日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026年06月

2026.06.11

LIFT OFF

 昨日夕方は金星と木星をご覧になれたでしょうか。孫とバタバタしながらも見て撮影することができました。ちょうど知人から連絡が入ったので知らせると、「見てみます。…あれが金星と木星だったとは知りませんでした。中学生の頃、吹奏楽をやっていたので、『木星』を口ずさみながら見ることができました。ありがとうございました。」と連絡をいただき、こちらまで嬉しくなりました。2枚目の画像を拡大し確認すると、左下の木星の周辺に4つの衛星(イオ、ガニメデ、カリスト、エウロパ)を見つけ興奮しました。

 

 さて、宇宙関連のお話の続きで興味のない方には申し訳ございません。

 10日から延期になりましたH3の6号機・30(サンゼロ)形態が、明日12日(金)種子島宇宙センターから打ち上げられます。9時53分59秒という極めて細かな時刻です。天気はよさそうです。この細かな発射時刻について調べてみたのですが、細かすぎて紙面が足りないので、安定軌道の「成功確率の窓」があるらしいということに留めます。

H3ロケット6号機 JAXA

 

さて、打ち上げの方向ですが、日向の(株)矢野産業日向支店はお分かりでしょうか?日向ICの南西側の上空を向いてください。過去の例では、ちょうどその採掘場の稜線から白い煙がシュルシュルと上り、時間と共に煙が強く蛇行した曲線として上空へ伸びていくのが分かります。

 

2023年9月7日のH2Aロケット847

 

 H3ロケットは地球低軌道、静止トランスファー軌道など、さまざまな軌道に向け、多種多様な大きさ、重さの衛星を打ち上げるために、複数の機体形態を用意しています。30(サンゼロ)形態というのは、3の液体エンジンのみで固体ロケットブースターがなのでそう呼びます。あのスペースXと同じような形態になります。

 

H3の6号機30形態の何が凄いかといいますと、柔軟性(利用用途にあった価格・能力のロケットを提供)、高信頼性H2から継承した高い打ち上げ成功率)、低価格(自動車など国内の他産業の優れた民生品を活用するようにライン生産に近づけ、ロケットブースタを装着しない軽量形態)で開発を加速、スムーズにできるのが大きな特長です。

 我々庶民は、「安いといったっていくらなんだろう?」とそっちが気がかりです。約50億円と聞くと、ひぇーっと目が飛び出ますが、アメリカのスペースXが約100億円ということに比べると半額にはなる訳です。(ただし、スペースXは再利用できる)

左端が30形態

 

 そういう意味ではスペースXと同じような形態ともいえます。6号機は、実験ロケットですから実衛星は搭載せず、代わりに「性能確認用ペイロード(観測機器)」を搭載して飛行実証します。

 

20231213日ふたご座流星 北方町にて

(拡大するとよく分かりますが…厳しい)

 

アメリカ主導のアルテミス計画では、本年9月に有人月面着陸が予定されています。宇宙開発では遅れをとっている日本は昨年JAXAが、2040年代に月面で40人が滞在する本格的な基地構想というのを発表しました。ほんまかいなー(いや、まこっちゃろかい。)

私は科学好きですが、一方で伝説の「しか住まない」地球唯一の衛星に人が住んでいいものか、と離れてみるからこその美しさという風情にも一票投じたい気分もあります。

久しぶりの晴れ間で湿度の低い週末になりそうです。色々な人の働きがあって、そういう意味でたくさんの人のを乗せて宇宙へ出発するH3ロケットのLIFT OFF(発射)。

明日12日(金)午前95359秒、南の空を見届けたいと思います。

2026.06.10

金星と木星

 

 木星と言えば何を思い浮かべますか?ジュピターで平原綾香さんですか。では、金星と言えば、ショッキング・ブルーのヴィーナスでしょうか。それとも、相撲好きな方なら平幕力士が横綱に勝つ金星(キンボシ)でしょうか。

  ご存知かもしれませんが、この2つの星が69日(昨日)を中心に大接近します。極端に珍しいことではありませんが、日頃夜空のことなど構っていられない忙しさだからこそ、少しの間時間を取ってみるのもよいのではないかと思います。

 金星は地球に一番近い惑星で太陽と月に次いで明るく見え、明け方に見えるものを「明けの明星」、夕方に見えるものを「宵の明星」と言われています。また、宵の明星のは一番星として「見いつけた~」と歌ってきました。明るさの等級は4.7等級なので物凄く明るい訳です。ただ、私たちが知っている星は途方もない距離にあるため、実際の星の輝きはどれくらいか分かりようもありません。

Wikipedia金星

  金星は実視等級-4.7で、もしすべての星が地球から同じ距離にあったら」の絶対等級」では-4.4になります。はくちょう座のデネブ実視等級1.2で絶対等級は-7.2)までの明るさではありませんが、金星はかなり明るい星であり、我々地球から見ている通り一番星にふさわしい星だということが分かります。 

同縮尺にした場合の金星(左)と地球(右)

  木星と金星が、夕方から宵の西北西の低い空で最接近するのは昨日9日になりますが、中旬くらいまではかなり近い位置で見ることができます。勿論これは見かけ上の接近になります。金星は地球より太陽側を約224かけて太陽を回って(公転)しています。それに対して木星は12で公転しています。ですから、地球より速い回転速度で公転している金星を地球から見たとき、ちょうど木星側にくるという現象がこの6月に起こるということになります。(木星の情報については長くなるので今回は省略します。)

地球から金星までは約4000万kmで、木星までは約7億kmです。公転周期上は地球から真逆の位置関係にあり、こんなに離れた2つの星が見かけ上とはいえ接近しいかにも近くにあるように見えるということにロマンを感じます。 

星図

詳しくは『アストロアーツ』で

  私は土曜日夕方、とお倉ヶ浜へ行きました。低気圧の影響で海は荒れていたので砂浜で砂遊びでした。孫はこの日は何の道具も持ってきていなかったのですが、流木を拾っては遊び、それに飽きたら延々と走り回りました。やはり大自然の中では余計な小道具はいらない。子どもは遊びの天才だと実感しました。孫はを見ると「トントン」と柏手を打ち拝みます。昨年の私の教えを引いているようです。

脳科学者小泉英明氏は、「子どもを育てるために一番良い影響は自然体験芸術鑑賞だ」と言われます。自然の中で生き、自然に教えられる生き方は、人間が本能的に身につけておくべき姿ではないでしょうか。自然から学ぶことで、これからの厳しく、そして災害の多い時代を生き抜けるのではないかと、孫には、先行く者の務めとして伝えていかねばと思いを巡らせます。

今夜は「晴れ」そうです。7時を過ぎて西の空に一番星(金星)を見つけたら、その左隣に輝いているのが木星です。遥か7億km離れた惑星が肉眼で見えるのですから、こういう見方で30分から1時間、夜空を眺めてみると贅沢な時間になりそうです。星座早見があればさらに他の星について知ることができ、名前が分かると楽しくなると思います。金星と木星が夕空で競い合うように輝く光景は、刻一刻と変わる空の色と併せて実に美しいと思われます。平原綾香さんの『ジュピター』、それとも、ホルストの『惑星』を聞きながらなら、なお豊かになれそうです。

2026.06.09

社会体験学習を支える大人の研修会

 

 先週、市内の中学校と事業所の担当者が一堂に会して商工会議所で研修会を実施しました。「14歳のよのなか挑戦」(社会体験学習=職場体験学習)に関する共通理解のための研修会になります。

 

 初めに「14歳のよのなか挑戦協力事業所の会」の会長である(株)マルイチの高木亮輔会長から、「子どもたちがキャリア教育に熱心に取り組んでいく姿は日向市の喜びとなっていきます。」とご挨拶をいただきました。続いて、三樹教育長から「今の子どもたちには学びの渇きが必要だ」と激励の言葉がありました。

 

 

 さて研修会の中身に入ります。

 教育委員会の久松先生から「14歳のよのなか挑戦」に関するプレゼンがあり、「生徒に社会への参画意識を高めさせ、自己のキャリア形成につながるような体験活動にすることが大切だ」と分かり易い話をいただき参加者が熱心にメモを取られていました。

次は私のプレゼンになります。中学生に対して、人間関係形成能力や自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力の4つの力を獲得できるような社会体験学習(職場体験学習)を構成することで充実した3日間を送れるようになること。課題解決型の社会体験学習にするためには事前の「お膳立て」が必要であり、オリエンテーションで事業所と生徒が対面し事業所からミッションを提示していただくこと。それに対して体験活動までに生徒なりに解決を試みて調査活動をしておくこと。体験終了後の発表会ではミッションに対する生徒からの提案を行うことなど、新しい視点でのお話をさせていただきました。

 

 講話後の協議の時間には、各中学校の管理職、担当の先生方が別々に事業所とのグループに分かれ、自己紹介の中でそれぞれが抱えている課題について話題提供を図り、それについての協議をしていただきました。協議中や最後の報告では次のような意見が出されました。

「事業所としては、スタッフ不足社会情勢の影響から年々受け入れが厳しい状況になっている。」、「取組は理解しているものの生徒の対応がなかなか難しく手間をかなりとられることを憂慮している」、「校区周辺で賄えるように調整中だがなかなか難しい場合もある」、「事業所にとっても学びの機会となっている」、「保育施設になると小さな子どもに対する接し方に個人差が大きいので関心の高さは必要だ」、「考えることを嫌う生徒が増えていると感じる」など本音で語り合える貴重な機会となったという肯定的な意見が多く出されました。

失敗や挫折は挑戦したからこそ味わえる」とアインシュタインが言っているように、ホンモノの現場でこそ中学生に大いに失敗や挫折を経験してもらい、「自分は何者なのか」「社会の中の自分の価値はこれくらいなのか」と自分が近い将来、消費者ではなく生産者として社会を構成する一員になることを自覚する絶好の機会になりますので、事業所の大きな懐をお借りしたいと思います。

 ご参加いただいた協力事業所の皆様、学校関係者の方々、本日の研修会が生徒の皆さんのキャリア形成に繋がるように我々も支援して参りますので、有意義な取組として構成していただきますようお願いいたします。短い時間の中でしたが充実した研修会になりました。ありがとうございました。

 

明日6月10日(水)H3の6号機、30形態の打ち上げは天候不順のため延期されました。週末を期待したいと思います。

2026.06.08

よのなか体験教室~東郷学園若竹分校

 先週、東郷学園若竹分校の中学生が体験学習としてSEIKADO様を訪れフルーツサンド作りを行いました。到着するや早速着替え、手洗いをして準備万端です。

 

 SEIKADOの緒方康彦さんから作業工程の説明を受けた後にフルーツサンド作りが始まりました。初めに、パン生地の上に乗せるイチゴをカットします。生徒の皆さんは初めての体験に緊張したりブツブツつぶやいたりしながらも上手にカットすることができました。続いて、パン生地にクリームを乗せます。「敷く」と言った方が良いのか専門用語が分かりませんが、両手でクリームを絞って、スキー場の圧雪車が掛けるピステンのように(余計わからん!)縞模様が入った平らなクリームを4列くらいパン生地に絞り出していきます。その上にイチゴを乗せてさらにクリームを乗せます。この工程が一番緊張するようです。それもそのはず、生徒にとっては完成形が分からないのですからすべてが未知の体験になります。

 クリームのあとには最後のパン生地をかぶせてラッピングします。本来なら一晩冷蔵庫で寝かせるそうですが、今回は生徒に試食させようと緒方さんが早めに冷蔵庫から取り出してくださいました。さあ最後のカッティングに入ります。

 

 カット専用の大きな洋包丁を持つ生徒は職人さながらです。緒方さんのアドバイス通りにはうまくいきませんが、全員がラップの上から仕上がったフルーツサンドを4等分にカットしました。

 

 

いよいよ試食の時間です。自分で仕上げたフルーツサンドの味は「おいしい。」「うまい!」「うん、うん」と肯定的な感想が飛び出すほど生徒にとって嬉しい時間となりました。東郷学園本校の校長先生もお見えになり、生徒が手作りサンドを贈られました。試食中には、生徒から「一日の来客数は?」や「何年やってますか?」、「やりがいは何ですか?」、「売り上げはどれくらいですか?」など実に率直でユニークな質問が飛び出し、緒方さんは一つ一つに丁寧に答えてくださいました。また、スタッフの方も生徒の扱いに大変慣れておられて、気さくにテンポよく対応してくださいました。「学問なき経験は、経験なき学問に勝る」という言葉があるように、机上であれこれ聞くより、体験することが人間関係形成の上でも一番の財産になるということを私も改めて感じた時間になりました。こうして市内の事業所の皆様が東郷学園若竹分校の生徒を温かく受け入れていただくことで、生徒の皆さんの社会性が培われていくのだと実感しました。午前中の一番お忙しい時間帯に生徒の受入を快く引き受けていただいたSEIKADO様には感謝申し上げます。

 

夢へのトライとはいえ、直接的関係はないのですが・・・。🚀

明後日、6月10日(水)H3の6号機、30形態が種子島宇宙センターから打ち上げられます。9時59分という最新の情報です。天気予報が雨70%です。どうなるでしょうか。日向の(株)矢野産業日向支店はお分かりですか?日向ICの南西側の上空を向いてください。ちょうどその発破現場の稜線から白い煙がシュルシュルと上り、時間と共に煙が強く蛇行した曲線として上空へ伸びていくのが分かります。打ち上げを期待しましょう。

2026.06.04

デジタル、アナログ

 世の中にはどうしても人々を分類したがる傾向が見られます。私は好まないのですが、血液型だの、星座だの、ありとあらゆる分類がまかり通っています。そのほとんどが科学的根拠のないものなので気にするだけ無駄な時間だと流しています。

そんな分類の中に「デジタル人間」「アナログ人間」というものが最近目立っているようです。これもどこかで個人を線引きできるものではないのですが、「あなたは?」と問われると困ってしまいます。どちらもあるからです。しかし、一日の中でパソコンやスマートフォン、そしてそれらを繋ぐガジェットと呼ばれる類の物を扱っている時間は確かに長いです。そうなると「デジタル人間化」しているのかもしれません。時折、「あれっ、この漢字どう書くのだったっけ?」などと、恐ろしい記憶の飛散を実感することもしばしばです。こうなると、デジタル化の影響なのか、加齢によるものなのか分からなくなりますが。

ガジェット

 

さて、本日はそんな日常の不安にぐさりと矢を突き刺してくれる文章を俵万智さんの投稿に見つけましたので紹介します。俵万智さんと言えば『サラダ記念日』ですが、宮崎にも長く住んでおられて、日向市で毎年行われる高校生の『牧水短歌甲子園』の審査員もされていました。最近も時折テレビで拝見し、息子さんとの短歌でのやり取りなど、親子の絆にも心安らいだばかりです。

 

歌人 俵万智さん

 

そもそも論ですが、人類が道具を必要とするのは「こんなことができたらいいな」「こんなことができなくて不便だな」が出発点だと思います。私自身は、紙の教科書で学び、紙の教科書で教え、そういった気持ちになったことは一度もありませんでした。必要にして十分な環境にいるのに、デジタルの教科書から「こんなことできますよ」「あんなことしてみませんか」と言われているわけですが、「わあ便利! こういうの欲しかった」とはならないなあというのが実感です。むしろ、弊害のほうが怖い。 (略)

 今の時代、電子機器といかに距離をとらせるかに、頭を悩ませている保護者は多いと思います。「え、それなのに学校で積極的にデジタル端末に触らせてしまうの?」というのが正直なところです。私自身は、機械に弱いので的外れな言い方になっているかもしれません。電子辞書を初めて使ったとき、鳥の鳴き声(今なら動画?)が出てきて「おお」と嬉しくなった経験はあります。けれど、文字の説明と、実際の鳥に会う経験との中間に「これって、いる?」とも思いました。デジタル情報は、中途半端に会った気にさせます。端末を手にすることで気が散る、子どもには情報量が多すぎる、検索して手軽に結論を得る癖がつく、視力の低下……聞こえてくる弊害は多々あります。その解決策が示されないまま導入することは、大げさに言えば人体実験ではないでしょうか。子どもの人生は一度きりです。もっと慎重になるべきだと思います。

 最後に、さらに「そもそも」なことを言いますと、教育にとって大事なのは、教科書よりも教員です。優秀な人、素敵な人が教員になれば、紙とかデジタルとか関係ありません。デジタルに使うお金があるなら、先生がたの給料を上げたほうが、よっぽどいいのではないでしょうか。

 

 もともとこの文章は、「デジタル教科書」を問い直す~危ぶまれる子どもたちの思考力~という文字・活字文化推進機構において俵さんが投稿されたものになりますので、紙の教科書の利点を強調されています。この部分のみで判断するべきではないので、ほかの投稿者の文章も読んでみたいと思います。

 

それはそうと、私も現役教員時代の終盤はデジタル機器を駆使して映像による理解の早さを求めていたようにあります。また、子どもにスマホを持たせるべきではないと思いつつも、学校では徐々にタブレットが導入されようとしていました。俵さんの最後の言葉「デジタルより教員に投資」には説得力があります。私のアプローチとしては、「お金がないなら、教員の給料を3分の2にして、週を半分にして勤務させる2人体制にすればよい。」とぶっ飛んだ方策を考えます。実際にアメリカの州では実施されているところもあり、週前半の校長と後半の校長が、水曜日午後に引継ぎをして、「じゃあ、後はよろしく。」と帰宅するそうです。

 

東京書籍デジタル教科書

 

 私は孫に絵本を読んで聞かせる機会があります。いろいろな絵本があるのですが、その中にデジタルを組み合わせたものがあります。俵さんの話にあった「声の出る本」です。動物の写真をタッチすると鳴き声が聞こえてくるのです。孫は鳴き声と写真からその動物を理解するようになったのですが、言われてみれば「知ったようになる」だけのことで、実際の動物園で見る動物の臭いや息遣い、迫力といったものは伝わらないと思います。

以前、いつかどこかであった事件のように、幼児が怖い動物にスーッと近づいて怪我をしたというのも、何らかの危険予知ができない状況があったのかと思い出した次第です。便利なものを活用することは人間の進化の過程では当然の成り行きですが、そこには自身の生き方のスピードにマッチした丁度良い「塩梅」を加減することが必要なのだと今後も考え続けたいと思います。

2026.06.03

足りない部分を補い合う暮らし

 台風6号では被害はなかったでしょうか。原油高騰に加え、自然災害への対応など多く打撃を受けている方もおられると思います。それでも乗り越えないといけないので厳しいものです。いっときでも忘れられればと、本日は山の話をご提供します。

 

 私はこれまで北アルプスの冬山を中心に、夏も幾度となく訪れました。北アルプスというのは本来飛騨山脈と言われている部分になります。北は糸魚川の親不知から発する栂海(つがみ)新道を経て白馬岳(しろうまだけ)に達し、五龍、鹿島、針ノ木、水晶など名だたる後立山連峰を越えて、南部の名峰槍ヶ岳へと通じます。今「後立山連峰」と言いましたが、その名の通り「前立山連峰」もある訳です。ただ「前」は付かず「立山連峰」と呼んでいます。剱岳に始まり、最高峰の立山(雄山=おやま)を経て、絶景紅葉の五色ヶ原、薬師岳、黒部五郎岳とずらりとこちらも名峰が並んでいます。この二つの連山は三俣蓮華岳で合流し、槍ヶ岳へと繋がります。ちなみに、この二つの合流点である三俣蓮華岳から後立山連峰へ少し入り込んだところに、昭和のスター野口五郎さんの名前の由来である野口五郎岳があります。(失礼、今も現役で歌っておられますね。)

立山は日本三霊山(富士山、白山、立山)の一つであり昔から信仰の山なので、歴史の古い立山が「表」になるということでしょう。西暦701年佐伯有頼が立山を開山し立山信仰が盛んになり、槍ヶ岳は播隆上人が1828年に開山したということからも立山の歴史の古さが伺えます。(立山町周辺には佐伯姓がとても多いです。現在も剱岳周辺の山小屋の御主人は佐伯さんが数人おられます。)

 

 私が初めて登った北アルプスは槍ヶ岳で、その山頂直下には播隆窟という岩屋があり、播隆上人が、この岩窟に48日間も籠って念仏を唱える修行をしたとの歴史を知った時に、この山の持つ歴史と威容を感じ取ったことを今でも覚えています。ただ、当時は初めてのアルプスということで空回りした体力が限界を迎え、この播隆窟を通るころにはヘロヘロになっていたのも事実です。

一方の立山連峰にある剱岳に登ったのはそれから数年後のことでした。そんな北アルプス通いを30数年に渡って続けて来た山屋にとって、北アルプス南部に聳える名峰槍ヶ岳は、難所の北鎌尾根を初め、東鎌尾根、西鎌尾根、そして槍穂高縦走の大キレットへつづく東西南北の中心点、そして記憶の真ん中に位置づいています。

 

 

♪「アルプス一万尺、小槍の上で、アルペン踊りをさあ踊りましょ。」と歌われた「小槍」というのは、槍ヶ岳の隣になる岩峰のことを指します。一万尺は約3000mになり、3080mの槍ヶ岳の直下だから一万尺と表していることになります。ここはロッククライミングの要素でしか登れないので限定的な山(岩)と言えましょう。ところがこの小槍の山頂は畳一畳ほどしかないので、アルペン踊りは難しそうです。それでも過去には山頂でダンスをしている(ような)グループもあったので、世の中には物好きがいるということです。♪「アルプス一万二尺、槍の山頂で、アルペン踊りをさあ踊りましょ。」なら、8畳ほどの広い山頂で踊れたのにと、無駄な想像をしました。

下の画像の左側にある大きな岩峰が小槍になります。真ん中にちょこんと突き出している円錐形の岩は孫槍と言われ、画像には見えませんがその上にさらに小さな槍岩があり、それは曾孫槍と言われています。(下の画像は槍ヶ岳山荘側から見たところです。)

 

 さて最近、槍ヶ岳山荘で働いているニノさんという方のブログを見つけました。私も昔山荘でアルバイトをする夢がありましたが実現しませんでした。今思えば、考えすぎなんですよね。「試すことに失敗はない」ので行ってみればよかっただけのことです。だめなら帰ってくることだけだったのに、当時すでに色々考えすぎたのでしょう。私のことはいいですが、そのニノさんが、人からの学び自分との向き合い方について印象的なことを書かれていましたので引用させていただきます。タイトルは「山の暮らしで感じている事」です。

 

 「スタッフ同士は生活も共にするので、仕事だけではないその人の一面がより色濃く見えるところも、私にとっては興味深く、そこから自分がどう在りたいかなど内省する機会をもらっています。お互いの得意を引き出し合いながら、不得意を補いあいながら共同して暮らす良さがここにはあります。街では生活と仕事は別になりつつありますが、現代社会で失われてきた人間の何か動物的な部分での「補い合う」生活が山小屋にはある気がしています。山にいると自分はちっぽけだなあと感じますし、あがいても自分は自分でしかいられないんだなあとなんだか安心ともあきらめにも似た感情にもなります。と同時に人間のあがいたり、迷ったり、もがく美しさや強さをより鮮烈に感じます。なんていうか、、、そこがいいです。」

 

 先日のブログで書いた「醤油貸して」ではありませんが、「足りない部分を補い合う」気持ちでゆっくりと人生を進めていける。そんな支え合いの生き方が人間らしいというか、穏やかな暮らしに繋がっていくのでしょう。自然の中に身を置くと、人間はに帰れることが上の文章からも分かります。大自然の中ではちっぽけな人間なんて本当に無力だということを感じます。町場の雑然とした空気の中にいる時に解放されない自分に気付くと、自然の中では余計に人間らしい部分を取り戻せるのかもしれません。

 お付き合いありがとうございました。

2026.06.01

よのなか教室~事前学習~大王谷学園中等部8年生

 先週、大王谷学園中等部8年生のよのなか教室事前学習に行ってまいりました。改めて紹介しますと、市内の職業人を招いて小中学校である学年に「4つの力」を中心に、生き様や仕事の話をしていただくのが「よのなか教室」という社会人講話になります。

 そのよのなか教室の本番のみでは、児童生徒が高い吸収力を発揮するのが難しいのではないかとの判断から、聞き取りを強化するために私が1~2週間前に、その該当学年の各クラスに1コマずつ入り授業をするものをよのなか教室事前学習と呼んでいます。

 

 先週は、大王谷学園中等部8年生(中2)の3クラスで1コマずつ授業をしました。本番のよのなか先生同様に、私の自己紹介から入り、人生グラフ、仕事を選択したきっかけ、仕事上の苦労ややりがいなどを、画像と共に紹介しました。時折、確認の意味で生徒たち同士で話し合う場面も取り入れ、対話的な学習を目指しました。

 核心の4つの力の場面では、「①相手を尊重し社会を理解する力 ②自分を正しく知りコントロールする力 ③課題を見きわめ解決の工夫をする力 働く意義を知り、将来を切り拓く力」という4項目について、私なりに教師と言う仕事で感じてきた必要な能力を話しました。

 この4つの力は、文科省の言うキャリア教育で目指す「基礎的・汎用的能力」の4項目を、児童生徒に分かり易く我々が整理したものになります。どのよのなか先生の授業でも、またよのなか挑戦(職場体験学習)でも獲得して欲しい力になります。下の画像のようなプレゼンテーションを提示しながら、社会人として対応していく時に必要となる力を生徒に分かり易く伝えたつもりです。

 私は「事前学習」という立場ですから、ワークシートを配布するものの、あまりにも生徒の皆さんが真剣な表情で前を向き話を夢中で聞いてもらっていると、「今の話はこの部分に書くといいね。」と、メモの場所を示すこともします。本番のよのなか先生と同じようなワークシートなので、きっと当日は生徒の皆さんは上手に聞き取ってくれるのではないかと思います。

 

 また、各場面で生徒同士が聞き取った内容を話し合いそれを発表してもらう活動を取り入れ、確認しながらゆっくりと進めることができました。いわゆる主体的で対話的な学習を目指してのことです。以前のこのブログで、事前学習では「私の話」と「エピソードシート学習」を2本立てで取り入れていると書きました。確かに多くの社会人の学習はできますが、消化不良を起こしているのではないかとの反省から、今回は「私の話」一本に絞りました。

 学習の最後には生徒の皆さんにアンケートを実施しました。現在は、個人のタブレットを使って私が用意したQRコードを読み取ると、生徒の皆さんが打ち始め、あっという間にアンケートが終了します。当日中に私はアンケートの中身を確認することができ、本日、学校へ分析・考察と共に結果を送りました。時代は進んでいるのですね~。その結果では、「失敗を恐れず挑戦する」ことが印象的だったことが分かります。 

また、自由記述では、「今まではやってみたいことがあやふやだったけど、今日のお話で少しやってみたいことの輪郭が見えてきました。」や「将来の夢を叶えるのは難しいけど今日の話で自分にできることを今から頑張って見ようと思いました。」、「試してみることに失敗はないという言葉が印象的で、明日は今日と違う自分を目指して失敗を恐れず挑戦してみたいと思います。視野を広く、向上心を大事にし、自分の意見や心に芯を持ちたいなと思いました。」など、生徒がそれぞれ噛み砕いて自分事として話を捉えてくれていたのは嬉しい限りです。日頃の学習に対する姿勢を学年全教師で向上させていることが、学習への生徒の真摯な向き合い方から察することができました。

 中学生と言う二度と帰らない青春真っただ中のこの時期を、存分に楽しんで今考える自分の夢へ向かって一歩一歩進んで欲しいと願います。

 2週間後のよのなか教室本番では、私は別の中学校で事前学習を行いますので見られないのが残念です。スタッフから様子を聞きたいと思います。

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