日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.09.17

ひなた場~飯野高校+加久藤中学校

 

 先週、えびの市飯野地区コミュニティセンターにて「ひなた場」が実施されました。以前このブログで延岡旭中学校高鍋西小学校での「ひなた場」についてご紹介しましたので、ご存知の方も多いかと思います。全国的には「かたり場」と言われている、中学生や小学生が初対面の大人や高校生などと対話をする「人生学習」になります。リードするのは年長者ですから、いかに年長者が年少者に自分を語れるか、或いはじっくりと否定せず受け入れられるか、そのことに成功の鍵があります。

 

 今回、飯野高校普通科探究コースの3年生14名と加久藤中学校3年生26名が参加し、グループに分かれて会話の場が設定されました。編成の方法や詳細については、以前のブログで紹介したので省略しますが、高校生に対して中学生が1対1で自分史(人生グラフ)を提示しながら語り合うというものになります。残りの中学生は別の場所に陣取った6名の高校生による人生紙芝居(こちらも自分史を絵や画像で説明する)を聞きに行きます。

 

 そのようにして、進行が時間を区切りながらローテーションをしていくことになります。たくさんの県内の参観者が周りで聞いていても高校生は紙芝居で堂々と自分史を語って中学生から笑いと頷きを得ていましたし、1対1の人生グラフでは、ボソボソと話す中学生の言葉に高校生が一つ一つ「うん、うん。」「分かる、分かる。」「そうだよねえ。」と傾聴していました。

 

 ある人生紙芝居のコーナーの男子高校生です。中学女子2名を相手に「高校のオープンスクールは何のためにする?」と質問します。すると中学生が「どんな高校か知るため。」と答えます。高校生「そうだよね。で、その時、質問した?」中学生「いいえ。」高校生「自分が進学した学校が考えていたイメージと違ったらいやじゃない?徹底的に調べることは大切だよ。ぼくは、大学進学を考えていて、候補の大学のオープンキャンパスを調べて夏休みに出かけたんだ。その際、事前に調べていた学部の教授に直接聞きたくて、当日探し出して捕まえて、『ここではどんなことが学べますか。』『学内の雰囲気はどうですか』など質問をしたよ。」この男子高校生に中学女性と2名は圧倒されながらも自分の道を切り拓く力にかなり納得していた様子でした。

 

 今回は「ひなた場」終了後に、我々参観者が自由に高校生に質問して良いという場が設けてあったので、早速高校生の所へ行き、「なぜ皆そんなに自信をもって中学生に語れるのですか。」と聞いてみたところ、「探究コースの学習ではいつもディベート討論をやっていて、それに『ひなた場』も2回目だし、そういう経験から自信が付いてきました。」「初めは僕も話すのが苦手でしたが、だんだんと慣れてきて自信がついてきました。」と学習効果について嬉しい成果を話してくれました。まさに自分の想いを言葉にする言語化能力を獲得した形になります。

 

また、これは私の感想ですが、途中の「1対1会話」を見ていても、高校生が中学生に対して自分を赤裸々に語れるまでに成長できているのは学校が仕組んだ教育課程が志望し入学してくる生徒のニーズにマッチしていたことになります。一人の高校生は、「私は中学3年生の時に進路について悩んでいて、そのとき『全国留学生プログラム』があることを知って色々調べているとき飯野高校を見つけて、この高校について調べてここに決めました。来てみると、探究学習のプログラムが色々組んであってとても面白くて来てよかったって思ってます。」と笑顔で話し中学生も深く頷いていました。ほかにも東京からの留学生もいて、飯野高校は山間部にありながら外からの刺激に満ちていることを感じました。そのことが地元の高校生に大きな影響を与え、会話にも効果が生まれているのだと実感したところです。

 

 「ひなた場」は大人と学生が語り合う場として構成する場合が多いのですが、こうして学生同士で語り合うのは、年齢が近いからこそ共感度が高いことが今回のセミナーを通しての私の発見でした。親や教師という「縦の関係」では直接過ぎて生徒は自分を語りづらい。かといって友達や同級生の「横の関係」でも慣れあい過ぎて、これまた話しづらい。ではということで「斜めの関係」である「地元の大人」や「学校種の異なる生徒」であれば語りやすくなるという効果のもとに設定されています。「人生グラフ」という自分史を作るためには、自分がしてきたことと向き合わなければなりません。それはある種苦痛を伴うことになるかもしれません。しかし、その真摯な自分との向き合いがあって初めて自分の殻を破れるのでしょう。そして「ひなた場」ではそれを初対面の相手に語るのです。そうやってアウトプットすることで一気に自分が解放されます。それで何ができるか。「自信」です。さきほどの飯野高校生のように、自分に自信が持てるようになるのです。「それまでの人生は苦しいことも色々あったけど、それを乗り越えて今こうやって前を向いています。」と、メッセージを発信することができるまでに成長している自分を確認することができます。

 

 それはそのまま、現在、「よのなか教室」での「よのなか先生」の振り返りにも直結すると思います。私がそうです。色々な学校で「よのなか教室事前学習」を実施する場合、人生グラフと共に私の自分史を語ります。そのプレゼンを作成する時、そして実際に生徒の前で自分史を語る時、自分がしてきたことと向き合うことになります。そうやってこれまでの人生を振り返り人に話すという機会は、改めて設定されない限りなかなか無いものです。よのなか先生もそれを実感していただいているのなら何よりのお礼になると思っております。

 飯野高校生と加久藤中学校生の対話による人生学習「ひなた場」は、一人一人の人生の1ページに深く浸透するキャリア教育の一つの形になると確信します。日向市でも導入できるようにしたいと思いますので、キャリア教育の発展的な取扱いとして言語化能力や傾聴力を高めたいと思っている学校がありましたらご連絡ください。こちらからもアプローチしたいと思います。

 

 

2026.09.16

14歳のよのなか挑戦事前学習~平岩小中学校8年生

 先週、平岩小中学校にて「14歳のよのなか挑戦」(社会体験学習)いわゆる「職場体験学習」の事前学習に出向きました。8年生の学級になります。

 

 「よのなか教室」は日向で働く大人である社会人を講師として、<これまでの人生模様>に始まり、<仕事の内容>を話していただいた後に、講師が考える社会人として必要な「4つの力」について児童生徒に分かりやすく伝えていただく学習になります。それにとどまらず、まとめとしての「今日から頑張って欲しいこと」を子どもたちに伝え、一人一人が噛み砕いて自分に取り入れてもらうようにしています。最後に「日向の魅力」と題して、日向の自然や産業、文化など、大人であるからこそ気付く故郷の魅力を若い世代の視点に潜り込ませようと構成しています。いつかその言葉の一つでも記憶に残り振り返る手助けになれば幸いです。

 一方、「よのなか挑戦」は保護者の皆さんも経験されていると思いますが、市内各事業所へ出向き、各事業所のプログラムで3日間の職場体験を行うものになります。従業員と同じことを体験させてもらうのではなく、「働くことの厳しさと誰かの役に立つことの尊さ」を体感してもらうようにお願いしてあります。例えば<挨拶と身だしなみ>について、日常的に家庭や学校で厳しく指導してもなかなか改善されない場合があります。社会で働く上では、挨拶や身だしなみでスタートラインに立てることを現場の肌で感じることは貴重な経験になることでしょう。また、慣れない仕事をしていると失敗することもあります。その際、どうしてうまくいかなかったのか、どうすればうまくできるか。そういう機会を与えてもらうことで「状況を考える人」として現代社会で機能していく人材に成長できます。

 

 現代の若者は就職3年以内に退職するいわゆる「早期離職」が増えています。宮崎県の平均は全国平均を4ポイントも上回っています。何が原因かを分析したデータがありました。その一つに、失敗した時や悩み、ストレスを抱えた時に「誰かと相談できなかった」ことが挙げられていました。すなわち、失敗することは誰でもあるのですが、それを「乗り越える力」ができていなかったのです。最近の横文字で言えばレジリエンスが足りなかったことになります。これは社会に出てから身に付けようとするのでは遅すぎます。小中高校に在学している間に、様々な経験から養っておく基本的な生きる力になります。挫折の経験や友人、教師、指導者、家族などからのサポートで立ち直る経験などを経て身に付くものです。その上で社会人になり失敗した時は、周囲のサポートを得て立ち直るという回復過程が自立していく上で重要な基盤となります。

 一方でその分析データの中に、「相談できる相手がいなかった」ということも挙げられています。職場の中では「先輩」がいます。その立場にある人が悩んでいる「後輩」に気付き手を差し伸べるような職場の関係構築も必要になります。

 しかし、我々が行っている事業は職場関係には踏み込めませんので、できることは、子どもたちに体験を通して「誰かの役に立つことが労働であること」そしてそれが「働くことの意義」になること。さらに、失敗したことを相談によって乗り越えるために日常的な関係構築を図ること。そのようなことを学生のうちに「突破力」として意識できるようになってもらうことです。そういう「生きる力」について多くの講師から「聴く」という体験で「生き方の」を形づくってもらえることを願っています。生きる過程の一部に「よのなか挑戦」が位置づけられているという長期教育計画を見通しながら人間づくりの一助となるよう努力したいと思っています。

 

平岩小中学校でもこれまでのよのなか挑戦事前学習と同様に、事業所側の視点を考えさせ、「4つの力」が人間づくりに大切であること、それを具現化しやすいようにムービー視聴も行いました。

 

授業後に生徒が答えてくれたアンケートを見ると、「仕事をする厳しさ」を考えてくれたようですし、「働く上でのマナーの大切さ」や「4つの力は『自分軸』を作るうえで大切であること」を学んでくれたことが伺えます。また、この8年生は将来に対する意識が高く、7割の生徒が目標をもって生活していることが分かりました。この事前学習で将来の目標を決められた生徒もいますし、よのなか挑戦を経てしっかりと決めたいと考えた生徒もいるようです。

アンケートの最後の質問に「地元日向の将来をどう考えるか」という項目では、5割を超える生徒が何らかの形で「日向を盛り上げたい」と考えていることが分かりました。中学生の頃から地元で就職するとは考えにくいでしょうし、「よのなか先生」たちも口々に「一度は外に出て」というように、外から日向を見ることは大いに意味あることだと思います。希望に満ちた学生の時代は大志をもって欲しいと思いますし、実際、中学生の多くはそう思っていることでしょう。それでも現時点で5割を超す生徒が日向のことを意識してくれていることが喜びでもあり街の誇りにもなります。キャリア教育の本質は生徒に希望を手渡すことです。「どんな状況にあっても人と繋がりながら試行して生きていく」 そういう大人になってくれることを願いながら、私も精進したいと思います。

昨日から始まっている平岩小中学校8年生の「14歳のよのなか挑戦」です。子どもたちの置かれている現状や世の中の動静など我々を取り巻く社会の構造を考えてみると、改めてこのネーミングの意義と重さを嚙みしめなければならない思いです。厳しい社会情勢にあっても協力してくださる事業所の皆様のご支援に心より感謝いたします。

保護者の皆さんは時間をつくって子どもさんの働く様子を見学に行かれてはどうですか?「○〇の親です。お世話になっています。」で中へ通してもらえると思います。

2026.09.15

合同研修会

 先々週、当センターにて、延岡市キャリア教育支援センターの方々との合同研修会を開催しました。お互いの実績や課題を共有し、よりよいキャリア教育の展開につなげるのが狙いです。当日は、県のキャリア教育担当(小田史郎さん)も参加され、狭い事務所が賑わいました。

 

 初めに日向市の取組を紹介しました。これはここで書くまでもないので省略します。課題としては、現在力を入れている「よのなか教室」が市内すべての小中学校へ普及できていないということです。キャリア教育の目標である基礎的・汎用的能力の育成という部分は、まさに「生き方」の教育であり、現在における「自分軸」をどう作っていくのかという柱の立て方を考えるという学習になります。小学生や中学生に自分の軸を考えさせて何になる!そんことまだ分からんだろうが!という考えもあります。大人ですら軸が定まっていないと感じることもあるかもしれませんが、その年齢に応じて過去の自分と向き合った上で今後は「こうありたい。」と意思決定しながら前を向く事は、生きる意味を見いだす上では意義のある学習過程ではないかと思います。法隆寺などの建築物には塔の中に宙吊りという一見無用なが吊り下げられているそうです。実はこれが地震の際に重要な役割を果たし、塔の倒壊を防ぐ働きをするそうです。無駄のように思えるものでも、実は自分の中ではになり大地に根を下ろし、我が身を前進させているエネルギーになることを期待したいと思います。

 

 さて、合同研修会では、次に延岡市の取組についてご説明をいただきました。

 延岡市では、日向市キャリア教育支援センターの初代センター長である水永正憲さんをはじめ、酒井康行さん敷石輝幸さんの3名で精力的に市内の学校を回り、よのなか教室として授業や講演会を計画されています。その数が半端ない数で、年間700名を超える講師を学校に派遣されています。1回の学校開催で5名以上の講師を招聘し、毎週実施となると、そのような数になるということです。日向市の場合は、キャリア教育の目標に沿うような形での講話をお願いするために資料づくりを講師に依頼するのではなく、センターのスタッフが作り上げているため、数多くの講話を実施することはできないという特性をもっています。それぞれの地域での取組の良さが形に現れているようです。

 

 また、延岡市の特長としては、「ひなた場」を実施していることです。以前、旭中学校や高鍋西小学校の事例をブログにて紹介しましたとおり、大人と学生が1対1で自分史を語り合う学習になります。自分の歴史や今考えていることを即座に言語化する力が求められるので、そういう場の設定があるからこそ生徒は徐々にそういう言語化能力が身についてきます。ぜひ日向市でも導入したいと思っています。

 

 日向市のキャリア教育支援センターは教育委員会からの委託で成立しています。ですから予算的には過不足なくなんとか実施できております。欲を言えば、講師の皆さんに謝礼などができればよいのですが、そのような余裕はまったくありませんので、児童生徒の成長とそれぞれの事業所の紹介、認知をお礼に代えるしかありません。各事業所のよのなか先生は、子どもたちの成長のためならばと、無償で時間を割いて参加していただいております。これは延岡も同じことです。しかし、何事も事業には予算が確保できないと動き出せないので、延岡市の場合は今後の活動の持続のために方策を考えていかれるようです。

 

合同研修を通して多くのことを考えました。先日の就職前提の模擬面接を想定したグループワークにおいても指摘されましたが、実社会では「状況を考えられる人材が欲しい」とも言われます。それは学生の頃からしっかりと思考する態度を獲得していなければ、社会人になる時に身に付けられるものではありません。「なぜそう考えるのか」「それはどういう形になるのか」など、その場で瞬時に考え言語化できなければ相手には伝わりません。

「集中力」や「持続力」は体験で身に付けることができます。一方、「判断力」と「決断力」は体験でも身に付けるられるものの、多くの先人の知恵や知見から学び、それを訓練することで自分の身に沁み込ませることができるようになると思います。

人生はまさに「選択の連続」と言ってもよいのかもしれません。あの学校を選んでいれば、逆に選んでいなければ。また、あの時その判断をしなければ、あの時やりたかったことをやっていればなどと、その時々の判断を思い返すことは誰にでもあることだと思います。そしてその時「こうしよう」と決断してきたのです。

どういう判断や最後の決断になろうとも、それを振り返り反省していくためには、その時点で言語化していなければ反省の仕様がありません。「こういう経緯でこうした。」「こうなることを想定してそのようにした。」というように思考を言語化することは重要なことです。「ちゃんと言わなきゃわからないでしょ!」これもよく聞く幼児への言葉ですが、その場で終わらせるのか、そういうことを訓練するための学習機会(特に読書)を家庭に位置付けたり、学校教育では教育課程に設定したりできるか。子どもが受けるべき時に受けられる教育の観点を、「日向の大人」は、水が掌からこぼれ落ちないように差し伸べられるかを問われている気がします。

2026.09.14

よのなか教室~大王谷学園7年生その3

 9月3日の大王谷学園7年生でのよのなか先生ラストバッターは日向市役所の葉上耕大朗様です。ご紹介します。

 

葉上さんは現在、日向市役所の都市政策課で地域公共交通を担当されています。「ぷらっとバス」や「のるーと」と言えば分かり易いと思います。私も過去そして現在もお世話になっている公共交通機関です。

葉上さんの経歴は、出身が宮崎県外で九州や関西で過ごされた後に、日向に来られたそうです。また、学生時代は探検部で各地の探検をされていてなかなかの冒険家だったことが伺えます。その一方で趣味はピアノだと言われますから、多彩ぶりが伺えます。

 

市役所と言えば担当部署は変化していきます。以前葉上さんは「サーフタウン日向」の広報でも活躍されたそうです。私たちがそういうキャッチフレーズを口にするのも、この方の仕掛けだったということが分かりました。

 

 

 葉上さんの言われる「4つの力」は以下のようになります。

 一つ目の「相手を尊重し、社会を理解する力」では、「(相手は)自分たちのメンバーであり、相手方のことを自分なり理解することが大切」だときっぱりと仰いました。「例えば、サッカーや将棋でも、その特性に応じていろいろな役割があるので、それぞれの適正にあった立場、役割で仕事を進めていくことが大切。」だということです。また、「一人では解決できないことが多いので、周りの力を借りることが必要」と。その例として、「2017年に日向お倉ケ浜で行われた世界ジュニアサーフィン選手権では、市役所職員だけでなく、商工会議所、観光協会、民間ボランティアの皆さんの協力で大会運営を乗り切った」ことを挙げられました。今でも思い出します。5名による国別対抗「AlohaCup」リレーのアンカー安室丈選手がサーフィン後波打ち際から激走して残り時間0秒でゴールし、波乗りジャパンが見事に逆転優勝しました。そうだったのか、あの大会を葉上さんが担当されたのか…と、「4つの力」の別のところに関心をもってしまいました。(失礼)

 二つ目の「自分を正しく知り、コントロールする力」では、「自分で考えてみて、難しいことだと思ったとしても、人に相談したり、助けてもらうこと。だいたいの場合、やってみると解決する。」さらに「あとは、時が解決することもある。」と、ご自分の経験を踏まえてのお話でした。また、「何事も経験、若い時にいろいろなことに挑戦してみることが必要。それで耐性ができる。」「知らないことは不安だが経験したり、知っている人と一緒に取り組むことが大切」だと、今の生徒にも分かり易く伝えられました。

 このことに関する事例として、「大学の時、探検部では120mくらいの深い竪穴の洞窟に入ったり、一人で1ヶ月くらい海外をフラフラしたこともあるが、大抵の場合、なんとかなった。」「仕事においても、ヒュー!日向の最初の時は、『なんだこれ?』と言われたことも多かったが、進めてみるとかなり評判が良かった。」と、結果オーライも頭の片隅に入れておくと良いという安心感を与えられました。

 

 三つ目の「課題を見極め、解決の工夫をする力」では、「課題解決のヒントは世界世間にある。日向市や近いところだけを見ていてはだめ。今の常識が『ところ』変わると意外と違う。」と、特に行政の立場において様々な関係機関とのすり合わせでは、立場の違いで意見も変わり、地域によっても考え方が違うので広く構えておくことに重要性を伝えられたのだと理解しました。

 事例として葉上さんは、「定時定路線のバスから切り替えた『のるーと日向』も福岡の地方や他地域の事例を参考にした。」「また、段取りも大切。準備が9割以上。期限を決めて仕事をすることも大切。人間はだらだらが好きなので、期限がないといつまでもだらだらとしてしまう。」と自己への戒めかつ周囲への提言でもあり、私自身も肝に銘じたいと思います。

 

 四つ目の「働く意義を知り、将来を切り拓く力」では、「中学生ぐらいの年齢で、将来の仕事や自分が働きたい意義が分かることは無理だと思う。」として自分の経験を話され、「自分の時もそうで、毎日、友達と遊んで、パソコンでゲームもたっぷりしていた。その合間に勉強をしていた。」さらに、「ドラクエや他のロールプレイングゲームにはまっていて、勉強もゲームのようにやっていたらそれなりにできた。」と言われ、かなりゲーム通だということが分かりました。現在のスマホゲームについても「課金」のことや中毒性についても言及され、最終的には「ものづくりが好きな人は、何か作ってみる」などのように、自分の道を自分で探していくことの意義を訴えられました。そして「試しにやってみること」で将来へ繋がるかもしれないとまとめられました。 

 

「社会に出ると正解がないことが多いので、自らのめり込んで耐性をつけ、大人になってからなんとかなるような目に見えない精神力を付けていくことが重要だ」と力説されました。

 

 最後に、「今日から大切にして欲しいこと」として、自調自考」と、「自らの手で調べ、自らの頭で考える」ことを提示されました。すなわち、「自身の考えで行動すること」、「自分らしさ」や「自分の適性」などについて考える。そういう自ら課題を克服していく力をつける必要性についてアドバイスをされました。

 

 テキスト ボックス: テキスト ボックス: テキスト ボックス: 自分自身の心でしっかりと考えながら、ワクワクすることに沢山チャレンジしてください。」まさに葉上さんが体験してこられた生き方そのものがこの言葉に凝縮されていると感じました。我々市民が直接受け取っている市民生活が市の事業によって形づくられ、そして身近なところで私たちに浸透していることの裏側のお話を聴かせていただきました。そういう行政の方々のご苦労も「自考」しながら生活したいとお話を聞いて感じたところです。

葉上さん、本当にありがとうございました。

2026.09.10

よのなか教室~大王谷学園7年生その2

 先日の大津留さんと同じく9月3日に大王谷学園7年生でよのなか先生になっていただきました施設ケアマネージャーの塚本ルミ子様を紹介します。

 

 

 塚本さんは現在、介護付き有料老人ホーム大王谷スカイホームにお勤めです。福祉の業界に入ったのは20代後半で、最初は介護職員としてスタートしたと紹介されました。その後、デイサービスの生活相談員になった事がきっかけで資格取得を目指し、現在に至ったとのことです。

 

 

 私は塚本さんの専門職としての仕事内容をよく分かっていなかったのですが、ご本人から、介護支援専門員(ケアマネジャー)は、「介護を必要とする人が適切な介護保険サービスを受けられるように計画書を作成したり、介護職員や事業所との調整を行ったりする仕事」になるそうです。簡単に言えば、「何でも相談にのってくれる人」と言われ、確かにそうだと、私の親のケアマネージャーを想像したところです。

 

 その「計画書の作成」というのが大変な作業のようです。自立支援を目標にした施設での計画となり、必ず一人一人に計画を作成するのですから、計画から改善までをプランとして作成するためのアセスメントが重要なカギを握るようです。そのために、ケアマネージャーや介護主任、看護職員、栄養士、ご家族そしてご本人が参加した会議を開いて介護の方向性を決めていく作業になります。私も実際に、親のアセスメント作成に参加し、緻密な計画を立ててもらった経験があるので、ケアマネージャーの労力には頭が下がります。

 

 塚本さんは言われます。「大人になっても勉強や自己研鑽はずっと続きます。それを、いかに楽しみながら取り組み自分のものに出来るか。自分の努力次第で何者にもなれる。」そう力説されました。

 

 そのような塚本さんが言われる「4つの力」について、まず一つ目の「相手を尊重し社会を理解する力」では、「相手を知ろうとする。私を知ってもらう。」ことが大切だと仰います。人と人のコミュニケーションで成り立つ介護の仕事であり、人生の先輩としての高齢者を対象とするに当たっては相手への敬意を忘れずに尊重して接することで初めてコミュニケーションが成立するように思います。

 

 二番目に「自分を正しく知りコントロールする力」では、「自分の弱点を知ること」ということです。自分は何ができて、何をできないのか。それを客観的に知ることで、出来ない部分を手助けしてもらうことができます。弱点を明確にしてこそ経験を積むことで乗り越えられるようになるので、客観的に自分を見つめることは自己コントロールの第一歩になってきます。

 

 三番目の「課題を見きわめ解決の工夫をする力」では、「結果だけに目を向けない。その原因や経過に目を向ける事」の大切さを話されました。対象が介護を必要とする方なので、一人一人その対応が異なってきます。目の前の施設利用者に起こった現象にのみ捉われていたのでは、解決の糸口は見つからないでしょう。背景を知ることで表面に顕在化したインシデントを見逃さないようになるのでしょう。この辺りは専門職がなせる業だと思われます。

 

 四つ目の「働く意義を知り、将来を切り拓く力」については、「働く意義は10代、20代、30代等、年齢で変化して良い。人それぞれの意義があってOK」と話されます。確かに、20代の頃の働く意味合いと50代になってからの仕事に対する意義づけは相当違ってくると思います。だからこそ、このようなよのなか教室で聞いた仕事人の話から、中学生で考える「働く意義」を今の自分の価値観でまとめておくことも有意義だと思われます。その価値観が年齢と共に変わっていくときに、客観的に自己を見つめられれば、仕事に対する意義づけが変化していることに気付くでしょう。それがキャリア発達している証拠になると思います。

 

 最後に塚本さんは、「大人になってゆく過程で、想像しワクワクし、『こうなりたい』『ああなりたい』と想像することは意味あることだからそういう時間を大切にして欲しい。」とメッセージを送られました。まさに「今を楽しめ!」と時間を有効に使って人生を楽しむようにアドバイスをいただきました。

 

 この生徒たちの中の数名は、12月には実際にスカイホームで「よのなか挑戦」としてお世話になります。その生徒は本日の塚本さんのお話を体現することになると思いますが、社会体験学習で介護施設において体験をしない生徒たちも、いずれ自分事になる介護の仕事について深く考える時間を与えていただいたことは一生の宝になるでしょう。

 塚本さん、生徒に分かり易く熱く語っていただき、本当にありがとうございました。

 

2026.09.07

よのなか教室~大王谷学園7年生

 先週、大王谷学園7年生にて、よのなか教室が実施されました。3名のよのなか先生にお越しいただき、熱いお話を提供していただきましたので、本日はまず、1人目、大津留 聖(さとし)様を紹介いたします。

 

 大津留さんは、大王谷保育園にお勤めの保育士になります。子どもたちを大きな包容力で受け止めていただけるような感じのする先生です。

 

 人生グラフ紹介では、中学生の頃、学校を多く休むことあったとの体験から、現在の子どもたちの悩みや苦しみをうまくキャッチできるアンテナをもっておられるのだろうと想像できました。また、就職してからも悩むことは多かったそうですが、それでも先輩の言葉で自分を取り戻し現在に至ることができたので、良い同僚関係の大事さを生徒は感じ取ったのではないでしょうか。

 

 大津留さんが提示していただいたものの中に保育の年間計画がありました。私は初めて見た保育園の年間計画一覧表でした。1年間の保育活動が多岐に渡りびっしりと計画されていて、いつ何をするのかが明記されています。小中学校での年間指導計画と変わりない計画的な教育活動を推進されているのだと実感しました。 

 

 大津留さんが話された「4つの力」については、以下のようになりました。

 1つ目の「相手を尊重し、社会を理解する力」では、「話し合いの中で、自分とは違う考があっても頭から否定せず、一旦は相手の話を受け止めて考えてみる。」「挨拶をしっかりと行う。『おはよう』『ありがとう』『どういたしまして』など当たり前の挨拶を普段から行うことで人とコミュニケーションが取りやすくなる。」と仰いました。最初の「違う意見を受入れる」というのは、毎日のように世間の話題で実感します。SNSの現代は、「表現の自由」の名のもとに、「何でも言っていい」と勘違いする人が増えていき、自己主張と誹謗中傷の境界が分からなくなってしまった人がいることを残念に思います。攻撃的な世の中ではなく、寛容の精神にあふれた住みよい街であったらと願います。

 

 2つ目の「自分を正しく知り、コントロールする力」については、「朝に一日の予定の確認をし、終わりに一日の反省・改善点を見つける。また明日の予定を確認しておくことで慌てることが少なくなる。」や「人(親・友達・同僚など)話を聞いてもらう。聞いてもらうことだけで気持ちがになることもある。」、「ストレスを発散できる何かを見つける(趣味や運動など)」と言われました。保育というと私は、孫が毎日お世話になっている保育園を思い浮かべながら大津留さんのお話を聴いていました。孫の保育園でも毎日、「おたより帳」に先生が一日の活動や気付いたことを書いて下さっています。子どもたちが午睡の間に書かれているとは思いますが、毎日定時にどの子も寝るとは限らないと思いますし、病気がちで機嫌の悪い子もいると思われます。そんな中でも欠かさず毎日おたよりを保護者に書くことがどれほど根気のいる作業なのか、想像しただけでもそのご苦労が大変なものだと分かります。本当に頭の下がる思いです。

 

 3つ目の「課題を知り、やりぬく力」については、「問題が発生したときに、なぜそのようなことが起きたのか原因を解明し、再発防止をするにはどのようにしていけばよいか対策を考え、それの情報を全員が共有する必要がある。」、「被害を被った人がいる際は、事の経緯をしっかりと説明したうえで謝罪する。」「問題に行き詰った時は、一度初心に戻ってみる。」「様々な経験をすることで、対応できることが増える。」と重要な視点を提示されました。「被害」というワードからドキッとしましたが、子ども同士のトラブルや誤って子どもが怪我をすることもあるでしょうし、乳幼児の行動を見守っておられるだけに、その心労は大変なものでしょう。

 

 4つ目の「働く意義を知り、将来を切り拓く力」については、「興味がある仕事を働いている人から話を聞いて、実際に体験してみる。体験を通すことで得るものもあり、その経験が別の形で生きることもある。」、また「仕事に対して偏見を持たない。思い込みだけでは、その仕事の本質がわからないまま損をすることが多々ある。」と、ご自分の体験から滲み出たキャリアを重ねる上での重要なポイントを話されました。これらはそのまま、この学年の生徒が12月に実施される「よのなか挑戦」(社会体験学習)で実感することになるのではないかと思います。

 

 

 最後に「今日から大切にして欲しいこと」として大津留さんは、「『おはようございます』『ありがとうございます』などの挨拶をしっかりとするのが最初の一歩だと思います。」「朝ごはんは食べたほうが体にも頭にも良いです。」と、挨拶と体調を整えることをメッセージとして伝えられました。最近の小中学生の中に、朝ご飯を食べてこない子どもがいることをご存知なのだと思います。小学校では午前中5時間の学校が増え、給食時間が遅くなっているので余計に心配になります。

 

 ここから質問の時間になりました。まず皮切りに担任の先生が「12月のよのなか挑戦での生徒へのアドバイスをお願いします。」ということに対して大津留さんは、「仕事はきついものと思うかもしれませんが、働く中で楽しさを見つけて欲しいと思います。3日間の体験では難しいかもしれませんが、それが働き甲斐になるので、見つけられれば良いと思います。」と答えられました。

 次に生徒から、「仕事をする上での苦労は?」に対しては、「女性が多い職場です。さらに、年代によって価値観が違います。例えば、滑り台一つとっても、安全のために上からだけ滑るようにする、という意見もあれば、下から登ることも認めた方が体力がつく、という意見もあります。これらの意見をすり合わせることはとても難しいし、自分なりの考えをもつことも重要です。」と実体験から答えられました。

 また、「なぜ保育園に勤めることになったのですか。」については、「友達つながり」だそうです。学生の頃の友達が現在の保育園を就職試験で受験するという情報から、「自分も受けてみよう」となったそうです。明確が目的があった訳ではないということですが、現在は自分に合っているとのことですから、こういうところが人生の面白さであり、現時点の生徒は「ふーん」でもいいのかもしれません。我々日向市のキャリア教育で用意している「よのなか教室」では生徒に多くの価値観に触れさせることも目的の一つです。優等生的な「高い目的意識で就職しました。」ではなく、「なんとなく」や「仕方なく」があっても良いと思います。そうやって人は自分の人生を切り拓いていくのだということを、生徒が多くの価値観に触れて組み立てていければよいと思います。

 さらに、「仕事の遣り甲斐は?」との質問が生徒から出され、「ある時、青虫をつかまえた子どもがいて、『すぐ飽きてしまうんじゃないだろうか。』と考えたけど、様子を見ていたら結局、その子はチョウになるまできちんとお世話をし見届けました。一人の子どもの見方が変わりました。そういう子どもの別の面を見つけられることは喜びであり遣り甲斐になりました。」と仰いました。教育というものは成果がすぐに表れるものではありません。私が一人の教え子の成長を本人から聞いたのは40年後でした。やって良かったかどうかが分かるまでにそれほどの時間がかかる場合もあり、また、分からない場合もあります。人に関わる仕事では、そういう息の長さに対する覚悟も必要なのだと改めて感じました。

 

 最後に大津留さんから「日向の魅力」について語って頂きました。大津留さんは北方町のご出身ということで、北方と比べると日向は都会だと言われます。「コンビニは24時間営業だし、大型スーパーもあるし、海、山、川に恵まれ、生活には何も困らない。」と言われます。生徒たちにとっては「何もない」と感じている日向市かもしれませんが、大人になるとこういう便利という価値観が変わるということが生徒にも伝わったのではないかと思います。日向のよのなか先生のお話を聴いていると、一度、県外、海外に出て、ふるさとを振り返るのは良いことだと応援される懐の深さを感じます。

 大津留さん、大切な時間を生徒のために本当にありがとうございました。

 

2026.09.03

日向学びの学校研修会~コミュニティ・スクール、キャリア教育

  

 台風接近の影響で気温が下がっています。しのぎやすいですが、雨には注意が必要です。 

さて本日は、先月実施された研修会のお話です。日向商工会議所にて「日向学びの学校研修会コミュニティ・スクール、キャリア教育」が行われました。講師は、都農町を起点にアントレプレナーシップ(起業理念)や街づくりを実践されている中川敬文氏です。あのキッザニア東京を立ち上げた方でもあります。

 

 

 宮崎は「農業と観光が鍵」と言われ、そこから「楽しいことをやろう」と様々な仕掛けをされています。私が以前から知っているのは、高鍋高校生による「NABEGO」です。毎月一回、高鍋駅で開かれるマルシェ(市場)を高校生が運用しているものです。高校生が街の活性化のために奮闘する様子がSNSでも発信されていました。私は高鍋にも勤めていましたので興味があり陰ながら応援していました。それが中川さんのプロデュースだったことは後で知ることになります。

 

 アイデアを形づくる計画、それを企画とし、例えば「みちくさ市」という形で都農の中学生に企画させ、協賛金募集まで実施させます。中学生の組織では傍観者を出さないために「社長」や「部長」などの組織化をして動けるようにします。活動の売り上げが40万円で利益が20万円になるという結果になりました。このような活動を通してみた都農の中学生の反応としては、「都農で会社を作りたい」が15%、「都農をもっと良い街にするアイデアがある」は30%に上ったということです。

 

 「郷土愛を語るより体験と実現を通して、形にして町に残す。」というのが中川さんの持論で、そこからすれば、ジワジワと迫っている我々のキャリア教育の先にある、子どもが飛びつきやすい活動だと言えます。

 中川さんは、中学生以上では「自分が何をやるか」に視点をおくことが大切だという考えです。自分のやりたいキャリアが先で、そのあと地域の偉人の業績から調べ学習をさせるというスタンスになります。私も「やりたいこと」を明確にすることは大切だと思います。その上で、自分と向き合い授業の中で自分自身に「何をとするか」という点にこだわって学習を展開しています。

 

 中川さんのお話で「先生って地域に友達はいるの?」と全体へ向けて質問を投げかけられました。よく地域で学ぶ、といいますが、先生自体が他地域から通勤してくる場合が多いので、その子どもの地域のことをよく知らないことがある、と言われたかったようです。なるほど、そう言われればそんなことも多いと思います。だからこそ、教師は地域に頻繁に出向き、実情を知ることが大切になります。

 私は「子どもは地域で育つ」と考えていました。私自身がそうやって育ったからです。鹿児島でも福岡、佐賀でも地域の親子会活動でたくさんの大人のお世話になりながら育ちました。「地区のおじちゃん、おばちゃん」の顔は今でも覚えています。

 文化と言えば大げさですが、人間のコミュニティとしての継承の意味で、私の子どもは親子会(育成会)活動に積極的に参加させ、私自身も五十猛ひょっとこ踊りに参加し、その後、壮年部に加入しました。親の後ろ姿を見せることは大切だと思います。地域に根を下ろすと、実に様々なことが見えてきます。それぞれの立場の人たちと交流する中で、自分が支えられ地域から見守られている実感を得ます。最近は、日向市の「市子連ソフトボール大会」も無くなりましたし、地域の祭りも縮小気味です。昨日自宅に回ってきた「回覧板」の「自治会だより」には、「秋祭り舞踊隊の参加者が少なくて困っています。」の文章がありました。「忙しい」を理由に、大人が地域に関わらなくなると子どもは「そういうもの」として育ってしまい、次の世代はもっと関与しなくなり、そして地域が衰退の一途を辿ってしまいます。先生に限らず、どの大人も何らかの形で地域活動に深く入り込めるようになると、子どもはどこで育っても継承していくのではないかと思いますが、現実には難しい壁があるようです。

 

 話を戻します。研修会の後半は、参加している市内各小中学校のコミュニティごとに分かれ、地域の代表も一緒に、その地域で「どんな子どもたちに育てていくのか」というテーマでの協議がありました。どのグループも熱心に議論し最後に方向性を報告しました。そのすべての報告の後に中川さんから講評をいただきましたが、「刺されるかもしれない」という物騒な言葉を前置きにされました。つまり、苦言を呈されたのです。「それらの方向性は、ワクワクしますか?」ということを仰いました。さらに「主語が子どもになっていないです。」に加えて、「『時制』が明確でない。」とも言われました。タイムテーブルと言いますか、どのようなスケジュールでその計画を実行に移し、どこまでに達成するのかという着地点の明確化が足りないと仰います。最近、シンギュラリティ」という「技術的転換点」は2030年に訪れると言われています。AIが自ら目的に合致したさらに優秀なAIを作り出し、基本的な実務領域はAIが全てこなしていく時代がやって来るというのです。ですから、人間にしかできない価値を高めて、それを子どもを育てることに生かしていくという営みは、「いつまでに何をやる」という明確なビジョンが必要だと指摘されたのだと受け取りました。

 

 研修会を通して、地域がもつ課題にどう対応していくのか、それぞれが持ち帰って、その後の協議会等で話題として実益化していくのだろうと期待します。また、日向市キャリア教育支援センターとしては、時間がかかる一つ一つの授業に「日向で頑張る大人」(よのなか先生)の協力をいただき、児童生徒が「4つの力」を意識した「自分軸」を形づくることができるような学習を展開していくことが使命だと思っています。そこで育てられた子どもたちは決して日向のことを忘れず大切に想ってくれることを期待しつつ、大きく羽ばたいて欲しいと願います。将来的には、キャリア教育の延長上に中川さんの実施されるような具体的な体験活動が実現されるのではないかと思っているところです。実際に、東郷学園中学部では出店企画が行われていますし、市街地では来年1月に日向版キッザニア的な体験学習を盛り込んだ「YEGフェス」が計画されています。益々、日向のキャリア教育のベースを強固なものにしなければならないと、本研修を通して改めて考えました。「学びと体験」が連鎖していくことでホンモノの教育の到達点になるでしょうし、子どもたちが自分たちの街で強烈な体験のもとに育つと、街自体もそれを基点としてスパイラルに発展していくのではないでしょうか。


 台風24号が接近し大雨が予想されます。最近の大雨は災害をもたらすので十分に気を付けないといけません。災害が起きた場合、矢のごとく「公助」が動く国であって欲しいと願いますが、実際には即座に「公助」とはいきません。まずは「自助」そして「共助」です。この共助に地域のコミュニティが成立しているかが明確に表れます。避難所を適切に「お互い様」の精神で運営できるかは、地域のコミュニティ成立にかかっていると、あちこちの災害現場を見てそう確信します。

 学校を基点としたコミュニティ・スクールは、今ある学校をどう育てるかというより、学校を核としながらも実は、自分たちの地域をどう存続、継承させていくかに視点をおいて上手に学校を活用する方向性をもつと、みんな楽しく有意義に活動できるのではないかと密かに考える次第です。

2026.09.01

よのなか教室事前学習~大王谷学園7年生

 9月に入りました。「光陰矢の如し」です。

 さて、先週、大王谷学園中等部7年生各クラスをよのなか教室の事前学習で訪問しました。以前からお伝えしているように、日向で働く社会人講話の中では、キャリア教育の基礎的・汎用的能力である「4つの力」(人間関係形成・社会形成能力、自己理解・自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力)の獲得を目指します。しかし、初めての講師からそれらをうまく吸収できないと効果が半減するとの見解から、事前に私が学校を訪問し視点育成の学習を実施しているところです。

 

 よのなか先生の講話のように、自己紹介や人生グラフから始まって、仕事の内容をお話します。教師という仕事での苦労遣り甲斐働き甲斐)社会的役割について話しながら、「ここでは『苦労』と話したけど、当日の先生から『難しい』とか『大変だった』と言う言葉が出たときにも、ワークシートの『苦労』の欄に記述するといいよ。」などと説明しながら学習を進めます。よく見ると目の前の生徒が話に集中するあまり、鉛筆が動いていず、ワークシートの裏面に進んでもまだ表面を出していることに気付いたので、そっと「今は裏面だよ。」と教えます。さらに、「当日の社会人先生は、『今ここだよ』なんて言わないから、言葉に気を付けて、どの欄に書くと良いか考えてね。」などとアドバイスもします。

 

 「4つの力」では、「相手の立場で考えてみる」(人間関係形成)、「挑戦して経験を積み重ねる」(自己管理)、「先輩に聞く。専門書や勉強会で力を付ける」(課題対応)、「向上心をもつ」(キャリアプランニング)という視点で話しました。

 その「4つの力」については、話だけでは具体的なイメージが持ちにくいだろうと、WBC野球で「山本由伸投手がファンに投げ入れたボールの顛末」の動画を見せて、「4つの力」(のうちの一部)を意識してもらうようにしています。生徒は「少年を大事にしている」とか「自分の欲望を押し殺している」などと、「相手の尊重」や「自己管理」についてイメージしてくれたのではないかと思います。ただ、スタッフからの助言だと、「山本由伸選手そのものが分からないのではないか。」と言われ、私も山本選手について首を捻っている生徒が結構いる様子を見ていたので、なるほどそうかもしれないと思ったところでした。

 

 学習は、まとめとして「大切にして欲しいこと」と「日向市の魅力」を伝え、生徒が自己決定を目指す「将来やってみたい仕事(こと)」と「今から頑張ること(自分軸)」についてワークシートに書いてもらいました。それぞれの学級で数名発表してもらいました。発表に対して冷やかす他の生徒も見られましたが、一方で「○〇君は頑張っている。」という言葉を発する生徒もいて、「ちゃんと見ている人はいるね!」と本人とアイコンタクトを取り安心させました。

 この「自分軸を作る」という部分を日向市キャリア教育では重視しています。「JRの運転士になりたいです。そのために勉強をがんばるようにします。」や「保育士を目指したいです。そのために人に優しくしていきたいです。」などと、周囲からも認められる自分の軸を明確にした歩みをしてもらいたいために、このように明言することを、よのなか教室では目標としています。それがキャリア発達そのものになります。日向で自分の軸が固まっていくと、きっとこの生徒たちは将来、「日向で自分は育てられた」とこの地への恩を忘れないでしょう。私が武雄市のことを忘れないように。

 ですから、当日のよのなか先生の講話の後に「自分軸」を確認したり修正したりする学習を展開していただくようにしています。今回の事前学習では、その前のトレーニングということで、「今日から頑張ること」(自分軸)を考えてもらいました。高校生あたりまでにつくられた人格はそのまま大人になってしまうのが一般の人間のようです。この中学生から高校生にかけて、どれだけの人と出会い、影響を受け、振り返りながら自分をつくっていく。そういう学習、経験、内省化というものは大変重要だと改めて感じます。

 

 大王谷学園の7年生は、今週と3週間後の2回に渡って社会人講師のよのなか先生を迎えます。色々な分野の講話を聞いて、自分軸づくりに努めてもらいたいと思います。

実はその7年生、年度初めから個別の目標を立てて「自分がどうありたいか」を表明し掲示していました。担任が、個の成長が学級全体の伸びに繋がるという発想をもっているとキャリア発達は伸ばしやすいと感じました。修正しながら成長していくであろう生徒たちを楽しみにしています。

 

「少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず」

 この子らが私の歳になったとき、何を思うのでしょうか。

2026.08.26

高校生グループワーク~富島高校にて~

 先週末土曜日午前、富島高校にて日向市近郊の県立高校生が集まってGWグループワークが実施されました。細かく言えば、高校3年生を対象に就職を志望する生徒に対して、グループワーク(共同作業)採用面接を受ける前のトレーニング学習会とでも言いましょうか、そういう活動が実施されたことの報告になります。

 日程の調整が難しかったのか、日向工業高校生と富島高校生の2校になりましたが、内容としては、ここまでやってもらえるのなら参加しない方がもったいないと思えるものでした。

 

 

 初めに、元旭化成延岡支社長で当キャリア教育支援センターの初代センター長である水永正憲さんが講話されました。

 面接時に生徒は「失敗しないように質問に答えたい」と思うだろうが、企業側は「何が出来る人かを見極めたい」と思っているので、例えば「高校時代に、いちばん打ち込んだことは何でしたか」という質問をよくしていたと言われます。ここでハタッと止まってしまってはいけません。上手に答えるより、自分が打ち込んできた事実を丁寧に話せばよいのです。ということは、高校時代に真剣に打ち込んだものがなければ話せないということになります。さらに遡って、中学時代はどうでしょう。小学時代は・・・。先日の藤江さんのブログでも書きましたが、「今できることを無我夢中でやる!」ことが「打ち込んだこと」になります。そういう、その時その時の必死な闘いを自分に刻むことが大切になります。

 続けて水永さんは「その打ち込んだことに対して、なぜ?どうして?」それに打ち込んだのかの理由を考えてみるとの良いとのことでした。その際、「自分にとって幸せとは何だろう?」と問い直してみることが大切だと言われます。そして「自分にとっていちばん大切にしたいことは何だろう?」とも。この「幸せ」と「大切にしたいこと」は、水永さんの講話全体を通してキーワードとなる生徒一人一人への「問い」にもなりました。

 

 

 映画『母と暮らせば』の紹介もありました。皆さんはご覧になりましたか?私は観ておりません。吉永小百合さん主演の映画で「幸せ感」を考えるものになるのだそうです。このように「自分にとっての幸福」について考えることが困難を乗り越える力になり、きっとその求めているものが「自分にとっていちばん大切なこと」になるという講話でした。

 

 初めに戻って、面接にあたっては「自分のストーリーをつくる」ことで自分が一番大切にしたいことと、そのために打ち込んできたことを繋げることができる。それから社会に出てやりたいことを物語にして自分に刻むことが必要だと説明されました。

 また、最近の就職面接で採用されている「グループワーク」や「グループディスカッション」では、「自分で体験したことを話すこと」や「相手を否定しないこと」、「必ず自分の考えていることを言う」ことを忘れないようにして欲しいとエールを送られました。 

 

 水永さんの講話の次は、実際にグループワークの演習に入りました。高校生が3人ずつのグループを作り、各テーブルで「ストロータワーの作成」というミッションに臨みます。ルールの説明を聞いた後、自己紹介を経て、作戦会議、試作品の作成、改善会議、タワー作成、審査という手順になります。勿論、タワーをより高く完成させることが一番の目的ではなく、製作過程においてどのような言葉やりとり協調性などを色々な角度から審査員が見ることになります。そのようにして、採用面施が実施される場合に備えて演習を行いました。

 

 

 グループワークの中では生徒から「そうやね。」「確かにね。」「いいねえ。」という傾聴する言葉が出ていましたし、「四角にするってどんなこと?」と分からないことを問い返すことができている生徒もいました。また、時間を気にしてチラッと時計を見る生徒もいました。このように、タイムキープすることや役割分担をすることは初めにルールとしてグループで決めることも大切だと感じましたのでは、私は最後にアドバイスとしてお話しました。

 協調力、主体性、傾聴力というこの3つは共同作業をする際には必要なスキルであり、それは試験の時だけ発揮できるものではありません。先ほどの生徒のように普段の会話の際に「いいねえ。じゃあが、じゃあが。」と受け入れ、自分の意見を言う場合でも「それでよね。・・・。」と「Yes,and」の態度を癖つけるようにすると良いと思います。いつも「うん。でもよね…」の「Yes,but…」の口癖だと、試験の際にもグループワークで出てしまうので、ぜひ普段の友達との会話から、傾聴力と協調力を磨いて欲しいと思います。

 初めにも書きましたが、就職を希望する高校生にはとても良い学習会ですので、次回はもっと多くの生徒が参加できると良いと感じました。私が現役教員時代に、常々子どもたちや保護者に「人格の完成は高校までですよ。」とよく話していました。人として大切なものは色々ありますが、上記3つのスキルの中で言えば「傾聴力」は大事だと思います。日常的に「Yes,and」ができている子どもは問題ないでしょうが、常に「but」で話している人は苦労すると思われます。小中学校で学んだキャリア発達がこのように、人格完成時期にある高校生で表面化するので、小学生の頃から人としての生き方を方向づける内省化の学習であるキャリア教育で力をつけていくことは大事なのだと改めて考えた次第です。私自身にとっては「既に遅い」のかもしれませんが、見直すことは続けていきたいと思います。

2026.08.25

よのなか先生~サンシャインアカデミー 藤江さん

 本日は、昨年11月16日に日知屋東小学校6年生でよのなか先生になっていただきましたサンシャインアカデミーの藤江顕様の「4つの力」を紹介します。

 

 お仕事の詳細は11月17日にブログで紹介しましたので、お時間のある際に下部アーカイブの「11月」から読んでいただけると有難いです。

 

 まず1つ目の「人間関係形成・社会形成能力」である「かかわる力」について、「『アフリカ人だから遅れているだろう」と思うと恥ずかしい目にあいます。』と言われます。さらに、「人間で、日本人で、宮崎県民で、日向市民で、日知屋東小学生で、男子で、ゲーム好きで..」というのが「それがあなたのすべてではないよね。」と問われるとハッとします。そして、「人を見る目は真っさらに」して、「『決めつけない』ことが大事だ」と言われました。私たちが持っている所謂「偏見」というものに鋭い指摘をしていただきました。

 その指標としては、「それは、自分を見る目も同じです。『どうせ』はNGワード」と具体的に身に付けておくべき姿勢を伝えられました。

 

 2つ目の「自己理解・自己管理能力」となる「見つめる力」については、「慎重なのは悪いことではない。」を強調されます。「世界は楽しいところだけれど、危険もいっぱい。」で、「テロや食中毒」には注意しなければならないが、「しかし、それは日本でだってあるよ。」ということを改めて考える必要があり、注意しないと「交通事故やSNS炎上、詐欺、闇バイト」など、アフリカを特別視する姿勢の転換を求められます。

 

 3つ目の「課題対応能力」としての「やりぬく力」では「みんなで作る。みんなを支える。」が大切だということでした。アフリカにはことわざがあり、「早く行きたければ一人で行け、遠くに行きたければで行け」があるそうです。人間の歩みとして発展してゆくことを考えると協調力が大切になってきます。人と繋がりあうことで解決の道が拓かれると言われているのでしょう。


 

 最後の4つ目の「キャリアプランニング能力」としての「見通す力」では「世界には計画がある。君もメンバーにならないか?」と呼びかけられ、SDGSを示されました。これはさすがに子どもたちも見覚えのある図でしたが、こうして藤江さんのお話を聴いていると、アフリカを考えることで現在の日本の姿が見えてきて、ひいては自分の在り方まで丸裸にされたように感じます。真にSDGSを実行可能な目標とするには果てしない覚悟の上の営みにも思えますが、実現できそうなところから進めていく必要がありそうです。

 

 藤江さんは最後に、「今から大切にして欲しいこと」として、「今できることをやる(無我夢中で・カッコ悪くても)」「失敗していいので挑戦する(失敗の数・恥の数だけ成長します)」と話されました。アフリカという地理的には日本から遠く離れた土地で現地の方々と交流する中では、無我夢中に挑戦し続けるという姿勢が大切なのだと体験が滲み出た言葉であると受け取りました。若者には、一度きりの人生を大事にして挑戦して欲しいと心から願います。

 

 藤江さんはケニアの大都会ナイロビにJAICA職員として赴任された経験を、最新の外国事情の提供や、外から日本を俯瞰的に見る視点まで与えていただき本当にありがとうございました。その藤江さんは現在、パラオで勤務されています。第二次世界大戦の激戦地ペリリュー島のある島です。私はその大戦の本を読み、日本人の知恵と忍耐強さには驚愕の思いがしましたが、しかしそれは無謀で悲惨な歴史でもあります。現在は南海の楽園となっている島であり戦争の傷跡が残る場所でもあるので、ぜひ訪れて現地で感じてみたいと思いました。


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