日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.01.06

キャリア教育と探究学習

 このブログでは探究学習について何回か触れてきました。本日は、キャリア教育と総合的な学習の時間における探究学習の関連性についてのお話になります。

 

キャリア教育と探究学習はイコールではありませんが、キャリア教育の学習手法として探究学習は重要な位置を占めるのは間違いありません。様々なメディアで「探究学習」という言葉を見聞きする機会が増えてきました。中には探究学習の弊害として取り上げているものもあります。これからの時代では、①課題を設定し、②情報を収集し、③それを整理・分析する ④そして、まとめ・発表する という探究学習が教育の重要な位置を占めることになるでしょう。以前、ブログにて、探究学習のメソッドと言う麗澤高校の実践を紹介しました。1 現状を知る 2 物事の捉え方・考え方を学ぶ 3 探究活動のしかたを学ぶ 4 自分の探究(研究)を行う というものです。いかにして解決可能な課題を設定できるかは、探究学習のもっとも重要なスタートとなります。

 

 昨年5月に、文科省の教育課程企画特別部会から出された資料『質の高い探究的な学びの実現』では、総合的な学習の時間において、「各教科等における見方・考え方を総合的に活用して、広範な事象を多様な角度から俯瞰して捉え、実社会・実生活の課題を探究し、自己の生き方を問い続けること」が重要だと提言しています。実際に、学習指導要領には、総合的な学習の時間の目標として「探究的な見方・考え方を働かせ,横断的・総合的な学習を行うことを通して,よりよく課題を解決し,自己の生き方を考えていくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。」と挙げられているので、これはまさにキャリア教育に匹敵する方向性ということになります。つまり、キャリア教育は「特別活動」(学級活動)の時間を中核にしつつ、総合的な学習の時間で探究的な学習を通して、具体的に生き方を考える学習を推進していくものだと言えます。つまり、探究学習の中で立てる「問い」は、より身近な疑問で確実に解決可能な課題を設定しなければ調査を持続することは不可能なのです。学習素材から地域をよく知るということに繋がるため、自ずと「地域を良くしたい」と言う意識が醸成されることを意味しています。自己のキャリアを探究学習によって積み重ねていくという好循環が生まれるのです。「国づくりは人づくり」と言われる核心の部分になるのではないかと思います。

 

 ところが、現在の総合的な学習の時間には直面する課題がいくつかあります。調べ学習で終わってしまうために、情報活用能力言語能力、そして問題発見・解決能力が他の教科等に十分に生かされていないのではないかということ。また、探究のテーマとしては、職業や福祉、国際理解が多く、ものづくり科学技術が少ない。さらに、個人の興味・関心が十分に反映されていないということも見られているようです。だからこそ、総合的な学習の時間を中核とした探究的な学びは、自ら課題を設定し、解決に向けて取り組む中で、自己の生き方や在り方を考えていくものとなり、ここがキャリア教育のねらいと一致する訳です。

 

 慶応大学田中氏が研究論文の書き方として紹介している「1テーマを決める 2答えたい問いに変換する 3文献調査をする 4研究計画を立てる 5データを集めて分析する 6論文に仕上げる」という一連の流れを見ても、情報収集に入るまでに多くの時間をかける必要性が分かります。「ゴミ問題を調べたい」はテーマであって「問い」ではありません。「なぜ私の町ではリサイクル率が50%を超えないのか」に変換されたときに初めて「問い」になります。身近な地域の課題に向き合ってこそ疑問が沸き上がってくるのであり、自分事として捉えた時から探究のプロセスが始まることに繋がります。「問い」の詳細については、またほかの機会に回したいと思いますが、身の回りに起きている事象に目を向けテーマから問いに変換し、それらが解決可能かどうかをあらゆる情報の収集によって調査をして初めて研究の計画が立てられるということになります。このプロセスこそ探究学習の成否を決める要因になります。

 

 キャリア教育が総合的な学習の時間の中で多くの時間を使いながら具体的に学習展開されることになりますが、それが十分に機能し効果を上げるためには、学校の体制づくりがもっとも重要になってきます。外部人材を活用する際にはどのような工程を経て、事前学習・本時学習・事後学習を構成すれば効果が上がるのかをご提案したいと思いますので、学校から連絡をいただければ有難いです。

 

 キャリア教育と総合的な学習の時間との関連性についての話は伝わったでしょうか。私も先進的な研究をされている方々からさらに学びたいと思います。授業者の先生にとっては、理論的な難しい部分より実際の学習活動をスムーズに展開したいと思われても構いませんので、当センターをお気軽に活用していただければ幸いです。

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