日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.04.20

必ず立ち直れる


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 『我が矯正人生~どんな犯罪者でも必ず立ち直れる~』 『致知』5月号

 最近読んだものの中で一番感動的だった記事をどうしても紹介したかったので、お付き合いください。

 

亀井史(ふみひろ)さんは現在85歳の広島県在住の元刑務官です。下半身不随の父と片目失明した母の元に生を受けた亀井さんは、5歳の時に広島の爆心地からは20km離れた場所に住んでいましたが、黒い雨の水により生死の境を彷徨う貧しく厳しい生活を送ってきました。

その亀井さんが語る、昭和404月に出会った死刑判決を受けた被告人とのお話は、心を揺さぶられるものがありました。護送されてきた死刑囚Sさんについて、「入所手続き中、Sは殺気立って全身を激しく揺さぶり、警察官の制止を振りほどいて立ち上がると、我々に唾を吐きかけ、続いて体当たりを仕掛けようとして、これを制止されると辺り構わず周囲にある物を蹴散らしながら『なめるなー!』と怒鳴り散らす狂乱状態となりました。この時の怒り狂ったSの怒髪天を衝く形相はまさに、猛獣そのものでした。これがSとの出会いであり、生きた鬼に出会ったのは後にも先にもありません。」との語りから始まりました。

亀井さんの真正面からの対応は「生きた鬼」と呼ばれたSさんに劇的な変化をもたらしました。ある日の体操の時間にSさんを呼び出し、地面に漢字を書きながら、その読み方と意味を教えるとSさんは飛びついて喜び、それから毎日その時間に教えてもらうようになりました。というのも、Sさんは刑務所で生まれ、極貧の祖母が育てることになり、貧しさから盗みをして祖母との生計を立てていた幼少期だったそうです。ですから当然学校には通っておらず、文章の読み書きができないまま育っていたのです。

そんな亀井さんとSさんとの交流が順調に進んでいた頃に亀井さんは転勤になり、数年したある日にSさんの刑の執行を知ることになります。そして亀井さん宛に届いたSさんからの手紙は大変綺麗な文字でしたためられており、「以前は自分を生んだ母親を恨んでいましたが今は感謝しております。罪を犯した相手の方への謝罪の気持ちで一杯です。このような気持ちにさせていただけたのは亀井先生のおかげです。今はただ、祖母の安否が気がかりです。死ぬ前に人としての幸せを掴ませていただくことができました。ありがとうございました。」というような内容の文章が丁寧に書かれていたとのことでした。

亀井さんの年譜を考えてみますと、Sさんと出会ったのは亀井さんがまだ20代半ばの頃になります。そのお年で「生きた鬼」と対峙されたのですから、ご両親から「人を幸せにするために生まれてきたのですから人を助けなくてはなりません」という生き方の教えが源流としてあったのだろうと思いました。掲載されたお話のテーマ「どんな犯罪者でも必ず立ち直れる」はテーマだけ見ると一般論のように思われがちですが、Sさんを立ち直らせた亀井さんが言われるので大変説得力があります。もちろん生半可な覚悟では当人の心に入り込むことはできません。それでも覚悟をもって接すると、このような「生きた鬼」の心にさえ入り込むことができるのですから、まだまだ成長過程にある児童生徒には入っていけるのかもしれないと考えさせられました。根本的なことを言えば、Sさんという人格を作らない世の中であるべきですし、そうするには親としてどうあるべきか。また、どうしても人の育ち方(育て方)には個人差が出てくるので、迎える学校としてはどうあるべきか。さらに地域としてはどういうコミュニティを作るべきか。それぞれの立場で覚悟をもって考え、立ち向かわなければ世の中はよくならないのでしょう。私自身を振り返ってみてもまったく不十分だったと反省すると同時に、今からも自分の置かれた立場で尽力したいと思いました。

当事者の生き様や実際の言葉などはもっと人間の深い部分に突き刺さるようなものがありますので、興味のある方は全文をこの本で読んでいただければと思います。

 

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