Hyuga City Career Education Support Center
2026.06.04
世の中にはどうしても人々を分類したがる傾向が見られます。私は好まないのですが、血液型だの、星座だの、ありとあらゆる分類がまかり通っています。そのほとんどが科学的根拠のないものなので気にするだけ無駄な時間だと流しています。
そんな分類の中に「デジタル人間」「アナログ人間」というものが最近目立っているようです。これもどこかで個人を線引きできるものではないのですが、「あなたは?」と問われると困ってしまいます。どちらもあるからです。しかし、一日の中でパソコンやスマートフォン、そしてそれらを繋ぐガジェットと呼ばれる類の物を扱っている時間は確かに長いです。そうなると「デジタル人間化」しているのかもしれません。時折、「あれっ、この漢字どう書くのだったっけ?」などと、恐ろしい記憶の飛散を実感することもしばしばです。こうなると、デジタル化の影響なのか、加齢によるものなのか分からなくなりますが。

ガジェット
さて、本日はそんな日常の不安にぐさりと矢を突き刺してくれる文章を俵万智さんの投稿に見つけましたので紹介します。俵万智さんと言えば『サラダ記念日』ですが、宮崎にも長く住んでおられて、日向市で毎年行われる高校生の『牧水短歌甲子園』の審査員もされていました。最近も時折テレビで拝見し、息子さんとの短歌でのやり取りなど、親子の絆にも心安らいだばかりです。

歌人 俵万智さん
そもそも論ですが、人類が道具を必要とするのは「こんなことができたらいいな」「こんなことができなくて不便だな」が出発点だと思います。私自身は、紙の教科書で学び、紙の教科書で教え、そういった気持ちになったことは一度もありませんでした。必要にして十分な環境にいるのに、デジタルの教科書から「こんなことできますよ」「あんなことしてみませんか」と言われているわけですが、「わあ便利! こういうの欲しかった」とはならないなあというのが実感です。むしろ、弊害のほうが怖い。 (略)
今の時代、電子機器といかに距離をとらせるかに、頭を悩ませている保護者は多いと思います。「え、それなのに学校で積極的にデジタル端末に触らせてしまうの?」というのが正直なところです。私自身は、機械に弱いので的外れな言い方になっているかもしれません。電子辞書を初めて使ったとき、鳥の鳴き声(今なら動画?)が出てきて「おお」と嬉しくなった経験はあります。けれど、文字の説明と、実際の鳥に会う経験との中間に「これって、いる?」とも思いました。デジタル情報は、中途半端に会った気にさせます。端末を手にすることで気が散る、子どもには情報量が多すぎる、検索して手軽に結論を得る癖がつく、視力の低下……聞こえてくる弊害は多々あります。その解決策が示されないまま導入することは、大げさに言えば人体実験ではないでしょうか。子どもの人生は一度きりです。もっと慎重になるべきだと思います。
最後に、さらに「そもそも」なことを言いますと、教育にとって大事なのは、教科書よりも教員です。優秀な人、素敵な人が教員になれば、紙とかデジタルとか関係ありません。デジタルに使うお金があるなら、先生がたの給料を上げたほうが、よっぽどいいのではないでしょうか。
もともとこの文章は、「デジタル教科書」を問い直す~危ぶまれる子どもたちの思考力~という文字・活字文化推進機構において俵さんが投稿されたものになりますので、紙の教科書の利点を強調されています。この部分のみで判断するべきではないので、ほかの投稿者の文章も読んでみたいと思います。
それはそうと、私も現役教員時代の終盤はデジタル機器を駆使して映像による理解の早さを求めていたようにあります。また、子どもにスマホを持たせるべきではないと思いつつも、学校では徐々にタブレットが導入されようとしていました。俵さんの最後の言葉「デジタルより教員に投資」には説得力があります。私のアプローチとしては、「お金がないなら、教員の給料を3分の2にして、週を半分にして勤務させる2人体制にすればよい。」とぶっ飛んだ方策を考えます。実際にアメリカの州では実施されているところもあり、週前半の校長と後半の校長が、水曜日午後に引継ぎをして、「じゃあ、後はよろしく。」と帰宅するそうです。

東京書籍デジタル教科書
私は孫に絵本を読んで聞かせる機会があります。いろいろな絵本があるのですが、その中にデジタルを組み合わせたものがあります。俵さんの話にあった「声の出る本」です。動物の写真をタッチすると鳴き声が聞こえてくるのです。孫は鳴き声と写真からその動物を理解するようになったのですが、言われてみれば「知ったようになる」だけのことで、実際の動物園で見る動物の臭いや息遣い、迫力といったものは伝わらないと思います。
以前、いつかどこかであった事件のように、幼児が怖い動物にスーッと近づいて怪我をしたというのも、何らかの危険予知ができない状況があったのかと思い出した次第です。便利なものを活用することは人間の進化の過程では当然の成り行きですが、そこには自身の生き方のスピードにマッチした丁度良い「塩梅」を加減することが必要なのだと今後も考え続けたいと思います。
お気軽にお問い合わせください。
0982-57-3522
受付時間 8:30~17:00