Hyuga City Career Education Support Center
2026.03.12
今日は小学6年生が使用している算数の教科書「啓林館」の内容について考えてみます。教材という硬い話ですがお付き合いください。

6年生が、おそらく10月に学習済みの単元「比とその利用」について見ていきます。
「オーロラソースを作ろう」 おおっ!いいじゃないでしょうか。何とも気分をそそられるタイトルで。それとも「オーロラ」に反応したのは私だけでしょうか。
さて、その中身の問題です。(テキスト部分の画像がよくないので書きます)
【問題】(オーロラソース2人分)
ケチャップ…小さじ2はい
マヨネーズ…小さじ3ばい
どのような割合でケチャップとマヨネーズを混ぜたといえばよいですか。
さあ、お分かりですか?簡単ですよね。
「マヨネーズはケチャップの1.5倍の割合で、ケチャップはマヨネーズの3分の2倍になる。」でもよいのですが、大人ならすぐに、「2:3」とするでしょう。
そうです。ここで6年生に初めて「比」という割合の概念を教えるのです。
「2:3」を「ケチャップの量とマヨネーズの量の比」という割合だと教えるのです。大人なら簡単なように見えますが、果たして子どもはどうでしょうか。これまで「割合」と言えば、百分率(%)や歩合(割・分・厘)、小数倍、分数倍として学習してきています。そのいずれも、1単位の数で割合を捉えています(60%や3割2分など)。それが、ここで「2:3」という2つの数値を並記することによって割合を表すというのは、順序良く学習を積み重ねてきた6年生にとっては、そう簡単なことではありません。難しいと捉える子もいるはずだ、としっかり構えて教授することが大切なのです。
これ↓は、11年前「算数まとめ」としてノートに6年生が書いたものです。

不鮮明で読みづらいかもしれませんが、「比は分数を使うと簡単に出来た」「砂糖2:小麦粉5で、小麦粉150gの場合、砂糖は2/5と考えると簡単だ」のようにまとめています。
以前の同じ啓林館算数6年の教科書では、比の概念学習の冒頭では「分数倍」から比を扱っていました。つまり「比の値」からでした。
「一方の値から見たもう一方が何倍になっているか」という概念が比の値の考え方になります。正確には、「a:bの比の値はa/b(b分のa)」になります。上の画像の6年生が示した考え方です。したがって、マヨネーズとケチャップの割合で考えると、「ケチャップはマヨネーズの2/3になっている」という2/3が比の値であり、それを以前は比の学習の初めに帰納的に考えさせ、後から「2:3」という割合を比で表すという新しい割合の概念を教える展開でした。私はどちらかというと、後者の順序の方が過去の割合学習からすればスムーズに学習に入れると思っています。
では、なぜ今の教科書は初めから「2:3」という新しい割合の概念を教授するように構成しているのでしょうか。私はすでに現役でなく、現在の算数科の教科書副読本(解説書)を読んでいないので分かりません。解説書と書きましたが、教科書のほかにその教科の教授理論として教科書会社(専門家による)が研究した内容を解説した補助資料があります。分厚く、かなりのエネルギーで読まないと、その深い部分は理解できません。なぜそこにその問題を提示したのかということまで懇切丁寧に解説してあります。現役時代、教科書会社がこの理論的な部分をどのような意図で作成したのかを読むのは好きでした。なるほど、へえ~とか、それでもなぜそう提示する?などと考えながら読んでいました。
戻りましょう。
今回の算数6年教科書における「比」の概念配列は、私の予想なので外れていたらすみません。児童にとって「比の値」という言葉の持つ意味、ニュアンスの方が難しいと考えたのはないでしょうか。さらに、スポーツの試合では対戦相手との得点で「5対3」などという割合表示は、児童が日常的に触れていることを考慮したと思われます。ですから、ケチャップとマヨネーズ量は「2対3」の割合と表すことができる、と割合の新たな表現方法を提示する方がスムーズではないかとの判断で、比の学習の冒頭に持ってきたのではないかと想像します。
そして、その練習となる問題では、以下の問題が教科書にあります。
【練習問題】赤のテープが75cm、青のテープが60cmあります。
赤と青のテープの長さの比をかきましょう。
解答は「75:60」になるでしょう。(*ここではまだ「比を簡単にする」は学習していないので、「5:4」にはしません。)
練習問題の後に、
【学びを生かそう】身のまわりから、比が使われているところをみつけましょう。
となり、めんつゆ瓶に記載してある「水との割合」「めんかけつゆは、1:3」などのように児童から生活に使われている比について聞き出し、学びの日常化=「学びのリアリティ」を図って学習の終了となります。

教科書会社では、問題に提示する数値に至るまで微に入り細を穿った表示を研究しています。たとえば、1年生の繰り下がりのある引き算の最初は、「13-9」となっています。これは私の知る限り約50年変わっていない提示数値になります。なぜ引かれる数(被減数)が「13」なのか、なぜ引く数(減数)が「9」でなければならないのか、そこまで研究しつくされて提示されています。
授業を構成するにあたって、単元全体さらには1年間の学習全体を見通した上で、教科書がどのような配列になっているのかを理解した上で、自分はどう指導していくかというのが腕の見せ所となります。それが教材研究であり時間がかかることになります。教師である以上、そこに十分な時間をかけることが大切となりますから、そのために時間を確保することが課題となります。その他の事務業務に追われることが多くなってきた現場では、この時間の確保はなかなか難しくなっているようです。
次回は、教科書の単元構成について、もう少し深掘りしてみたいと思います。
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