Hyuga City Career Education Support Center
2026.01.26
「学校に行く意味って何?学校にあまり行きたくなくなった。」
小学4年生の子どもが突然こんなことを言い始めたら、どう対応しますか?
先日のブログで少し紹介しました、ニールセン北村朋子さんの著書『経済力も幸福度も高くなる~デンマークのすごい教育』の中で、実際にC君という4年生の子が発した言葉です。
その子が担任の先生にこの言葉を話すと担任は、「あなたは何をしたいの?」と聞き、C君が「車が好き。」と答えたのに対して先生は、「じゃあ何かいい方法を考えよう。」と話した後、学校と協議し、C君に「しばらくこの町にあるカーディーラーに通ってみる?」と、C君を受け入れてもらえるようにディーラーと交渉していたのです。C君は町のカーディーラーに通い始め、メカニックの人が「いろいろな言葉の使い方や伝え方をしていること」を知り、「数式やエクセルをこうやって使うのか」と分かり、セールスの人は「地域の人たちがどんな暮らしをしているのかと、地理や歴史を知ることは大事だ」、「車を修理するには数学や化学の知識が必要だ」と、学校で学ぶ意味を理解していくのです。そして、3か月後に学校に戻るようになったということです。
同じ不登校でも、学ぶことに疑問を感じて不登校になっているのと、学習そのものが嫌いで不登校になっている場合など色々な状況があるので、C君の例のように、社会人と出会わせても感じ取れなければ、学ぶことの意欲には繋がらないのかもしれません。さらに、デンマークのように社会がすべて学びの場として機能していなければ、このような態勢づくりはできないでしょう。しかし、今の日向市では、「よのなか挑戦」で仕事を通して、「社会の中での生き方や、自己理解、課題対応、将来展望」などを学ぶように探究的な職場体験活動を実施しています。また、「よのなか教室」も、単に職業人に出会わせるだけの単発学習ではなく、事前学習と当日の学習、事後学習をセットにした“上記4能力”を学び取るようにプログラム化しています。それだけに、デンマークの不登校生徒のような個人的な支援はできていませんが、日向市でも社会とのつながりを強化したプログラムを提供する活動は一年を通して実施しているところです。
デンマークにも「職業実習/インターンシップ」が存在しているようですが、インターンシップ先は自分で見つけ、履歴書を作って自分で訪問先と交渉するそうです。かなりハードルは高いのですが、社会全体が子どもを育てるという認識があってこそ成立するものなのでしょう。気運としては、日向市の各事業所様も日向の子どもたちを育てるという意識は高くなっている思っています。
学びの視点から子どもが、子ども時代を子どもらしく過ごして大人になっているかという視点に目を向けるとき、ニールセンさんが取り上げているパン・グポン氏の言葉「ひとつ、子供はいますぐ遊ぶべし。ふたつ、子供はいますぐ健康になるべし。みっつ、子供はいますぐ幸せになるべし。…」が挙げられます。ニールセンさんによると「遊びを通して、子どもたちは交渉、妥協、そして衝突した時の解決方法を学びます」といい、「子どもは実に多くの社会的スキルを学ぶ」ということに同感します。
このようにして、子どもは人とかかわりながら成功や失敗を積み重ねることで生きる力を身に付けていくという「プロセスを楽しむことを学ぶ機会」を獲得していくことになります。子ども時代に「適切な遊び」を逃してしまうと心配なことになると、ニールセンさんは次のように疑問を投げかけます。「成人を迎えた後どころか、アラサーになっても、国民の大事な権利の行使の機会である選挙にも行かず、自分の意見も持たず、精神的にも社会的にも自立できない大人が日本に大勢いるのは、子ども時代、若者時代をちゃんと『完全消化』し、やりきった感覚を持てていないからではないでしょうか。」と。
そこから話は「未来や世界で通用する能力」として、以前ブログで紹介した「一期一会を楽しむために」につながります。初めての人ばかりの集まりやパーティなどに出席した際に、「参加することを決めた以上、能動的に関わっていくことが、暗黙の了解で求められているのです。一期一会を楽しむためには、自分から積極的に会話に加わっていく姿勢が必要になる」ということが当然の社会であるデンマークの姿に私は反省させられました。
先日、ご本人が来日されていてお会いする機会があり、短い時間の中で貴重なお話を伺うことができました。この著書に書かれていることがそのまま日本の、日向市の教育に当てはめることはできませんが、自分の身の振り方や法的枠組みの中でも取り入れられるところは積極的に実践に移していきたいと感じました。
一度、この本を読まれてみてはいかがでしょうか。子育てのヒントにつながることが見つかるかもしれません。
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