日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.09.17

ひなた場~飯野高校+加久藤中学校

 

 先週、えびの市飯野地区コミュニティセンターにて「ひなた場」が実施されました。以前このブログで延岡旭中学校高鍋西小学校での「ひなた場」についてご紹介しましたので、ご存知の方も多いかと思います。全国的には「かたり場」と言われている、中学生や小学生が初対面の大人や高校生などと対話をする「人生学習」になります。リードするのは年長者ですから、いかに年長者が年少者に自分を語れるか、或いはじっくりと否定せず受け入れられるか、そのことに成功の鍵があります。

 

 今回、飯野高校普通科探究コースの3年生14名と加久藤中学校3年生26名が参加し、グループに分かれて会話の場が設定されました。編成の方法や詳細については、以前のブログで紹介したので省略しますが、高校生に対して中学生が1対1で自分史(人生グラフ)を提示しながら語り合うというものになります。残りの中学生は別の場所に陣取った6名の高校生による人生紙芝居(こちらも自分史を絵や画像で説明する)を聞きに行きます。

 

 そのようにして、進行が時間を区切りながらローテーションをしていくことになります。たくさんの県内の参観者が周りで聞いていても高校生は紙芝居で堂々と自分史を語って中学生から笑いと頷きを得ていましたし、1対1の人生グラフでは、ボソボソと話す中学生の言葉に高校生が一つ一つ「うん、うん。」「分かる、分かる。」「そうだよねえ。」と傾聴していました。

 

 ある人生紙芝居のコーナーの男子高校生です。中学女子2名を相手に「高校のオープンスクールは何のためにする?」と質問します。すると中学生が「どんな高校か知るため。」と答えます。高校生「そうだよね。で、その時、質問した?」中学生「いいえ。」高校生「自分が進学した学校が考えていたイメージと違ったらいやじゃない?徹底的に調べることは大切だよ。ぼくは、大学進学を考えていて、候補の大学のオープンキャンパスを調べて夏休みに出かけたんだ。その際、事前に調べていた学部の教授に直接聞きたくて、当日探し出して捕まえて、『ここではどんなことが学べますか。』『学内の雰囲気はどうですか』など質問をしたよ。」この男子高校生に中学女性と2名は圧倒されながらも自分の道を切り拓く力にかなり納得していた様子でした。

 

 今回は「ひなた場」終了後に、我々参観者が自由に高校生に質問して良いという場が設けてあったので、早速高校生の所へ行き、「なぜ皆そんなに自信をもって中学生に語れるのですか。」と聞いてみたところ、「探究コースの学習ではいつもディベート討論をやっていて、それに『ひなた場』も2回目だし、そういう経験から自信が付いてきました。」「初めは僕も話すのが苦手でしたが、だんだんと慣れてきて自信がついてきました。」と学習効果について嬉しい成果を話してくれました。まさに自分の想いを言葉にする言語化能力を獲得した形になります。

 

また、これは私の感想ですが、途中の「1対1会話」を見ていても、高校生が中学生に対して自分を赤裸々に語れるまでに成長できているのは学校が仕組んだ教育課程が志望し入学してくる生徒のニーズにマッチしていたことになります。一人の高校生は、「私は中学3年生の時に進路について悩んでいて、そのとき『全国留学生プログラム』があることを知って色々調べているとき飯野高校を見つけて、この高校について調べてここに決めました。来てみると、探究学習のプログラムが色々組んであってとても面白くて来てよかったって思ってます。」と笑顔で話し中学生も深く頷いていました。ほかにも東京からの留学生もいて、飯野高校は山間部にありながら外からの刺激に満ちていることを感じました。そのことが地元の高校生に大きな影響を与え、会話にも効果が生まれているのだと実感したところです。

 

 「ひなた場」は大人と学生が語り合う場として構成する場合が多いのですが、こうして学生同士で語り合うのは、年齢が近いからこそ共感度が高いことが今回のセミナーを通しての私の発見でした。親や教師という「縦の関係」では直接過ぎて生徒は自分を語りづらい。かといって友達や同級生の「横の関係」でも慣れあい過ぎて、これまた話しづらい。ではということで「斜めの関係」である「地元の大人」や「学校種の異なる生徒」であれば語りやすくなるという効果のもとに設定されています。「人生グラフ」という自分史を作るためには、自分がしてきたことと向き合わなければなりません。それはある種苦痛を伴うことになるかもしれません。しかし、その真摯な自分との向き合いがあって初めて自分の殻を破れるのでしょう。そして「ひなた場」ではそれを初対面の相手に語るのです。そうやってアウトプットすることで一気に自分が解放されます。それで何ができるか。「自信」です。さきほどの飯野高校生のように、自分に自信が持てるようになるのです。「それまでの人生は苦しいことも色々あったけど、それを乗り越えて今こうやって前を向いています。」と、メッセージを発信することができるまでに成長している自分を確認することができます。

 

 それはそのまま、現在、「よのなか教室」での「よのなか先生」の振り返りにも直結すると思います。私がそうです。色々な学校で「よのなか教室事前学習」を実施する場合、人生グラフと共に私の自分史を語ります。そのプレゼンを作成する時、そして実際に生徒の前で自分史を語る時、自分がしてきたことと向き合うことになります。そうやってこれまでの人生を振り返り人に話すという機会は、改めて設定されない限りなかなか無いものです。よのなか先生もそれを実感していただいているのなら何よりのお礼になると思っております。

 飯野高校生と加久藤中学校生の対話による人生学習「ひなた場」は、一人一人の人生の1ページに深く浸透するキャリア教育の一つの形になると確信します。日向市でも導入できるようにしたいと思いますので、キャリア教育の発展的な取扱いとして言語化能力や傾聴力を高めたいと思っている学校がありましたらご連絡ください。こちらからもアプローチしたいと思います。

 

 

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