日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.03.25

教科書に見る学習内容の配列~算数2

 

 先日は、6年算数「割合としての比」について、その概念と「比の値」の捉え方、そして現在の教科書の学習配列についてお話ししました。簡単に言えば、以前の教科書は、比の値を教えてから比の概念に入り、現在の教科書は、比を教えたあとに比の値が出てくる、という順序になっています。

そこで本日は、現在の教科書(啓林館)で、「比の値」が登場してからその後の内容をどう扱っているかについて触れてみたいと思います。

 

比の値の後には「等しい比の性質」として「比を簡単にする」を学習します。「比を簡単にする」とは、「等しい比で、できるだけ小さい整数比になおすこと」を言います。懐かしいのではないでしょうか。

たとえは、40:50なら4:5という訳です。さらに、小数比分数比も学習します。1.51.210倍して15:12とし、更に3で割って5:4となります。では、双方に8を掛けてもよいし、通分してもよく、6:5となります。

ここまで2時間つまり2日かかります。その次の時間(翌日=3日目)には、それまでの復習をするように練習問題が1ページの分量で設定してあります。練習問題をこなして定着を図る訳です。この2時間(3時間)の中の「比を簡単にする」を扱う中で、40:50も120:150も比の値で、「2つの比は等しい」と「比の値が同じであれば、大きな整数であれ、小数、分数であれ同じだ」ということから「簡単にできる」(以降、数学へ向けて「比は簡単にしておくこと」)を学習することになります。ですから、教科書の学習順序としては、比の値の意味を深めていくことの大切さを、時間をかけて理解できるように配列していることになります。

 

ここで注意したいのは、その「等しい比の性質」であっても、小数比、分数比になると、通分や最大公約数などを利用し数学的計算が中心になるので、子どもの思考から比の値の概念が消えてしまうことに留意しなければなりません。ですから教科書は3時間目に練習問題を設定して、定着させようと狙っていると思われます。しかし、先ほどから3時間(3日)と書いている通り、6年になると算数は一日に一時間しかないので、3時間は3日間ということになります。そこへ行事や休日が入れば、間が5日間も空く場合があります。

ですから、次の「比を使った問題」では教科書通りの順序で「比の値」を利用した解決方法の理解がスムーズにいくのかという疑問が私にはあります。具体的な問題は以下の通りです。

そして、次の時間の問題がこれです。

 

 これらの問題を解決するにあたって必要になるのが、等しい比比の値の考え方になります。これらを活用すると、3×30=90や120×=90、第2問目は、3.5×=2.1や3.5×=1.4 と求めることになります。

 

そこで、比の値という児童にとって難しい概念の学習から間が空くことを憂慮する私なら、児童の思考の流れ、連続性を考えて教科書の配列を次のように変更し指導します。

先日紹介した単元導入時の「マヨネーズとケチャップの問題」で2:3と比の概念を教え、abでは「ab倍であるこの比の値という」ことを教えた次の時間に(教科書では4時間後の)上記「砂糖・小麦粉3:4、小麦粉120gなら砂糖は何gか」の問題をさせてみます。

その次の時間は「等しい比の性質」を学習し2時間(2日)目に「練習問題」まで一気に進め、さらにその次の時間にもう一度「砂糖・小麦粉」の問題を解かせてみるのです。そうすると、「なあんだこの前と同じ問題じゃないか」という子どもは「比の値」で解くでしょうし、前日の「等しい比」が頭に残っている子どもは「3:4=x:120」を利用して解くでしょうから、学級全体が「おお~っ、どちらからもアプローチできるぅ~!!」となる訳です。もちろん、異議はあることでしょう。この「砂糖・小麦粉」の問題で、それ以前の「等しい比」と「比の値」の考え方が理解できているか双方を問う訳なので、その提示の仕方は短絡的だとの批判もあるかもしれません。

 

すでにこのような独自の配列で進めている先生もおられるでしょうし、また違ったアプローチをする先生もおられることでしょう。このように、教科書の単元の内容配列をよく精査すれば、学習内容をどことどう結びつけていく方が、子どもの理解はより進むのか、あるいは、前時の内容をうまく活用できるかという数学的な思考力を育てやすいと思っています。さらに、単元の中で、どこに比重を置き、ここでは時間をとって深く主体的に考えさせようとグループ学習を取り入れるなど、軽重をつけることが結果的には効率よく学習が進むことになります。そのような教材の研究はどの教科でも必要となってきますから、教員はその時間にこそ時間を確保したいのですが現実は厳しいです。

 

すべての学習内容を同じ比重で取り掛かっていては、教科書をなぞるだけで終わってしまうし疲弊してしまいます。そこへ来て学級内の諸問題への対応が入ると学習に集中できない環境ができあがり、これまた重労働になってしまいますので、経営というマネジメントを学習以前に成立させることはなかなか難しいものです。

 

 私はキャリア教育というカテゴリーで再び現場に立ってみて、「この時間の後に(学級・教科)担任は次の授業が続くなあ。」と、教科指導だけではない日常のやり繰りに想いを巡らせました。しかしそれでも、学問を教えるということと、子どもが新しい定義や概念に触れていくことの学ぶという原点は実に面白いと改めて教育という営みの深さを感じたものでした。

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