日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.09.07

よのなか教室~大王谷学園7年生

 先週、大王谷学園7年生にて、よのなか教室が実施されました。3名のよのなか先生にお越しいただき、熱いお話を提供していただきましたので、本日はまず、1人目、大津留 聖(さとし)様を紹介いたします。

 

 大津留さんは、大王谷保育園にお勤めの保育士になります。子どもたちを大きな包容力で受け止めていただけるような感じのする先生です。

 

 人生グラフ紹介では、中学生の頃、学校を多く休むことあったとの体験から、現在の子どもたちの悩みや苦しみをうまくキャッチできるアンテナをもっておられるのだろうと想像できました。また、就職してからも悩むことは多かったそうですが、それでも先輩の言葉で自分を取り戻し現在に至ることができたので、良い同僚関係の大事さを生徒は感じ取ったのではないでしょうか。

 

 大津留さんが提示していただいたものの中に保育の年間計画がありました。私は初めて見た保育園の年間計画一覧表でした。1年間の保育活動が多岐に渡りびっしりと計画されていて、いつ何をするのかが明記されています。小中学校での年間指導計画と変わりない計画的な教育活動を推進されているのだと実感しました。 

 

 大津留さんが話された「4つの力」については、以下のようになりました。

 1つ目の「相手を尊重し、社会を理解する力」では、「話し合いの中で、自分とは違う考があっても頭から否定せず、一旦は相手の話を受け止めて考えてみる。」「挨拶をしっかりと行う。『おはよう』『ありがとう』『どういたしまして』など当たり前の挨拶を普段から行うことで人とコミュニケーションが取りやすくなる。」と仰いました。最初の「違う意見を受入れる」というのは、毎日のように世間の話題で実感します。SNSの現代は、「表現の自由」の名のもとに、「何でも言っていい」と勘違いする人が増えていき、自己主張と誹謗中傷の境界が分からなくなってしまった人がいることを残念に思います。攻撃的な世の中ではなく、寛容の精神にあふれた住みよい街であったらと願います。

 

 2つ目の「自分を正しく知り、コントロールする力」については、「朝に一日の予定の確認をし、終わりに一日の反省・改善点を見つける。また明日の予定を確認しておくことで慌てることが少なくなる。」や「人(親・友達・同僚など)話を聞いてもらう。聞いてもらうことだけで気持ちがになることもある。」、「ストレスを発散できる何かを見つける(趣味や運動など)」と言われました。保育というと私は、孫が毎日お世話になっている保育園を思い浮かべながら大津留さんのお話を聴いていました。孫の保育園でも毎日、「おたより帳」に先生が一日の活動や気付いたことを書いて下さっています。子どもたちが午睡の間に書かれているとは思いますが、毎日定時にどの子も寝るとは限らないと思いますし、病気がちで機嫌の悪い子もいると思われます。そんな中でも欠かさず毎日おたよりを保護者に書くことがどれほど根気のいる作業なのか、想像しただけでもそのご苦労が大変なものだと分かります。本当に頭の下がる思いです。

 

 3つ目の「課題を知り、やりぬく力」については、「問題が発生したときに、なぜそのようなことが起きたのか原因を解明し、再発防止をするにはどのようにしていけばよいか対策を考え、それの情報を全員が共有する必要がある。」、「被害を被った人がいる際は、事の経緯をしっかりと説明したうえで謝罪する。」「問題に行き詰った時は、一度初心に戻ってみる。」「様々な経験をすることで、対応できることが増える。」と重要な視点を提示されました。「被害」というワードからドキッとしましたが、子ども同士のトラブルや誤って子どもが怪我をすることもあるでしょうし、乳幼児の行動を見守っておられるだけに、その心労は大変なものでしょう。

 

 4つ目の「働く意義を知り、将来を切り拓く力」については、「興味がある仕事を働いている人から話を聞いて、実際に体験してみる。体験を通すことで得るものもあり、その経験が別の形で生きることもある。」、また「仕事に対して偏見を持たない。思い込みだけでは、その仕事の本質がわからないまま損をすることが多々ある。」と、ご自分の体験から滲み出たキャリアを重ねる上での重要なポイントを話されました。これらはそのまま、この学年の生徒が12月に実施される「よのなか挑戦」(社会体験学習)で実感することになるのではないかと思います。

 

 

 最後に「今日から大切にして欲しいこと」として大津留さんは、「『おはようございます』『ありがとうございます』などの挨拶をしっかりとするのが最初の一歩だと思います。」「朝ごはんは食べたほうが体にも頭にも良いです。」と、挨拶と体調を整えることをメッセージとして伝えられました。最近の小中学生の中に、朝ご飯を食べてこない子どもがいることをご存知なのだと思います。小学校では午前中5時間の学校が増え、給食時間が遅くなっているので余計に心配になります。

 

 ここから質問の時間になりました。まず皮切りに担任の先生が「12月のよのなか挑戦での生徒へのアドバイスをお願いします。」ということに対して大津留さんは、「仕事はきついものと思うかもしれませんが、働く中で楽しさを見つけて欲しいと思います。3日間の体験では難しいかもしれませんが、それが働き甲斐になるので、見つけられれば良いと思います。」と答えられました。

 次に生徒から、「仕事をする上での苦労は?」に対しては、「女性が多い職場です。さらに、年代によって価値観が違います。例えば、滑り台一つとっても、安全のために上からだけ滑るようにする、という意見もあれば、下から登ることも認めた方が体力がつく、という意見もあります。これらの意見をすり合わせることはとても難しいし、自分なりの考えをもつことも重要です。」と実体験から答えられました。

 また、「なぜ保育園に勤めることになったのですか。」については、「友達つながり」だそうです。学生の頃の友達が現在の保育園を就職試験で受験するという情報から、「自分も受けてみよう」となったそうです。明確が目的があった訳ではないということですが、現在は自分に合っているとのことですから、こういうところが人生の面白さであり、現時点の生徒は「ふーん」でもいいのかもしれません。我々日向市のキャリア教育で用意している「よのなか教室」では生徒に多くの価値観に触れさせることも目的の一つです。優等生的な「高い目的意識で就職しました。」ではなく、「なんとなく」や「仕方なく」があっても良いと思います。そうやって人は自分の人生を切り拓いていくのだということを、生徒が多くの価値観に触れて組み立てていければよいと思います。

 さらに、「仕事の遣り甲斐は?」との質問が生徒から出され、「ある時、青虫をつかまえた子どもがいて、『すぐ飽きてしまうんじゃないだろうか。』と考えたけど、様子を見ていたら結局、その子はチョウになるまできちんとお世話をし見届けました。一人の子どもの見方が変わりました。そういう子どもの別の面を見つけられることは喜びであり遣り甲斐になりました。」と仰いました。教育というものは成果がすぐに表れるものではありません。私が一人の教え子の成長を本人から聞いたのは40年後でした。やって良かったかどうかが分かるまでにそれほどの時間がかかる場合もあり、また、分からない場合もあります。人に関わる仕事では、そういう息の長さに対する覚悟も必要なのだと改めて感じました。

 

 最後に大津留さんから「日向の魅力」について語って頂きました。大津留さんは北方町のご出身ということで、北方と比べると日向は都会だと言われます。「コンビニは24時間営業だし、大型スーパーもあるし、海、山、川に恵まれ、生活には何も困らない。」と言われます。生徒たちにとっては「何もない」と感じている日向市かもしれませんが、大人になるとこういう便利という価値観が変わるということが生徒にも伝わったのではないかと思います。日向のよのなか先生のお話を聴いていると、一度、県外、海外に出て、ふるさとを振り返るのは良いことだと応援される懐の深さを感じます。

 大津留さん、大切な時間を生徒のために本当にありがとうございました。

 

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