日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.09.03

日向学びの学校研修会~コミュニティ・スクール、キャリア教育

  

 台風接近の影響で気温が下がっています。しのぎやすいですが、雨には注意が必要です。 

さて本日は、先月実施された研修会のお話です。日向商工会議所にて「日向学びの学校研修会コミュニティ・スクール、キャリア教育」が行われました。講師は、都農町を起点にアントレプレナーシップ(起業理念)や街づくりを実践されている中川敬文氏です。あのキッザニア東京を立ち上げた方でもあります。

 

 

 宮崎は「農業と観光が鍵」と言われ、そこから「楽しいことをやろう」と様々な仕掛けをされています。私が以前から知っているのは、高鍋高校生による「NABEGO」です。毎月一回、高鍋駅で開かれるマルシェ(市場)を高校生が運用しているものです。高校生が街の活性化のために奮闘する様子がSNSでも発信されていました。私は高鍋にも勤めていましたので興味があり陰ながら応援していました。それが中川さんのプロデュースだったことは後で知ることになります。

 

 アイデアを形づくる計画、それを企画とし、例えば「みちくさ市」という形で都農の中学生に企画させ、協賛金募集まで実施させます。中学生の組織では傍観者を出さないために「社長」や「部長」などの組織化をして動けるようにします。活動の売り上げが40万円で利益が20万円になるという結果になりました。このような活動を通してみた都農の中学生の反応としては、「都農で会社を作りたい」が15%、「都農をもっと良い街にするアイデアがある」は30%に上ったということです。

 

 「郷土愛を語るより体験と実現を通して、形にして町に残す。」というのが中川さんの持論で、そこからすれば、ジワジワと迫っている我々のキャリア教育の先にある、子どもが飛びつきやすい活動だと言えます。

 中川さんは、中学生以上では「自分が何をやるか」に視点をおくことが大切だという考えです。自分のやりたいキャリアが先で、そのあと地域の偉人の業績から調べ学習をさせるというスタンスになります。私も「やりたいこと」を明確にすることは大切だと思います。その上で、自分と向き合い授業の中で自分自身に「何をとするか」という点にこだわって学習を展開しています。

 

 中川さんのお話で「先生って地域に友達はいるの?」と全体へ向けて質問を投げかけられました。よく地域で学ぶ、といいますが、先生自体が他地域から通勤してくる場合が多いので、その子どもの地域のことをよく知らないことがある、と言われたかったようです。なるほど、そう言われればそんなことも多いと思います。だからこそ、教師は地域に頻繁に出向き、実情を知ることが大切になります。

 私は「子どもは地域で育つ」と考えていました。私自身がそうやって育ったからです。鹿児島でも福岡、佐賀でも地域の親子会活動でたくさんの大人のお世話になりながら育ちました。「地区のおじちゃん、おばちゃん」の顔は今でも覚えています。

 文化と言えば大げさですが、人間のコミュニティとしての継承の意味で、私の子どもは親子会(育成会)活動に積極的に参加させ、私自身も五十猛ひょっとこ踊りに参加し、その後、壮年部に加入しました。親の後ろ姿を見せることは大切だと思います。地域に根を下ろすと、実に様々なことが見えてきます。それぞれの立場の人たちと交流する中で、自分が支えられ地域から見守られている実感を得ます。最近は、日向市の「市子連ソフトボール大会」も無くなりましたし、地域の祭りも縮小気味です。昨日自宅に回ってきた「回覧板」の「自治会だより」には、「秋祭り舞踊隊の参加者が少なくて困っています。」の文章がありました。「忙しい」を理由に、大人が地域に関わらなくなると子どもは「そういうもの」として育ってしまい、次の世代はもっと関与しなくなり、そして地域が衰退の一途を辿ってしまいます。先生に限らず、どの大人も何らかの形で地域活動に深く入り込めるようになると、子どもはどこで育っても継承していくのではないかと思いますが、現実には難しい壁があるようです。

 

 話を戻します。研修会の後半は、参加している市内各小中学校のコミュニティごとに分かれ、地域の代表も一緒に、その地域で「どんな子どもたちに育てていくのか」というテーマでの協議がありました。どのグループも熱心に議論し最後に方向性を報告しました。そのすべての報告の後に中川さんから講評をいただきましたが、「刺されるかもしれない」という物騒な言葉を前置きにされました。つまり、苦言を呈されたのです。「それらの方向性は、ワクワクしますか?」ということを仰いました。さらに「主語が子どもになっていないです。」に加えて、「『時制』が明確でない。」とも言われました。タイムテーブルと言いますか、どのようなスケジュールでその計画を実行に移し、どこまでに達成するのかという着地点の明確化が足りないと仰います。最近、シンギュラリティ」という「技術的転換点」は2030年に訪れると言われています。AIが自ら目的に合致したさらに優秀なAIを作り出し、基本的な実務領域はAIが全てこなしていく時代がやって来るというのです。ですから、人間にしかできない価値を高めて、それを子どもを育てることに生かしていくという営みは、「いつまでに何をやる」という明確なビジョンが必要だと指摘されたのだと受け取りました。

 

 研修会を通して、地域がもつ課題にどう対応していくのか、それぞれが持ち帰って、その後の協議会等で話題として実益化していくのだろうと期待します。また、日向市キャリア教育支援センターとしては、時間がかかる一つ一つの授業に「日向で頑張る大人」(よのなか先生)の協力をいただき、児童生徒が「4つの力」を意識した「自分軸」を形づくることができるような学習を展開していくことが使命だと思っています。そこで育てられた子どもたちは決して日向のことを忘れず大切に想ってくれることを期待しつつ、大きく羽ばたいて欲しいと願います。将来的には、キャリア教育の延長上に中川さんの実施されるような具体的な体験活動が実現されるのではないかと思っているところです。実際に、東郷学園中学部では出店企画が行われていますし、市街地では来年1月に日向版キッザニア的な体験学習を盛り込んだ「YEGフェス」が計画されています。益々、日向のキャリア教育のベースを強固なものにしなければならないと、本研修を通して改めて考えました。「学びと体験」が連鎖していくことでホンモノの教育の到達点になるでしょうし、子どもたちが自分たちの街で強烈な体験のもとに育つと、街自体もそれを基点としてスパイラルに発展していくのではないでしょうか。


 台風24号が接近し大雨が予想されます。最近の大雨は災害をもたらすので十分に気を付けないといけません。災害が起きた場合、矢のごとく「公助」が動く国であって欲しいと願いますが、実際には即座に「公助」とはいきません。まずは「自助」そして「共助」です。この共助に地域のコミュニティが成立しているかが明確に表れます。避難所を適切に「お互い様」の精神で運営できるかは、地域のコミュニティ成立にかかっていると、あちこちの災害現場を見てそう確信します。

 学校を基点としたコミュニティ・スクールは、今ある学校をどう育てるかというより、学校を核としながらも実は、自分たちの地域をどう存続、継承させていくかに視点をおいて上手に学校を活用する方向性をもつと、みんな楽しく有意義に活動できるのではないかと密かに考える次第です。

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