日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.04.02

任せる~慶應高校野球部

 

日向市駅 今日のお昼

 

2023年といえば、WBC侍ジャパンのクローザーとして大谷選手がエンジェルスチームメイトのトラウトを三振に打ち取り14年ぶりの優勝を決めた瞬間が目に浮かびます。そして昨日はその大谷選手がドジャースの試合で勝利投手になりました。もう一つ野球の話題として2023年は、夏の甲子園で慶應義塾高校107年ぶりに優勝した年でもあります。当センターのスタッフの方が野球は得意なのですが、今日はその慶応高校にまつわる本のお話です。すでにご存知も振り返りと言う意味でお付き合いください。

 

『慶應高校野球部―「まかせる力」が人を育てる―』(新潮新書) 加藤弘士 ()

 

この本は、著者が歴代の監督や選手に取材を行い、同野球部が自由校風、丸刈りなし、学業重をベースにしながら「エンジョイ・ベースボール」を掲げて甲子園で優勝できた背景を時系列で書き記したものになります。

 

意味のない上下関係の撤廃。1年生には雑用よりウエイトトレーニング。グラウンド整備も全員で。ナインの知的好奇心をくすぐり、質の高い練習を求めたそうです。ある年の練習後、部員はセカンドへの牽制サインを自分たちで考え、遅くまで議論をして結論を監督に報告します。すると監督は「よし、やってみよう。」と部員が自分たちで決めたことを尊重します。生徒からは「自分で決めさせてもらうのは楽しいし、やりがいになる。でも決めたからには自分たちで責任を持たなくちゃいけない。」という反応があり、任せられることへの責任と自覚が起きてきたようです。

 歴代の監督は「エンジョイ・ベースボール」の根底としては「たかが野球じゃないか」と、それよりも長い人生を歩くための人間づくりが重要であることを伝えたそうです。スポーツだけではダメ。勉強も大事。そういう人間としての成長という長期的視点に立って、野球の先を考えて勉強も必死にしていくことを大切にされていたのです。事実、慶應高校にはスポーツ特待という制度はなく、一般入試、推薦入試、(中等部からの)内部進学の3色の生徒が入っているのですが、入ってからはどの制度で入ったかはまったく関係なし。先輩後輩の上下関係もなく、監督を「森林さん」と呼ぶところにも表れています。

 

 慶應高校野球部がここまで来るのには何十年という歴史があったことが本から分かります。これを読んで地元の学校にそのまま当てはめても効果が出るというものでもないでしょう。ではこれをどう生かすかと考えた時、私は自分の仕事としての人づくり組織づくりの観点から読み解いていきました。

野球で目指す明確な「勝ち」と歴代の監督たちが掲げる「価値」に照らした時、では今の日向市キャリア教育に例えるとどういう将来像が描けるのかを考えました。一人の人生の中でのキャリアの積み上げ、本当にやりたい生き方を支えること、児童生徒の想い、事業者の目指す方向、育てる親の願い・・・。

答えは出ませんが、そういう当事者の求める未来に沿うように試行していくことには意味がありそうです。トライアンドエラーが大事で、考えたらやってみる、そこが可能性を拓く一歩になると思います。しかし一方で、一生懸命に与えようとすると、そのことがマイナスになる可能性があるということを常に考えておく必要があることも改めて学びました。人を育てるにあたって必要なのは「ちゃんと失敗させるシステム」だと本に書かれていた通り、子どもには任せて考えさせ、苦悩の中で出した結論はそれが成功でも失敗でも彼らの学びになるので、指導者、保護者、関係する大人は、余計な口出しはせずに「見守り」に徹することが成長の一番の近道だということになります。「今の時代、社会全体に失敗させる余裕や体力が失われつつある。」とありましたが、他人に対する寛容さをもつ生き方が子どもたちに背中で教えることに繋がると思います。

 

私どもが支援している日向市のキャリア教育では、子どもたちに本物の職業人と出会わせながらキャリア教育の目指す4つの力(かかわる力、見つめる力、やりぬく力、見通す力)に近づくために、その道の達人を巻き込んで学校を支援していく方向性を発展させたいと思います。そこでスローガン「出会い爽快!エンジョイ・キャリア教育!!」はいかがでしょうか・・・

塩見川 今朝の朝焼け

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