日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.10.26

総合的な学習の時間部会 研究会

 先週、平岩小中学校を会場に、市内教職員で構成する総合的な学習の時間部会の研究会が行われましたのでお知らせします。

 

 キャリア教育の要は、実は特別活動になります。学校における「特別活動」の分野は、学級活動(学級会と学級・学校への適応指導など)とクラブ活動(小のみ)、委員会活動、学校行事になります。この中の学級活動における「学級・学校への適応指導など」の時間は年間数時間において将来への希望・準備や進路としてキャリア教育を実施することになります。ここでは、「自分の将来は」なとどじっくり考え、自己実現できるように指導を直接的に行うことになります。そして、その指導を受けて委員会活動や学校行事などに生かしていくという意味で「要」になるということです。ところが実際に現場では、キャリア教育として、この前の学級活動とこの行事を繋げて考えるという思考過程はできにくい状況です。

 さらに、年間数時間の学級活動(進路関係)のみでは十分な効果を上げることができないために、総合的な学習の時間を活用し、講師を呼んだり体験活動を行ったりして、児童生徒の将来への希望を確かなものにしていけるように計画されています。

 ですから、我々キャリア教育支援センターが関わる部分は、主に、総合的な学習の時間における講師による「よのなか教室」ということになります。中学校における「14歳のよのなか挑戦」(社会体験学習=職場体験学習)もキャリア教育として総合的な学習の時間に位置付けられますが、センターとしては今後、生徒への事前学習や教職員・事業所向けの研修会の充実という方向にシフトしているところです。

 

 体験学習を担う総合的な学習の時間では、日向市が目指すキャリア教育の理解は在職、転入職員を問わず必要なことですから、こういった研修の機会を捉えて呼んでいただけるのは有難いことです。

 

 今回のお話は、「キャリア教育と特別活動をつなぐ実践と評価のデザイン」をテーマにしました。まずは、日向市のキャリア教育の取組について説明しました。このブログを読まれている方にはご理解いただいている内容になりますが、意外にも学校現場にはキャリア教育を、環境教育や人権教育、性教育などのように多岐に渡る「〇〇教育」の一つとして捉えられる嫌いがあることから、十分に行きわたっていないのが現状なのです。

 

 日向市のキャリア教育の方向をお話したあとで、特別活動へのつなぎと評価について話題を移しました。

 ① なぜ、総合的な学習の時間と特別活動に評価を重点化することが必要なのか。

  ・ 「総合的な学習の時間」と「特別活動」を往還することで、個人の内省が実践へと昇華する。

 ② 総合的な学習の時間での「探究学習」で、「探究」と自己変容を促すことの必要性について。

  ・ 試行錯誤や他者との対話を通じて、価値観が揺さぶられる過程そのものがキャリア形成。

 ③ 総合的な学習の時間から特別活動に接続する「探究」の学びを実践へ向けることについて。

  ・ 総合で深めた探究的な学びや自己理解を、学級活動や生徒会活動、学校行事などの集団活動・実践の場で、他者と協働し役割を発揮する場づくりのデザインとして行う。

 

 

 次に、それらの学習活動を繋ぐ場合の変容を捉える評価のデザインについてお話しました。具体的な評価の方法はルーブリックで提示しました。ルーブリックとは評価マトリックスのことです。下の図表を見ていただくとお分かりになると思います。評価項目と評価レベルが一覧になっていて、右端に自己評価をチェックするようにしているものです。(今回の研究会へ向けて作成しました。)

 

「総合&キャリア」ルーブリック

 

 一般的にはこれでルーブリックを提示し評価するということができますが、本来のルーブリックでは、評価される者、すなわち、児童生徒と共にこのルーブリックを単元の初めに確認しておくことが最も重要になります。この単元は、どのような学習が展開され、この段階では自分がどの位置にいると客観的に評価できるものになります。そして自分はどうすれば、より高いレベルに到達できるのかが分かっていること。これが重要です。

 したがって、一単位時間ごとに自己評価を行い、確認した授業担任がその児童生徒の自己評価をチェックし、担任の評価と一致していない場合や、評価が低い場合には、個別に呼んで指導することが大事です。「君は『C』にチェックしているけど、なぜ『C』にしたの?」という問答で児童生徒の学習意欲の向上と自己有用感を定着させることができます。

 そして何より、子どもが「現在の自分は、ここまで理解できている。到達している。」「次回は上のレベルに上がるように努力しよう。」と自覚することが最も大切です。すなわち「自己変容の自覚」であり「メタ認知」になります。自分が何を学び、どの位置にいるのか。次はどうすれば高みへ上れるのか。それこそが学びの原点であり、自己変容へ繋がるものになります。

「合唱コンクール連動」ルーブリック(中学校用)

 

 そういうことをお話し、評価のための評価ではなく、子どものメタ認知を促し、自己変容を自覚するための評価であることをお伝えしました。年間にかなりの時間数を設定する総合的な学習の時間こそ、体験活動や講話活動などを探究的に実施することで、特別活動を実践の場と意義付けることができ、それぞれが効果的につながることでさらに教育効果が高まります。その一連の流れの中で児童生徒の変容を克明に記録していくのが評価になるということです。

 理想的な学習展開についての話で、実際の学校現場ではルーブリックを提示した評価なんてのんびりとやってられない、という心の声が聞こえそうですが、100年近く前から研究されてきた学習評価ですから形を変えながらも意義や効果が叫ばれているものです。私はコツコツと実践を積み重ねていくことで、最終的には児童生徒に浸透していくと思っています。子どもが自己評価をしていくことは、将来的にも節目節目で自己を振り返る点検(自己確認、認識)の役割を果たす習慣として有効であると思っています。「メタ認知」というと堅苦しい言葉ですが、現在の自分の位置を客観的に知るという行為は、何歳になってもどの社会的位置に立っても必要かつ有意義なことです。

 

「参考になった」との声をいただきました

 

 研究会の最後に提案としてお伝えしました。日向市の総合的な学習の時間部会から市内小中学校に、総合的な学習の時間部会からの提案として、特別活動との繋ぎを十分に考えたルーブリック評価を子どもと一緒に創り上げていくことを市内学校で広く展開していければ良いですねと。すぐに実行することは難しいかもしれませんが、どなたか一人でも教職員に火を点けることができれば幸いです。それほど現場は多くの課題を背負っているので、外部からの話を「はい分かりました。」と簡単に実践できるほど容易ではないことは十分理解しています。キャリア教育の展開が児童生徒の「生き方の軸づくり」に効果があることを頭の片隅に焼き付けていただきたいと願っています。そのために日向の「よのなか先生」は無償で、「自分らしい道を歩みなさい」と子どもたちの背中を押してくださっているのですから。

研究会最後のアンケートには「今日教えて頂いたことをぜひ校内へ伝達したいと思います。」などの声もいただきました。有難いことです。

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