日向市キャリア教育支援センター ブログ

2026.01.05

夜行列車

 令和8年が明けまして、おめでとうございます。年末から冬らしく寒くなって参りましたが体調の方はいかがでしょうか。本年もどうぞよろしくお願いいたします

  

 少し前ですと私は冬山へ出かけ、年をまたいで帰るという生活でした。山男もここまでくると呆れかえる始末になります。年末年始の休暇でしか仲間が揃わないという理由があったので、こうした遠征を行ってきました。主な山域は北アルプスになります。初めの頃は、飛行機で大阪まで行き、JR大阪駅周辺の山道具の店で食料や山道具を仕入れます。当時はまだフリーズドライ食品は宮崎で手に入れることが難しかったし、インターネットも普及していないので、都会に行って新しい製品を手に入れるという形をとっていました。我が山の会には、しっかり者がおりまして、大阪梅田の街JR大阪駅周辺)にある4軒以上の山の店をくまなく一巡し、その中で最も価格が安いお店でそれぞれの食糧やガス、登山用具を手に入れるという念の入れようでした。その界隈を何周も回るので疲れ果てていきました。最後は阪神百貨店の地下街で食品売り場をまた、ぐるぐると周ります。つまり、入山一日目は持つであろう新鮮な食糧を手に入れようという算段なのです。「食い倒れ」の大阪で、そのど真ん中の百貨店デパチカなので、目にする食品が田舎者の私には宝石のようにキラキラとどれも美味しそうに輝いていました。慎重派山屋は簡単に手を出さず、徹底調査の上、一番安いなものをロックオンすると全員それに飛びつくという、何とも手の込んだ食料調達物語なのです。とっくに日は暮れ疲れた頃に買い物は終了となります。やっと地上に出て、年の瀬押し迫り夜の帳(とばり)が下りる頃、JR大阪駅前の横断歩道を、当時はやった登山用のプラスティックブーツ(スキー靴とほぼ変わらない)をカッポカッポ鳴らしながら歩くので、さすがの都会人からも「ねえ、あの人たちスキー靴履いてるやん。」とちらっと見られたりしていました。

 その後、朝荷物を預けた駅の端のコーナーへ行き、大きな60Lのザックをそれぞれが受け取って、購入した食料などをほぼ均等に分配しザックに収めます。それが終わると本当のひと段落となります。朝飛行機で大阪に着き、街をぐるぐると食料や新製品を探しにお店を回り、ぐったりとなってJR大阪駅に戻るという一日の街巡りが終わったのです。それから夜9時過ぎの長野行き夜行列車が出発するまでの時間が、食い倒れの街大阪で味わうほっと一息の時間となりました。と言っても、駅の居酒屋で入山前の前祝をするだけで終わってしまうのでした。すぐ後には、25kgを超えるザックを背負って、駅構内の階段を上り下りして北風の吹くホームへ向かうのですから、酔いも醒めてしまうのでした。

 当時まだあった夜行列車(ブルートレイン)は、ゆっくりと北へ向かって走り出します。初めは一両に30名ほど乗っていても、街を過ぎるとすぐに少なくなり、10名ほどしか乗っていないので次第に廃止になるのも仕方のないことです。車内の人が少なくなると、一人でボックス4名席分を陣取ることができるので、明日早朝に北アルプス麓の駅に到着するまでにいかに眠れるかはとても大事になります。ボックス席の隙間にザックを置き、なんとか少しでも体の水平を保てるようにして寝る体勢を整えますが、なかなか寝られません。先輩などは、平気で椅子の下に潜るようにして床に寝ていますから、恐れ入り屋の鬼子母神です。さらに昔の先輩の話を聞くと、列車が登山客で大混雑していた時代には、別の知り合いは列車の荷物を載せる網棚に寝ていて車掌に怒られたそうです。

 と、夜行列車の登山旅の話でした。肝心の登山の話には入れませんが、それからブルートレインが全国から次々に姿を消していったことは寂しくなったと思います。歌い手(ミュージシャン)は、昔は一年に1曲を新曲として発表すればよかったのが、もう3~4曲は当たり前の時代になり、CDも発売スピードが速くなって、今やCDすら低迷しデータ配信(サブスク)の時代へと移っています。また、航空機輸送は当たり前で、宮崎ですら呼び込もうとする新幹線という猛スピードの時代へ突入しています。確かにスピードが必要なものはあります。スポーツにもスピードが大切な競技はたくさんありますし、登山だって、雪崩などの危険地帯を通過する際にはスピード通過が命を守る一つの方法になります。しかし、一般生活においては、もっとゆったりと時間を過ごせないものかと、夜行列車の時代を懐かしく思い起こした次第です。

 地球自然のローテーションは10万年ごとだと聞いたことがあります。氷河時代のうち8万年が氷期で残り2万年が間氷期となるということです。現代の地球は間氷期にあり、あと1万年後には氷期に入るということらしいです。今は温暖化で苦しんでいますが、あと1万年で寒い時代が来るということです(長いですね…)。地球温暖化は深刻な問題ですが、動物はすでにそれに対応しようと進化の過程に入っているのではないかということをテレビで目の当たりにします。ホッキョクグマは凍らない海での狩りを捨てて川を遡上するサケを狙い、ニューヨーク摩天楼の狭間で狩りをするハヤブサの子育てが珍しくなくなっています。日本のが人里で餌を探すようになったのも、自然の変化と無縁ではないでしょう。私たちの文明もあと1万年経ったときに、今度は寒さとの闘いを強いられるようになり、それに太刀打ちできるのでしょうか。現在、温暖化対策に各国は力を入れていきながらも、経済優先でスピードが求められることにエネルギーを費やし、人間もまた進化を求められているのでしょう。

 そんな中で、対象とする相手に自然な形で対応を変化させながら柔軟に接していくことができるのは人間がもつ資質ではないでしょうか。速さを求める人がいる一方では、のんびりと過ごす人もいます。中公新書『ゾウの時間ネズミの時間』本川達雄著によると、動物の一生の呼吸回数は約5億回で、心臓の拍動回数は約20億回と決まっていて、ゾウもネズミもほぼ同じということだそうです。ゾウはゆっくり長く呼吸をし長命で、ネズミはせっせと速く呼吸をし短命である訳です。これは人間も同様だと言われています。であればゆっくりと呼吸をした方が長生きをするということになりそうですが、心拍数はそうはいかないので、どんなに呼吸を長くしてもそれだけでは長生きできそうになりません。では、長生きした気になるのはどうでしょうか。それはゆったりと過ごすことしかないかと思えます。飛行機より電車、車より自転車、徒歩…そういう意識や、焦らず何とかなるという気持ちも長寿の秘訣かもしれないと思っているところです。取り立てて人より長生きしたいと思っている訳ではありませんが、皆さん同様、昭和の時代を懐かしんだり、夜行列車に揺られて旅をしていた時代を「古き良き時代」と思うのは、やはり、せかせかと生きている現代への反省から来ているのではないかとも自戒します。せめて気分だけは、のんびりと行きたいと思う年始の抱負でした。「のんびりいこうぜ」天国の野田知佑さんからそんな声が聞こえそうです。…ただし、仕事はしっかり頑張りマス!

コメント

コメントフォーム

不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。
適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。

お問い合わせ CONTACT

お気軽にお問い合わせください。
0982-57-3522
受付時間 8:30~17:00