をしたいか」「世の中にどんな仕事があるか」を学ぶきっかけになります。

2.  汎用的スキルの向上(能力形成)

o   読解力・論理的思考力: 情報を正しく理解し、整理して考える力が身につきます。

o   語彙力・表現力: 自分の考えを言葉にして伝えるコミュニケーション能力の基盤となります。

3.  想像力と他者理解(人間関係構築力)

o   物語(小説など): 登場人物の立場や感情を追体験することで、多様性を尊重する姿勢や人間関係を良好に保つ共感力(EQ)が養われます。

4. 自発的学習習慣の定着(生涯学習能力)

o   探究心: 「知りたいことを本で調べる・学ぶ」という能動的な姿勢は、変化の激しい現代社会において自立的にキャリアを形成し続ける力(主体性)につながります。

これらを一言でまとめると、

   読書は「自分らしい生き方・働き方を見つけるための視野」と、「それを実現するために必要な本質的なスキル」を同時に養う強力なベースとなります。

   私の例を紹介します。私が市内小中学校を訪問し授業の中で紹介している「試してみることに失敗はない」のフレーズはデイル・ドーデンの著書『仕事は楽しいかね』に出てくるものです。この一文は結構、中学生にはピタッと来る(最近的には『刺さる』?)ようで、授業後アンケートの自由記述では「試してみることには大きな勇気は必要ないんだということが分かりました。なかなか一歩を踏み出せなかったのですが、これからはどんどん進んでやってみたいと思います。」などの文章をよく見かけるようになりました。

 

 

   本の中には、自分らしい生き方を支えるフレーズが散りばめられています。一生勉強のつもりでこれからも読書を続けたいと思います。

読書の秋になりました。睡眠導入にもいかがでしょうか。📚

2026.10.20

子どもの夢実現サポート

 昨年10月16日のブログで日向市の「子どもの夢実現サポート事業」の報告会を以下のように紹介しました。

産業医を目指す大王谷学園7年生、飲料メーカー商品開発担当を希望する財光寺中生そして、プロ野球選手志望の財光寺中生の3名です。

明晰夢のイラスト

ただの夢

 

 本年度は2名の中学生が夢の実現へ向けてのサポート事業に選考され、実際の体験活動を経て来月に報告会が行われる予定です。昨年の3名の報告でも分かる通り、単に応募して当選し体験をすれば終わりというものではなく、いかに自分が将来へ向けて、その目標を切に願っていて努力しているのかをプレゼンし、アピールしないことには候補になることすらできません。そこには高いレベルの表現力が必要です。また、実際の活動に当たっては、専門分野の大人と対峙する訳ですから、高い対応力を求められます。自分が今何をしたいのか、どういう方向を目指しているのかを具体的に、的確に言語で表現できなければ薄い目標だと捉えられかねません。

 昨年発表した3名は、大きな希望と自分が培った対応力や表現力、そしてその分野に対する知識・理解を総動員して活動し、報告をまとめたと感じました。

将来の夢

 

 さて、今年の2名はどのような生徒でどう体験してきたのか。何を獲得してきたのか。個人的にも興味津々です。日向市が10年近くに渡って子どもたちの夢の実現をサポートしてきた事業ですから、それが体験者のみに終わらず、夢の実現過程を聞くことで他の生徒も何らかの学びを得るものであって欲しいと思います。

 

話によると、この事業での体験活動がそのまま自分のキャリア形成につながり、現在の職業として成立している方もいると聞きました。日向市の「よのなか先生」としてすでにご活躍をいただいていることで、事業とキャリア形成が見事にマッチした事例ではないかと思います。

また、初代からすれば、ほかにもすでに社会人になっている人もいることでしょう。その方々がどのように夢を実現させたのか。また、当初の夢とは違った形で現在は、新たな目標のもとに将来を見通した仕事に就かれている状況もそれなりに意味ある生き方になります。日向で育った子どもたちが自立していく過程をキャリア教育の観点から応援できることに喜びを感じることは有難いことだと思っております。

夢日記のイラストアーティストの男の子のイラスト(将来の夢)農家の男の子のイラスト(将来の夢)シェフの女の子のイラスト(将来の夢)

 

 光陰は飛ぶように過ぎ去っていきます。あと二カ月余りで今年も終わり、また一年が過ぎ去ります。学生諸君はトコロテン式に学年が上がっていきますが、本当にその学年で身に付けるべき学習や生き方の能力を獲得して進級・進学しているのか振り返って欲しいと思います。今一度足元を顧みながら人生という大きな学校で、残された自分の時間を有意義に「自己実現」させていくことが大人のサポートだと思います。

 

 最近、ある人が「半径5m以内の人を幸せにする」という今年の目標を話されました。そして上半期にそれをかなりの割合で達成できたと言われました。この「半径5m」という視点はとても面白く、かつ大変難しい指標でもあります。家族内での位置関係だけではなく、職場における5mであり、仕事を離れた関係での5mでもあります。こういう具体的で実現可能か不可能かのギリギリの線での目標設定というのはできそうでできないものですが、とても参考になりました。


 

長い人生の中では、一見無駄と思える時間を過ごすことも意味あることです。しかし一方で、伸びようとする者を巻き添えにするような時間は本当に無駄で無意味なのかもしれません。何の生産性もない行為に過ぎません。もしそのような意味のない行為で時間をつぶし、他人の幸福追求や夢の実現を阻害するような時間を、この大事な人格形成期(およそ18歳まで)に過ごしているとしたら、早めに軌道修正をしてあげた方がよいと思います。「子どもたちの先生」である私たち日向の大人が一人一人の夢の実現へ向けて適切に支援できるように努めたいと思います。自分の周りにいる人の幸福を支える自己の在り方は美しいと思った次第です。

 

来月の夢実現サポート事業報告会については、発表会後にお知らせします。

2026.10.19

日向市のキャリア教育~「通信」

 

 キャリア教育支援センターでは年に2回通信を発行しています。市内小中学校の長子家庭へとよのなか先生を中心に配布しております。今回の特集は「14歳のよのなか挑戦」と銘打っている社会体験学習(職場体験学習)になります。親(保護者)としては、自分の子どもが実際の働く現場で3日間をどう過ごすのか、どのように鍛えられるのか気になるところではないでしょうか。また、働く親としては、中学生が職場にやってくるという3日間は、大変扱いが気になるのではないでしょうか。一部の担当だけに任せず、全社(公務含めて)挙げて若い中学生にどう「世の中」を知ってもらうか、中学生に自社はどう映っているのか、色々な意味でこの3日間を迎えていただきたいと思っています。意義付けをどこに置き、双方が価値を見出していくことで、経費以上の有意義な時間として生み出されれば幸いです。(ビシビシご指導いただきたいというのが本音です。)

 

 

 キャリア教育通信は本日から順次配布していく予定です。


 

 また、日向市キャリア教育支援センターでは、児童生徒が事業所を調べる際に有効なガイドブックを毎年作成・配布しております。藤屋印刷(株)様が発刊元です。市内中学2年生全員には冊子を、小学生のためにデジタルデータを8月に配布しました。この『日向お仕事図鑑』は全国的にも珍しいガイドブックで日向市のキャリア教育が誇れる一つの有形物になります。これと同様に、今回の通信も日向市が取り組むキャリア教育が「4つの力」を中心にして、児童生徒が「自分軸」をつくりながら力強く生きていくための教育として市内一斉に展開しているところです。

 よのなか教室と同じくよのなか挑戦において、生徒は事業所での体験活動の中でどのように「4つの力」や「今後の自分の在り方」を考え、修正していくのかを獲得してもらう体験活動になります。そのようなことを詳しく書いていますので、夜の家事完了の時間あたりにじっくりと読んでいただければ有難いです。内容をもとに中学2年生に「どんなことをして何が見つかったのか」などを話すきっかけにしていただき、その前後の学年生には、過去の体験済みのこと、未来へ向かうことなどのお話をしていただきたいと力を入れて作成しました。ご活用をお願いします。

 

【お知らせです】

 来年1月24日(日)に市役所周辺にて「日向YEGフェス2027」が開催されます。日向商工会議所青年部が、体験活動を通して日向を盛り上げるイベントになります。今回は目玉として、「体験活動部門」に事業所から出店していただき、幼児から中学生までを対象とした職業体験のコーナーを予定しています。子どもたちに日向で体験できる仕事を実際に経験してもらい、将来の働くというイメージを少しでも思い描いてもらえたらと、青年部が企画しました。まさにキャリア教育につながる活動になるという意味で当センターも協力させていただくことにしました。

 「それなら日向の子ども達のために自社でできそうな面白い体験をさせてあげようじゃないか」と、出店に興味のある方は商工会議所青年部宛にご連絡ください。

2026.10.15

よのなか挑戦発表会~日向中学校2年生

 10月6日午後、日向中学校の発表会があるとの連絡を受け参観してきました。「14歳のよのなか挑戦」すなわち職場体験学習の発表会になります。当センターではもう一つ社会体験学習という言い方も使用しています。公的・一般的には、この社会体験学習の方が通りが良いようです。しかし日常、事業所の方々や保護者一般の方々とお話する場合は職場体験学習の方が理解されやすいです。その一方、日向市では当センター発足当時から社会体験学習を推進・支援していく中で中学2年生を対象としてモデル校3校を設定し、キャリア教育の一環として展開していく上で「14歳」が世の中に挑戦していくという意味合いから「14歳のよのなか挑戦」としているところです。高校になると就職をイメージしてインターンシップとして体験学習を実施している所もある関係で、「職業体験学習」と呼んでいる部分もあります。義務教育の中学生では、職業を体験するのではなく、あくまでも働く現場で大人がどう立ち向かっているのかという働く意義や課題の克服方法、さらに職業を通した生き方まで学んで欲しいとの意味合いから職場での体験活動としているところです。そういう意味を包括して社会体験学習と呼んだ方がよさそうです。ですから日向市の独創的な取組としては「14歳のよのなか挑戦」はかなり前進的なネーミングと言えます。

 

 さて前置きが長くなりましたが、先週の日向中学校での発表会は各教室を含めた2階で実施されました。それぞれの体験活動先ごとのグループに分かれ、パソコン、モニターを活用して要領よくまとめたプレゼンテーションを行っていました。生徒は発表者として自分の役割を果たし、また、参加者としてきちんと聞き取り、メモをする姿に学びの可能性を見出しました。また、私は参観者として中学生くらいにありがちな無反応を覚悟もしましたが、質問の時間には的確な疑問を投げかける生徒も見られ、質の高い学習をしようとしている生徒の存在も確認できて良かったです。

 

 今回は時間を多く割いて参観することができずに残念でしたが、生徒たちの成長過程において、この社会体験学習が大きな意味をもつことを実感するのはもっと成長してからでしょうか。大人になって振り返ったときに働くということの意味と生活していくことの大変さを実感するのだろうと思います。この体験学習は事業所の皆様の大きなご厚意とご負担のもとに成立しているので、学校や生徒の側も3年間の中の大きな学習活動の一つと捉えて全校的な取組として位置づけていただきたいと願っています。「全校的」とは、キャリア教育を1年生から3年生までに計画的に位置づけて、どの学年でも「自分軸」の獲得と更新を繰り返しながら「自分自身の社会的役割」すなわち「今の自分は人としてどうあるべきなのか」について深く考えられる学生生活を送って欲しいと願います。「そうは言っても…」と現実的な多くの課題があることも承知していますが、PBL(探究的な課題解決学習)を成立させることは大変重要な現代の課題になります。正解のない社会で自ら課題を設定でき、それを追究していく者こそが現代に生き残れる。簡単に言えば人生を楽しめるのだと考えています。

 子どもには幼少期から「それでどうする?」と常にAnd Nextの視点で問いかけ、考えさせる習慣を身に付けさせることが大切です。ですから大人は分かっていても先回りして教えないことが大事です。もっともそのうち、子どもの疑問に答えられなくなりますから、早いうちに「どうだろうね?どうやって調べようか?」の方がよろしいのではないでしょうか。小さいからといって「こうせえ、ああせえ。」と指示をしたり、ゲームばかりに夢中にさせていたりすると考えることをしなくなる子ども(大人)に成長させてしまいます。

 

 「14歳のよのなか挑戦」には多くの意味が込められています。中学2年生の中の1つの行事ではなく、生き方を問う「人間学」というには壮大過ぎかもしれませんが、日向の大人達が広い心で受けて立っているという意味も読者の皆さんが子どもたちに伝えていただきたいと願います。

 事業所の皆様のご協力に感謝いたします。ありがとうございました。

2026.10.14

室蘭キャリア教育シンポジウム

 先週、北海道室蘭市のキャリア教育シンポジウムに参加しました。北海道の10月はさぞ寒いだろうと覚悟をして向かったのですが、気温は日向とそれほど変わらない3日間でした。長い報告ですがお付き合いください。

 

シンポジウム当日の午後、開会セレモニーは商工会議所会頭の挨拶に始まり、すぐに講演になりました。基調講演のテーマは、「学校と地域・企業をつなぐキャリア教育の仕組みづくり~産学官親の連携が創る新しいキャリア教育~」であり、1人目が私です。

 私は、「『自分軸』をもった生き方を育む日向市キャリア教育の取組~「4つの力」の獲得を目指して~」という演題でお話をしました。実は、室蘭市は本年度からのキャリア教育センターの立ち上げに当たって、昨年度日向市に視察に来られていました。その縁があり、今回講師に呼んでいただいたという経緯があります。私の話は、日向市民にとっては日常的にこのブログでお知らせしているような内容です。「よのなか教室」や「14歳のよのなか挑戦」をキャリア教育の中核として位置づけ、それに事業所がどのように関わっていくのかという一連の仕組みについては、今から始まる自治体には参考になるのではないかと自負します。日向市のこれまでの13年間の経緯と現在の取組について、コンパクトにまとめてお話させていただきました。

 

 

 2人目は、一般社団法人キャリ・ラボ291(フクイ)代表理事 山村直主(なおゆき)氏の講演です。

 演題は「地域で人を育て、地域の未来をつくる~学校・企業・地域をつなぐキャリア教育の仕組みづくり~」です。これからキャリア教育に取り組み始める自治体では、日向市のように行政からのサポートが受けられない場合もあることを理解した上で法人化したセンターを立ち上げようとする方向性もあります。福井市でも山村さんが率いる会社がキャリア教育を牽引しておられます。

 

 福井市では、企業におけるキャリア教育として、KIYOKAWA工業(株)での人材育成の先行事例を紹介されました。大人も学ぶ企業の探究型教育を推進しているそうです。時代は企業の社会的責任CSRの時代から共通価値の創造CSVの時代へ変化していることは勉強になりました。以前から企業は社会に積極的に貢献するということが求められていましたが、現在は、CSVとして企業も社会(市民、子ども)も同時に価値を高めていくという取組が重要になるということです。つまり、CSVで「向き合うべき課題を自分事化する」ことが一人一人に求められるという訳です。

この事例としてKIYOKAWA工業(株)の一人一人の社員に「個人パーパス」を作成させる取組を紹介されました。入社時の目標から5年後、10年後にそれぞれの自分の位置から将来を描く(言わば、「キャリアパス」:注;山之内)を更新させていくという取組です。具体的には、新入社員が、当初は社内でのキャリア発達を目指したパーパス(目標)が、日向市で言うところのよのなか先生などの経験を経て、年数と共に変化し、社会貢献を意識するようになって、現在は市内小学校のPTA会長として尽力する位置に高まったということでした。この関係から本人の「個人パーパス」が更新されていく過程を紹介されました。企業の社員に深くキャリア教育を浸透させている福井市の取組を興味深く聞かせていだたきました。

 

山村さんは「キャリア教育の地域の5つの意義」を以下のように提示されます。①次世代の人材を育てる ②関係人口をつくる ③経営課題を見直す機会になる ④社員自身の成長 ⑤地域の未来をつくる。

これらは日向市のキャリア教育推進における意義と一致するものが多くあります。私は特に、4つ目の「社員自身の成長」について山村さんがこれは「キャリアの棚卸し」になると言われたことが印象的でした。社会人講師として学校で子どもたちに関わることで自分自身のキャリアを見つめ直し、自分こそ成長できているのかを確認することに繋がるのでこういう表現をされたのだと思います。ご本人に「日向でも使わせてもらいます。」と承諾を得ましたので活用させていただきます。

 

長くなるので福井市の取組について後は簡単に紹介します。

 「キャリアドリフト型」を2020年から取り入れていること(キャリアを決めつけず、柔軟に対応していくこと)、ポータブルスキル(基礎的・汎用的能力、社会人基礎力;これは日向市と同じ)など、流石に時代の先取りをされています。また、福井市キャリア教育プログラム事業の仕組みとしては、現在福井市の「認定キャリア教育コーディネーター」(経産省)取得者14名全員が市内企業の社長である点は驚きでした。山村さんと別席でお話した際に、学校へアプローチするには「教育に精通していることを示す肩書が必要だから」だそうで、そこから積み上げていく姿勢に熱量の大きさを感じました。さらに、これはとても大事な視点なのですが、学校の教育目標を実現するためにキャリア教育の力を活用するという姿勢を明確にすることで、あくまでも福井のキャリア教育は学校教育の一環として位置づけていることを学校に印象付けることでは成功していると言えます。「福井にある資源を一つずつ教育に」のキャッチフレーズのもとに広くそして確かにキャリア教育を展開されていることがとても刺激になった講演でした。

 

 続いてパネルディスカッションに移りました。

 全体進行としてのモデレーターに室蘭工業大学特任教授/キャリア・サポート・センター長である相津佳永氏、そして室蘭工業高校長の菊池裕幸氏、白蘭学園校長の松岡賢晃氏、桜ヶ丘幼稚園理事長の杉山英子氏、PTA連合会長の春木一喜氏、登別室蘭青年会議所理事長の吉田鉄矢氏、室蘭商工会議所委員長の今野香澄氏の計7名が登壇されました。

 4つのテーマでの議論となりました。以下1つずつテーマに沿って簡単にお知らせします。

①今の子どもたちは、室蘭とつながっているのか。

  ・幼児期には世の中に色々な人がいて色々な仕事があることを知ることが子どもたちの可能性を広げていくことになる。・自分も地域の一員として関わりたいというところまで小中9年間の学びをつないでいくことが学校の役割になる。・高校ではM-Conと言われるコンソーシアムの仕組みを構築し、結果として地元企業に就職する割合が増えた。・保護者が地域の企業や仕事を知る機会を増やすことが大切である。・企業がもっと前面に出て、地域の魅力を伝える必要がある。・室蘭は「鉄の町」として知られているが、実際には地域の企業がどんな仕事でどんな技術をもっているのかというところまで知られていない。

 ②地域ぐるみで育てるとは、誰が何をすることか。

  ・室蘭の「子ども未来指針」として学校だけではなく地域の力を学校の中に取り入れていくことが重要だ。・高校でも実社会との結び付きをよりリアルな「自分事」として実感できるようになることが大切である。・企業が日常の中で子どもたちとつながる場面を増やす必要がある。・幼児期にこそ実体験を積み重ねることで知的好奇心が満たされるので、本物にたくさん出会わせていく経験が必要だ。

 ③室蘭キャリア教育センターは何をするべきか。

  ・学校と社会をしっかりつないでほしい。・人と人、学校と企業、学校と地域をつなぎながら、室蘭全体で子どもたちを育てる仕組みをつくっていただきたい。・地域や企業との横のつながりと校種を超えた縦のつながりがセンターの役割だと期待する。・企業が協力したい時に気軽に相談できる役割を担ってほしい。・室蘭の企業や仕事についての情報発信を継続的にすることが重要である。

 ④明日から何を始めるか。

  ・幼稚園では小学校との連携を密にするようにする。・義務教育課程において、自分は地域の役に立てるという自己有用感を育てたい。・高校では今後のコミュニティ・スクールへの移行に合わせて、地域とともに歩む持続可能な学校づくりを進めたい。・PTA連合会として、地域の仕事やキャリア教育の情報を保護者につないでいく。・青年会議所として、企業見学や働く大人の話を届ける機会を継続し、子どもたちが大人のリアルに触れる機会を充実させる。・SNSなどを活用し仕事を知ってもらう情報発信は有効である。

 

議論のまとめとしては、「子供は地域の未来そのもの」「誰かに、どこかに(キャリア教育を)任せない」「共に地域が連携する」このことを全体確認し、同時にシンポジウムも閉会しました。

今回、遠い室蘭まで呼んでいただき他地域のキャリア教育推進について学んだことで私のキャリアは確実に向上したと思いますが、室蘭にも何らかの視点を差し上げることができたのなら幸いです。また、シンポジウムで得た私の課題は、日向市の子どもたちにいかにキャリア形成を促すか、そしてそれはどのような形で子どもたちの成長に蓄積されたのかをしっかりと把握することが大切だと改めて実感しました。その上で、子どもたちが確実に日向市を支える存在に成長できることを把握していくことが責務であると痛感します。それは子どもたちが市内に留まることのみを目指すのではなく、外からも確実に日向市を支える大人に成長してもらえるように、さらにキャリア教育の重要性と確かな教育への浸透を図っていきたいと思います。

 

 冒頭で日向市と変わらない気温だと書きましたが、室蘭市内の至る所でナナカマドの紅葉が始まっており、3日間がたまたま高い気温だったのだと思われます。帰路夕方、日向市駅(日向坂46駅:期間限定)に降り立つとまだ暑い中、翌日からの十五夜祭りへ向けた舞踊隊の練習が佳境を迎えていました。南北に長い日本列島はやはり大きな気候の違いがあることを感じつつ、キャリア教育の熱量はどの地域でも熱く上昇していると肌で感じた出張となりました。室蘭市の皆様、大変お世話になりました。共にキャリア教育の推進を頑張りましょう。(室蘭市の方々もこのブログを読んでくださっています。)

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