Hyuga City Career Education Support Center
2025.11.19
本日は、キャリア教育につきまして改めて学校の教育活動の中での位置づけにつきまして考えてみたいと思います。硬い話になりますがお付き合いください。
学校においてキャリア教育は教育活動全体で実施することになっています。その中で中核となる時間は「特別活動」の時間になります。特別活動は、学級活動、児童会(生徒会)活動(委員会活動など)、クラブ活動(中学校にはなし)及び学校行事で構成されます。そのどれもキャリア発達につながる活動になりますのでキャリ教育と関わりがあるのですが、特に年間35時間、つまり週1時間の学級活動の時間に「学ぶことと将来へのつながり」としてのキャリア教育が要として位置づけられています。したがいまして、キャリア教育の要となる学習は「特別活動(学級活動)」になります。中学校や高等学校には「進路」の学習内容が位置づけられていますが、小学校に「進路」は学習指導要領上には位置づけられていないので、「自己の生き方についての考えを深め,自己実現を図ろうとする態度を養う」として学ぶようにしています。具体的には「一人一人のキャリア形成と自己実現」を設け、キャリア教育の視点からの小・中・高等学校のつながりが明確になるように学習を設定しているのです。また、中学校においても「一人一人のキャリア形成と自己実現」については,一人一人の意思決定を行うことを示しています。つまり、以前からお話しているように、自己の在り方や生き方について考え、振り返るのがこの特別活動の時間になるということです。具体的な学級活動の内容としては、たとえば小学4年生で見てみると「4年生になって」とか「日直・係の仕事」などのようなタイトルでよく4月に行われているところです。
小学校には「進路」の学習がないと申し上げましたが、現行学習指導要領が施行された年度で10年前と比べてすでに、入学者選抜を実施している私立学校が46校、中高一貫併設校及び中等教育学校(国公立)が338校増加しているのですから、受験(受検)する6年生が増加している状況を考えると、今後の学習指導要領には小学校においても「進路」の学習が含まれてくるのではないかと予想しています。
以上のように、キャリア教育は特別活動を要としているとはいえ、全教育活動を通して行われなければなりません。では、キャリア教育が各教科学習の中でどのように位置づけられているのか、その一部を見てみましょう。
「伝記を読み、自分の生き方について考える」という内容が国語に組み込まれ、また、「電気の働きを利用した道具が生活を支えていることを理解する」という学習が理科に入ります。道徳になると、「先生や学校の人々への敬愛を深め、みんなで協力し合いよりよい校風をつくる。」などのような時間もある訳です。
学校教育全体でのキャリア教育をイメージを図式化したものが以下になります。(例:中学校)

整理すると、キャリア教育は学校の全教育活動を通して行うもの。「進路」や「生き方」について深く考えさせ直接的に指導する時間が特別活動の時間になり、各教科の学習でもキャリア発達につながる学習内容が盛り込まれ、探究的な考え方、まとめ方ができるように重点的に指導しキャリア教育の体験的な学習をする場が総合的な学習の時間ということになります。
本日からは大王谷学園7年生がよのなか挑戦(体験学習)をスタートさせています。4月からのよのなか教室や事前学習などを経て本日を迎えたことと思います。3日間が充実することを願います。事業所の皆様よろしくお願いいたします。
2025.11.18
15日(土)、初めて女子サッカーの公式戦「皇后杯」を観に行きました。前日宮崎にいて新聞を読んでいましたら、門川出身であるヴィアマテラス宮崎の水永監督が今大会で退任されるという記事がでていたので、これは行かねばなるまいとなったのです。

スタジアムは想像を超える大きさと立派さで圧倒されました。サブグラウンドなども充実していてフィジカルセンターも設置されていました。インターチェンジから近いのですが、アクセス道路が少し狭かったかなと思います。

さて、試合ですが、相手は日体大SMG横浜という、やはりヴィアマと同じくなでしこ一部リーグのチームです。試合は始まってすぐにゴール前の接戦からヴィアマが失点してしまいました。その後、見事なシュートで1点を取り返し後半へ入ります。するとまた日体大SMGに1点を取られましたが、またヴィアマが取り返すという大変面白い試合になりました。同点に追いついたので、さあこれから逆転に進むというはずが、相手に追加点を許し結局そのまま試合終了となってしまいました。

試合後監督は、たくさんの応援をもらいながら勝ちきれなかったのはすべて監督の責任だと語っておられましたが、失礼ながら、見ていて大変面白い、感動する試合でした。点を取られても決して諦めず点を取り返すというあたりがこのチームの底力なのかもしれません。以前テレビ番組で、ヴィアマの選手が新富町の地域協力隊として地元に根付きながら町民と深く触れ合って活動を続けている姿を見ました。それで町民の高齢の方々がサッカー場まで出向いて選手を応援するようになり、まさに地域一体型のスポーツだと深く納得する次第でした。監督は「戦い敗れて兵を責めず」というリーダーとしてあるべき姿を見せてくれたのだと解釈しています。私の好きな言葉に「桃李もの言わざれど下自ずから径を為す」があります。水永監督は、本当は恥ずかしがり屋で人前に自ら出ていくタイプではないと聞いていますが、監督のように多くを語らなくともその人格に人は付いてくるという皆に慕われる人材が日向圏域から輩出されることを心から嬉しく思います。私も益々キャリア教育に力を入れ、現在の仕事を頑張らなければならないと心に秘めながら、まだ爽やかな霧島下ろしが頬を撫でるスタジアムを後にしました。

*同日の男子サッカー、水永監督前所属のテゲバジャーロ宮崎はAC長野パルセイロに勝利しJ2昇格へのプレーオフ進出を決めました。こちらもこれから目が離せません。
2025.11.17

今朝5時半には西の空頭上に冬の大六角形であるシリウス、リゲル、アルデバラン、カペラ、ポルックス、プロキオンがくっきりと輝いていました。すると間もなく東の空が朝焼けを初め、まだ空高くペーパームーンの三日月が地球照によって影の部分をうっすらと照らしていました。それらの光景はとても美しく、早起きで三文の徳を得た気分でした。
昨日午前中、日知屋東小学校にてオープンスクールが行われました。市内のよのなか先生が講話をしていただくということで参加しました。
まず6年2組でサンシャインアカデミーの藤江顕様からJICAで働いた経験を通して働く意義や将来への目標をもつことについてお話をいただきたました。
中学受験で失敗したことやJICAに入り色々な国を訪問する中で体調を崩したことなどを児童によく伝わるように話していただきました。

アフリカというと広大なサバンナと野生動物という風景を想像しがちですが、ケニアの首都ナイロビは人口が400万人以上いて、人口としては三分の一の福岡市くらいの都会的な雰囲気をもっている高層ビル群のある街に驚きました。さらに、原野の写真には、乾燥地帯と野生動物が写っているものもありましたが、バオバブの木の周辺に、なんと青々とした稲の平原が広がっている写真があったのです。日本の技術協力のもとに稲作が広がった風景は私には大きな驚きでした。「自分以外の人生も考えてみることで豊かな人生になると思うよ」とご自身の経験から子どもたちに語りかけておられたのが印象的でした。

ワークライフバランスはとても大切でメリハリをつけて働くことが必要になると強調され、職員には休みをとってコンサートへいってらっしゃいなど、働き甲斐についての必要性を説明されました。また、「食べ物が体の栄養になるように、人から感謝されることは心の栄養になるので、心と体の健康を保つためには人の為に何かをしていくことが大事だ」と諭されました。さらに、「皆さんにはチャンスがたくさんあるので、いろんなことにチャレンジしてほしい」と今から頑張ってもらいたい方向性を示されました。
続いて、4年生は体育館で合同のよのなか教室を行っていました。
クリーン日向の鈴木睦代様が廃油でキャンドルを作る活動を進行してくださいました。各家庭から持ち寄った廃油を集め、4年生の先生方も総出で凝固剤を混ぜ各グループに小分けしてアルミカップに流し込みました。ただ流し込むだけではなく、段階を追って一段目が固まるのを見届けてからキャンドルの芯を立て、その後、2段目の廃油を流し入れるという手順が必要なことを子どもたちは学び取りました。

私が体育館に到着した時にはすでに活動が始まっていて、前半の学習内容については、子どもたちがメモしているワークシートから読み取ることができました。クリーン日向では20年ほど前からペットボトルのキャップを集めていて、貧しい国の子どもたちのワクチン接種のための資金づくりに取り組み、これまで8万人から9万人の子どもたちに提供することができたそうです。まさに「捨てればゴミ、分ければ資源」なのだと体感的に子どもたちも学んだことと思います。
昨日の日知屋東小学校でのよのなか教室は、オープンスクールという機会を捉えての活動となりましたので、たくさん来られていた保護者の皆さんへ学習を提供する場としてもとてもよかったと思います。日向市内には直接海外へ出向いて貢献する方やそういう人材を小さい頃から育成する仕事の方、廃棄物を有効活用して世界に支援をしている方など実に幅広い分野で活躍されている方々がおられ、それを身近に学習する良い機会となりました。昨日はほかの学年でも事業所の方をお呼びし学習をしている学年があったと聞いています。ご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました。
2025.11.12
台風26号はフィリピンに甚大な被害をもたらしています。何ができるか考えたいと思います。
さて、宮崎県の天気は良くないのですが秋は星を見るには絶好の機会なので、壮大な宇宙へ思いを馳せながら夜空を見上げるのはいかがでしょうか。好きな分野ではありますが宇宙に関する知識が深い訳ではありませんので表面的な話になりますが、長いようで短い人生に宇宙が送ってくれる癒しの輝きについて、しばしおつきあいください。

車輪銀河(提供:NASA, ESA, CSA, STScI)AstroArtsより
我々地球人にとって5億光年という天文の単位はまったく想像の彼方の世界でイメージすることすら難しい距離になります。光が一年で進む距離が1光年で約9兆5000億kmであり、月までが約38万kmで、太陽までが約1億5000万kmということです。
夏の星座である大三角をつくる、こと座のベガ、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイルは小学生で学習するので有名ですが、ベガが織姫でアルタイルが彦星という別名があります。この大三角をつくる3つの星はデネブが天の川の中ほどに見られ、ベガとアルタイルが天の川を挟んで対峙している、つまり地球から見ると、大三角が同じくらいの平面で三角をつくっているように見えますが、実は、デネブは地球から約1400光年離れていて、ベガは約25光年、アルタイルは約17光年離れているので、どれも同じくらいの位置にあるということではありません。あくまで地球から見かけ上の形で、星座は夜空の大きな天球に張り付いたように見えるだけです。地球から割と近い「天狼」と呼ばれるおおいぬ座のシリウスでさえ約8.6光年離れているので、星々は途方もない位置にあることが分かります。

霧島にて
私たちは、直径が約10万光年ある天の川銀河に暮らしています。不思議だと思いませんか?銀河の中にいて、どうして天の川が見えるのか? 私たちが暮らす太陽系は、その天の川銀河の中でも端の方にあり、中心から約2万8000光年の位置にあるので、渦の中心(巨大なブラックホール)方向から伸びている「腕」と呼ばれるほかの「川」を見ていることになります。沢山ある「腕」のうち、我々は「オリオン腕」に暮らしています。この天の川銀河の中だけでも太陽のような恒星が約1000億個以上もあるとされています。そうなると、興味のある人は「なら宇宙人はいるのか」と思いたくなります。世の中には、その地球外生命体(ET)を見積もる計算式を考えた人がいるそうです。その話も長くなるのでまたいつか・・・。
現在の研究では、理論上の宇宙の果てまで約500億光年の位置までは分かっていてその先はまだ分からないそうです。その宇宙全体には、我々の住む天の川銀河のような銀河が約2000億個以上あるとされています。

御池にて
初めに話を戻します。1光年ですらすでに想像が難しくなるのですから、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した「車輪銀河」の約5億光年先の位置を想像することは無理なことですが、そのような遠い宇宙にこのような美しい輝きを見せる銀河があるということを想像することは楽しいことではないでしょうか。その中には太陽系みたいな天体のグループがあり、地球のような星があれば誰かが自分と同じように夜空を見上げているのかななんて想像するのも楽しいです。地球から見て太陽と反対側の150万kmの宇宙を漂いながら今後も撮影可能な距離を延ばすであろうジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の活躍に期待したいと思います。
そうそう、私たちの天の川銀河と220万光年の距離にあるアンドロメダ銀河は今後衝突するということが分かっています。エッ!衝突!大変! しかし、広大な銀河なので太陽のような恒星同士が衝突する可能性はほとんどないと言われています。そもそも衝突は約40億年後だそうです・・・。

クルスの海のモニュメント
2025.11.11
今日は少し硬い話になりますが、これからの時代に益々求められる探究的な学習についてのお話になります。
学校におけるキャリア教育は特別活動を中核としながら各教科、道徳、総合的な学習(探究:高校)の時間という様々な教育活動を通じて基礎的・汎用的能力を育成することになっています。その中で特に小中学校では総合的な学習の時間を中心に探究的な見方・考え方で課題解決力を養うように設定してあります。学習指導要領では、「探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成すること」を目指すのが小中高を通して一貫しています。高校ではここに「自己の在り方生き方を考えながら、よりよく課題を発見し」という内容が加わることになります。「自己の在り方生き方」は高校での目標ではないか、ということですが、平成30年度には文科省は「将来の在り方・生き方を主体的に考えられる若者を育むキャリア教育推進」として小中高の体系的なキャリ教育を推進する方向を示しています。つまり、日向市のキャリ教育支援事業である「よのなか教室」や「よのなか挑戦」で目指す「自己の在り方・生き方を問い、生き抜く力を育む」という方向性は正しい方向であると言えます。
そこで本日は、総合的な学習の時間では探究的な見方・考え方をきちんと育てているのか、児童生徒が「何かよくわからないことをしている」とは感じていないか、つまり学びにリアリティがあるかという点について、教育ジャーナリストである中曽根陽子氏の記事「浅いレベルの調べ学習で終わっていないか」をお知らせしたいと思います。
探究の時間は課題に向きあい、力をつける最善の機会のはずですが、求められる要求が高まる中、教員の負荷も増しており、頭を悩ましている先生も多いのではないでしょうか。そんな中、単なる調べ学習に陥りやすい探究学習が、「グローバル視点」と「問いを立てる力」に確実に結びつく、学びに変わる探究メソッドと情報ツールがあるというので、取材をしました。今回話を聞いたのは、探究メソッドを作った慶應義塾大学名誉教授の田中茂範氏と情報ツールRuleWatcher edu.を作ったオシンテックの代表小田真人氏。そして、このプログラムを実践している麗澤中学・高等学校の瀧村尚也氏です。現状の探究活動がうまくいかない2つの理由について慶應義塾大学名誉教授の田中茂範氏は「今の日本の探究プログラムの課題はメソッドがないこと、そして評価方法が明確でないことだ」と言います。その結果、学校や業者が用意したプログラムをこなすだけに終わっていたり、単なる調べ学習になっていたりするケースも決して少なくありません。実際、ある学校で、探究の時間は何をしているのかという質問に、「何かよくわからないことをしている」と答えた生徒がいました。本来、探究学習は「日常生活や社会生活に目を向け、生徒が自ら課題を設定する」ということを目標にしているのですが、そこに至るまでの適切なサポートがないと、浅いレベルの調べ学習で終わってしまいかねないのが現実です。しかし、正解を教える教育に慣れている教員にとって、正解がない授業を設計し評価まで行うのは、なかなか簡単ではありません。メソッドは次の4段階。… 1 現状を知る 2 物事の捉え方・考え方を学ぶ 3 探究活動のしかたを学ぶ 4 自分の探究(研究)を行う 「何が起きているか?」「どのような状況か?」といった記述的問いで現状を視察し、「なぜそうなるのか?」「どのような要因が関与しているか?」といった分析的問いで原因を掘り下げ、「他の現象とどう関連するか?」「全体としてどう理解すべきか?」といった統合的問いで、枝を広げ、つながりを発見し、時間の流れを理解できる… 田中氏は、「この問いは、どんなテーマにも共通して使えるし、物事を多面的に見る思考方法が身に付く」と言います。
そこで、生徒が社会の現状を知るツール情報ツールとして、オシンテックの代表 小田真人氏が作ったRuleWatcher edu.を紹介しています。これは「政府やNGO/シンクタンク/国際機関の発信情報を一元化 」した情報分析で登録が必要なアプリになりますが、生徒が興味を持った情報にアクセスすることで次々に新しい情報と出会い、最終的に自分の最も興味のある問題にたどり着くという情報ツールになります(小学生には難しいですが)。例えば、「ある生徒は、最初に入れたバナナというキーワードからウォッチしていき、最終的にアフリカの貧困地域に関する記事に辿り着き、世界の貧困問題に関心を持ちました。」というような具合になります。そして、これを学校教育に取り入れたのが、麗澤中学・高等学校の瀧村尚也氏になりますが、内容は長くなるので省略して紹介します。
麗澤中学・高等学校の瀧村尚也氏によると、子どもたちは年齢が上がれば上がるほど、これをすれば正解だということをキャッチし、先生の期待に応えようとするそうです。それで良い評価を受けると、また正解探しの悪循環が生まれてしまう。しかし、それでは自ら考える力は身に付かないし、AIの出してきた答えを鵜呑みにする人を育成することになってしまいかねません。「本来探究とは、自分が気になって仕方ないことを探す旅路だと思っていますが、生徒たちはちょっとした情報との出会いで目が輝く瞬間があります。そんな生徒の輝く瞬間を見ていくのが教員にとっても喜びです」と瀧村氏。やはりいかに自分ごと化できるかが、探究活動成功のカギのようです。大切なのは、学びにリアリティがあるかどうか。田中氏は、「学びにリアリティがあるかどうかが欠かせない」と言います。生徒にとって意味があるか(Meaningful)。嘘っぽくないか(Authentic)。実感を持って問題を受け止められるか(Personal)。この頭文字をとったMAPの原理が、教育の導きの糸になるのです。この機会に、現場の先生も、今やっていることが、生徒にとってリアリティのある活動になっているかを見直してみてはいかがでしょうか。…生成AIの活用が当たり前になった今、人間の知的作業は自動化され、残る人間の価値は多次元で考える思考能力だと言われていますが、それによって人々の共感を呼び起こすような選択ができるかどうかが問われます。
私も以前理科の授業をしながら「意味・真実・実感」という学びのリアリティは追究していたつもりですが、児童生徒の認識とはかけ離れていたのかと振り返ってしまいます。今日のこの時間の学習にはどんなリアリティがあるのか、この学びが将来にどう繋がるのか、毎時間意識する授業を目指したいものです。
【参考】

2025.11.10
MLBドジャースがWSで優勝し早1週間以上になります。野球好きな方は感動を共有されたのではないでしょうか。私もその一人です。サムライ3人衆の活躍は皆さんよくご存じの通りだと思います。一方で、チームメイトであるアレックス・ベシア選手が大勝負の舞台を欠席していたことに対する出場選手たちのエピソードには改めて生きていく上での大切な視点を与えられた気がします。すでにご存じの方も多いとは思いますがご紹介したいと思います。
10月23日(日本時間24日)、WS前日にドジャースは救援左腕ベシアがチームを離脱すると発表した。球団によると、離脱理由は家族の深刻な問題に向き合うためで、公式Xは「心から悲しいお知らせですが、アレックス・ベシア選手は、妻ケイラさんとともにチームを離れています。ドジャース組織全体は、ベシア一家に心からのお見舞いと祈りを送っています」と伝えた。
この発表を受け、ドジャース救援陣はWS期間中、ベシアファミリーとの共闘を示す意味で、帽子にベシアの背番号「51」を縫い付けて登板した。そして、この動きは対戦相手であるブルージェイズ側にも広がり、救援陣がドジャースと同じく帽子に「51」を刻みマウンドに立った。
敵味方関係なくベシアファミリーにエールを贈る行動は、多くの称賛を集めた。“キケ”ことエンリケ・ヘルナンデス内野手は「ブルージェイズがああいうことをしてくれたなんて、本当に信じられなかった。WSという最高の舞台で勝利を追い求めている時でさえ、彼らは“人生には野球よりもっと大切なことがある。野球はあくまでスポーツなんだ”と分かっている。あの状況でそうした行動をとってくれたことに、敬意を表したい。そして、我々は彼らに感謝しているということを伝えたい」と語った。また、ロバーツ監督も「本当に大事なものは、まさにああいうことなんだ。本当にアスリート同士の絆を表していると思う。お互いにどれだけ尊敬と愛情を持っているかを物語っている。これはアレックスへの、とても大きな敬意の表れだよ」と、感謝の弁を述べた。
<MLB総合ニュースより>
ワールドシリーズの頂上決戦という大舞台においてでさえ敵の選手にリスペクトを示すことができるその心の在り方、それこそが人として目指す一つの姿ではないかと改めて考えさせられました。「キャリアを積み重ねる」というのはまさにここにあると思った次第です。「自己の在り方、生き方」が問われるという見本を私も肝に据えたいと思う出来事でした。
2025.11.06
昨日11月5日午後、細島小学校にてよのなか教室の講話がありました。細島小の5・6年生が3つのグループに分かれて3名の方の講話を聞くというスタイルの学習でした。
講師は日向市役所市民課・瀧山春奈さん、日向市消防署・北住優佳さん、漁師・朝倉莉久さんの3名です。
瀧山さんは、趣味のゲームも、失敗の原因や解決策を考えるという点では今の仕事に繋がると子供たちに分かりやすい導入から始められました。今の仕事に就いたのは、お父さんが社会福祉の仕事をされていて一緒にボランティア活動に参加する中で、人の役に立ちたいと思うようになったとのことです。また、小学生の頃の転校経験では「自分の殻を破ってみよう」と意識を変えたという一歩を踏み出す勇気という視点でも話をされていました。

漁師の朝倉さんは、魚の水揚げをする父の背中を見て自分も将来漁師になりたいと思っておられたそうですが、部活として熱中していたラグビーとの二者択一の場面にぶつかった時に、地域の行事に参加して地域で働くことの良さを知ってから改めて漁師の道に進む決意をしたと話しておられました。夢を追う時、他にも希望があった時は一方を捨てるという選択をすることも出てくるだろうが、自分が支えられたことを思い出して決断するとよいと思う、そのためにも、今地域でできる挨拶などは積極的にしてほしいとエールを送られました。なかなか深い話です。

消防士の北住さんは、救急対応や消火活動、指令室担当など消防署といっても様々な仕事を経験しているそうで、日向の良さを考えるようになってから、直接市民の皆さんに駆けつけられる仕事を選んだとのことでした。大きな意識の転換点は熊本地震だったそうです。児童から「火事の時大変なことは?」と聞かれ「木造火災は燃え続けるのが大変で、やけどをする場合もあるし、ホースはとても重い。」と具体的にお話をしてくださいました。実物の消防服を触らせていただいた児童はこんな重い服を着ているのかと驚いた様子でした。

それぞれの講話が終わり、全体集合をした場所で6年生が感想を話してくれました。「この3名の方は仕事をとても頑張っておられることが分かりました。私も人を助ける仕事をして尊敬される人間になりたいです。」と述べ、この学習が新たな自分を歩みだすきっかけになったようで、細島小の子どもたちは良い学習ができたと、こちらまで嬉しくなりました。
2025.11.05

小学校にも数冊配布してありますので、児童生徒の皆さんが、職業講話や社会体験学習を行う際には「今の自分にできること、足りないこと」を客観視し、学習の前に「何を学び取りたいか」を明確にした上で体験学習に臨むと取組が変わるのではないでしょうか。学習後に「今から自分にできることは何か」「これから自分はどんなことを頑張るか」という問いに対する自分の生き方の方向付けができるのではないかと期待します。各事業所様のご協力のもと、藤屋印刷様が多大な力を注ぎ込み日向の子ども達のために作成されておりますので積極的なご利用をお願いいたします。
2025.11.04
昨日11月3日(月)は五十猛神社大祭が催されました。若干の肌寒さはありましたが秋晴れのもと、財光寺地区はお祭り一色になりました。午後のパレードには各地区の仮装隊も登場することはよく知られていますが、午前中はそれぞれの地区を回っていることはご存じでしょうか。高齢者施設や支援施設を含め、地区内にある商店や個人宅の前で踊りを披露しました。午後のパレードは旧道を封鎖し沿道にはたくさんのお客さんが来られ大変な盛り上がりでした。奉賛会や各地区代表の皆さん、ひょっとこ踊りの厄年の方々、警備の方、その他大勢の方々が関わりながら地区の行事が実施されていることを改めて感じる一日となりました。パレードの出発点となっている財光寺南小学校には毎年お世話になっております。皆さん一日お疲れさまでした。

さて、祭りの話が長くなりましたが、本日は読書の秋にちなんで最近読んだ本の中から一冊紹介します。平野啓一郎著『私とは何か』~「個人」から「分人」へ ~ です。この方が言うには、「分人主義とは、…『個人』に対して『分人』とは、対人関係ごと、環境ごとに分化した、異なる人格のことです。中心に一つだけ『本当の自分』を認めるのではなく、それら複数の人格(分人)すべてを『本当の自分』だと捉える考え方を『分人主義』と定義しています。」だそうです。内容を途中省略しながら少し紹介します。
手紙を届けるのが得意な人がいるから、郵便局が作られたのではなく、手紙のやりとりが必要だから、郵便局が作られ、そこで働く人が求められているのである。そして、職業の多様性は、個性の多様性と比べて遥かに限定的であり、量的にも限界がある。…(略)十年前のあなたと、今のあなたが違うとすれば、それは、つきあう人が変わり、読む本や住む場所が変わり、分人の構成比率が変化したからである。…個性とは、決して生まれつきの、生涯不変のものではない。…(略)私は、小学生のころは何とも思わなかったのに、中学生になると、母親が運動会を見物に来ることが、急にすごくイヤになった。私だけではない。同級生は大体みんなそう言っていた。私は、親と喋っているところを友人に見られるのがイヤだったし、級友と必死で騎馬戦を戦っているところなどを、親に見られるのはもっとイヤだった。私は、それをただ、思春期になって親離れを始めたからだと考えていた。しかし、この問題も、むしろ、分人に着目して考えた方が腑に落ちる気がする。私はやはり、親に対する分人と友達同士の分人とが、混ざってしまうことを嫌っていたのだろう。友達向けに目いっぱい分人化しようとしても、どこかで親に見られているという意識が、それを邪魔してしまう。帰宅後、「家では見せないような表情を見た」などと言われたくない気持ちがあった。別段、年頃になって、親を毛嫌いし始めたというわけではなかったのだ。(略)2010年にチリの鉱山で、33人の作業員が坑内に閉じ込められるという落盤事故が起きた。救出までの数カ月間、坑内の作業員は、家族と電話で話せるようになっていたが、そのことが、彼らのストレス軽減に大きく寄与した。これは、閉じ込められた工員仲間との分人だけでなく、家族との分人も生きられるようにするための配慮だった。もしそうした外部との連絡手段が確保されなかったなら、坑内では凄惨な状況が発生していたかもしれない。…(略)人間は、たった一度しかない人生の中で、出来ればいろんな自分を生きたい。
「個人」ではなく「分人」。一つの個人という捉え方より、個人はさらに多様な側面を持つ「分人」に分けられるという考え方は面白いと思いました。会社での自分(分人)や家庭での顔、学校での顔、友人間での顔と人それぞれの付き合い方での自分という人格を変化させながら上手く生きるということなのでしょうか。「人間」とは「人」と「人」の「間」を生きる者というどこかで聞いた言葉を思い出しました。興味のある方は秋の夜長に本書を読まれてはいかがでしょうか。それともシングルモルトを片手にマイルス・デイビスに耳を傾ける、そちらもいいですね。
2025.10.30
29日午前、東郷学園若竹分校の皆さんが市内各事業所で社会体験学習を行いました。
私たちがSEIKADO様に向かうと、同時に到着した生徒たちはすぐにゴム手袋を着けてオーナーの緒方さんから小麦粉を練る作業を習いました。お店の名物であるチーズ饅頭を作る作業です。ヘベス味やごま味にするために材料を混ぜていきながらさらに薄力粉を混ぜる工程、そして餡を使った包み方などを行いながら、手順や注意点を教えて頂けるのは生徒にとっても楽しい活動になっているようでした。

次に向かったのが日向警察署様です。担当の小池さんが白バイの説明をされ、固定した状態の白バイに股がらせてもらい4名の生徒はご満悦でした。隣のパトカーにも乗ることができ普段なかなか体験できない特殊車両の見学は子どもたちの興味を最大限引き出すには十分な素材でした。
本日はほかに、吉川塗装様にもご協力をいただいていました。生徒を牧水公園そばの現場にまで連れて行っていただき実際の作業を見学させていただいたとの報告を受けています。
このように各事業所の皆様が日向の子どもたちを温かく迎えてくださっている姿を見るにつけ、本当に日向の子どもたちは恵まれていると感じます。どんな仕事も必ず人の役に立っている尊い営みであることは見学させていただいた子どもたちの記憶に刻まれると思います。事業所の皆様、いつも本当にありがとうございます。
お気軽にお問い合わせください。
0982-57-3522
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