日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.01.13

初心忘るべからず

 この言葉は、室町時代に能楽を大成した世阿弥が、後継者のために記した芸の伝書の中に登場します。私は文字通りに「始めたばかりの頃」の気持ちを忘れないことだと思っていましたら、それだけではない意味があることを最近知りました。

「三つの初心」という概念が重要で、「是非初心」「時々の初心」「老後の初心」をそれぞれ忘れるなと教えています。これは単に「最初の気持ち」だけでなく、人生の各段階で経験する様々な「初心」の重要性を説いたもので、能楽のみならず、あらゆる芸事や人生全般に通じる深い教えとなっています。

なるほど、その時々に「初心」があり、老後にも初心があるのかと感慨深く感じ入っていましたら、その「初心」という言葉そのものにも意味があると、ある本で高校教師から能楽師になった安田登氏は話されていました。

「『初』という漢字は衣偏に刀と書き、着物をつくる布地に鋏を入れることを表しています。ですから、『初心』は自分の心に鋏を入れる、過去の自分をどんどん切り捨てて変化していけという意味で世阿弥は使っているんです。『老後の初心忘るべからず』とも言っていますから、九十歳、百歳生きている限りは過去の自分を切り捨てていけと。」

 

人間も常に最新の状態にアップデートせよということなのですね。深いです。私事ですが、新たに仕事を始めると、週末は体の疲労回復のために過ごすようになり山から遠ざかっていました。それで一念発起し先週末に阿蘇山へ向かいました。阿蘇五岳の一つ根子岳です。と言っても東峰の最短コースなのです。冬型の天候の荒れる直前だったので厳しくはないだろうと思っていましたが、登山道には先日のが残り、頂上が近づくと強風が激しさを増してきました。山頂はガス50m先も見えず、想定した朝日を受ける天狗峰(根子岳主峰)の構図の撮影は、自然の前に無残にも砕かれました。風は激しさを増してきたのですぐに下山にかかり、少し下った所の岩陰で休憩しました。寒さに震えながらの休憩でしたが、久しぶりの登山と冬山気分が私を初心に戻してくれたように感じました。これは「老後の初心」に当たるのでしょうか。昔、仲間とクライミングで、根子岳の東峰から西峰、西峰から東峰へと怪我無く縦走できたのは「時々の初心」の賜物だった訳で、それは懐かしく感じられます。

 

 翌11日(日)午前は、孫を連れて市役所へ行きました。日向商工会議所青年部によるYEGフェスが行われていたからです。ミニ動物園でひよこを触るのすらなかなか悪戦苦闘している孫は、今が「是非初心」の段階であり、これから実に多くのことを経験して逞しく育っていくのだろうと期待するばかりです。老婆心ながら、その時々の初心を忘れないようにして成長してもらいたいと願う爺です。

 

700年前の室町時代の能楽師(猿楽師)の人生訓は時を経て、令和時代の幼子の生きる指標となってくれるのは日本文化のもつ伝統と進化という不易と流行そのものなのでしょう。私も「老後の初心」を忘れずに精進します。

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