日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.02.05

授業

 私は現職時代、授業研究を続けてきました。学校には、水曜放課後の時間に職員研修の時間があります。実に様々な種類の研修が一年間の中に組み込まれているのですが、その中の一つに「主題研究」というものがどの学校にもあります。現在の水曜研修の中身はあまり分かりませんが、私の現役時代のほとんどは、水曜研修は3分の2の割合で主題研究が主な研修として締めていました。では、主題研究とは何かといいますと、各学校ごとにテーマを決めて、それを一年間に渡って職員で研究し、年度末にその成果と課題を明らかにするというものです。テーマは市当局から指定される場合もありますが、ほとんどは学校独自に前年からの流れで設定したテーマになります。算数や国語、或いは生徒指導や総合的な学習の時間といったすべての領域の中から学校の課題に応じてテーマを設定します。そして、実際的な研究として、学期1回程度の研究授業が実施される場合があります。

 私は小学校が多かったので、研究授業は一年を通してかなりの数の研究授業が実施され、それぞれに研究授業の先生が割り当てられました。年度当初の研修会では誰にするのかを決める訳ですが、まず若手が勉強の場として手を挙げることが雰囲気で伝わりますし、敢えて率先してやらせてもらえるように名乗り出ました。そうすることで先輩方から授業前後の批評をいただきながら成長できたと思っています。

 その流れで突然、県から市を経て、誰か〇〇に関係する授業者はいないかとか、△△についての発表者はいないかとの話が舞い込んで指名されたり、推薦されたりすると、かなり大きな研究会に参加することになります。宮崎県全体で行う授業研究会で授業者になったり、九州大会で発表をしたりして、益々自信をつけていくことになります。

 こういうと凄腕教師のように聞こえるかもしれませんが、そうではなく、私が研究してきたのは、そこに子どもたちの姿があったからこそ成立していたことなのです。今回の授業では、この問いを立ててスタートし、解決の過程でこの資料を活用すれば解決困難な子どもにもヒントになるのではないだろかなどと試行してみるのです。それがうまくいくこともあれば、なかなか効果がでないこともありました。効果が薄かったら次はこうしようと授業改善をしていくのです。ですから、当然帰宅も遅くなります。しかしこれは、自分の納得、児童に対する学びの責任など、教師としてのプライドがそこにはあるので、決してブラック稼業などと思ったことはありませんでした。

 学校を異動になれば、当然その学校の中心的課題は変わります。それまでの学校で培った研究の素養はまったく役に立たない場合があります。研究手法としては生かせるのですが、教科、分野が異なると内容的な深い部分に立ち入れなくなることに直面します。こうやって小学校の場合は主題研究のテーマが教科指導になる場合が多いので、異動になるとまったく違う領域の研究になり鍛われることになります。中学校の場合、教科研究は学校単位では実施しにくいので、校内の主題研究は生徒指導や道徳、特別活動その他ということになる場合が多いです。私の場合、異動後すぐに研究主任になったりした時は、教職員の先頭に立って引っ張っていかなければならないので、「よく分かりません」などと言ってはいられず、まだネットが普及していない時代なので、専門書を読みあさり、近隣、他県の先進校を訪問して最先端の授業理論を持ち帰りそれを伝達、再構築したりして研究を進めてきました。

 やはり授業には理論が必要です。学生時代に研究室で学んだ宇佐美寛氏の『授業にとって理論とは何か』という教育理論の深さが、実際の現場に立ってから身に染みてくるのを感じた次第です。知識の系統性、教授する場合に必要なことなど・・・。あれから35年以上経っても現役のうちは授業にはこだわってきました。若手の時代ばかりではなく、若手に「年配者は研究授業をしないのか」と思われないように、歳取っても研究授業、公開授業を引き受けていました。また、新卒者の1年間の研修計画を立てて、多くの同僚先生に新卒者への授業公開を依頼する場合も私自身がトップバッターで授業を公開しました。それでも、うまくいったと思える授業はなかなかないものです。

 最近の学校は多忙を極めていて、十分な時間をかけて主題研究をする時間もないことでしょう。ともすれば、翌月の行事計画の審議ですら十分に時間をかけていられないのでしょう。次期学習指導要領の検討会の中で、これまではあれも必要、これも必要と「足し算の教育」で様々な諸教育が取り入れられてきたことを反省している内容を見ました。確かに学校は肥大化してきました。学校が背負うものが多すぎます。これからは、学校が指導すべきものと家庭がやるべきもの、そして地域が担うべきものなどを線引きして、学校でなければ行えないものだけに精選する「引き算の教育」へシフトする必要があるということも検討会で出されていたことに同感します。それが整理された上で、しっかりと授業の腕を磨く。そうすれば学級の経営も軌道に乗り、児童生徒も保護者も地域もプラスのサイクルとして好循環していくのではないかと思います。

 「国造りは人づくり」。投資する先は未来を担う子ども。多くの教育をカバーできるキャリア教育はその一翼を担うと足元を見直しながら支援していきたいと思います。私が各校を回りながら、よのなか教室の事前授業を行っていますが、この一時間はどうあれば次につながるか、課題を持ち帰り、改善を加えて次の授業についてまた深く考える日々になってきたと現役時代を思い出しています。

コメント

コメントフォーム

不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。
適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。

お問い合わせ CONTACT

お気軽にお問い合わせください。
0982-57-3522
受付時間 8:30~17:00