日向市キャリア教育支援センター ブログ

2025.12.23

探究学習

  探究学習が必要とされる背景には、AI・情報化の進展、グローバル化、社会の変化の加速により、「正解を覚える」教育から、「自ら問いを立て、課題を発見・解決する力」「主体性」「創造性」「多様な視点」が求められるようになったことがあります。文科省も学習指導要領で「総合的な学習(探究:高校)の時間」を設け、「生きる力」や未来社会を生き抜く力を育むことを目指しています。

 1111日に、ブログで「MAPの原理」~学びにリアリティを~を紹介しました。新聞記事から「浅いレベルの調べ学習で終わっていないか」というテーマでした。現状の探究活動がうまくいかない2つの理由について慶應大の田中茂範氏が「今の日本の探究プログラムの課題はメソッドがないこと」「評価方法が明確でないこと」と言われていることを紹介しました。

生徒が自ら、日常生活や社会生活に目を向け課題を設定するというのは、実は大変難しいことです。児童生徒に、「自分で調べたいことをテーマにしなさい。」と言えば、「なぜ空は青いのか」とか「なぜ空気は存在するのか」と、日常的に自分が常に疑問に思っていることに反する課題(テーマ)を設定する子がいます。つまり、探究学習をすることが目的になってしまっているのです。だから、本やネットで調べれば一定の答えが分かってしまうような課題を設定しがちになります。したがって、今自分は何を疑問に思うのか、何が自分にとって明らかにしたいテーマなのかを問う学習がまず必要となる訳です。そこに至るまでに適切なサポートをしなければ課題は設定できないし、そのまま進んでも「浅いレベルの調べ学習」で終わってしまいかねません。

 

 

本日午前中、中央公民館で行われた日向高校フロンティア科2年生による課題型学習最終発表会に参加してきました。午前中は個人発表で5名の生徒が発表しました。「粘菌」や「睡眠」、「教育」、「大判焼き」、「生理」というカテゴリーでそれぞれが調べた学習を舞台上で堂々とプレゼンしました。テーマ設定の背景や研究の目的、仮説、調査方法、結果、考察と、おおよその研究の流れに沿った発表がありました。そもそもの課題については、本日参加しただけでは、どのような過程を経て設定され、仮説から調査方法の範囲決定などの経緯は見えませんが、自分の興味ある課題を設定したのだということは発表から感じ取れました。それぞれが集めるデータ範囲の妥当性やデータ結果の有意性などへ、今後繋げていけそうな数値結果も見られましたので、今後の研究が楽しみです。

 

 探究学習については、一部の報道などで否定的な内容も見られますが、どんな教育カテゴリーにおいても、その有効性を突き詰めた学習を行えば成果が明確に出てくることは言うまでもありません。「問題解決学習」についてはアメリカの教育学者であるジョン・デューイ1920年代に提唱してから100年が経過しますが、未だに教育現場では「問題解決的な学習」として広く実践されています。完全に児童生徒が課題を設定する探究学習とスタートこそ若干の違いがありますが、子どもが調査研究を進めていくという点では似ています。問題解決的な学習についても長年その長短を言われてきましたが、要は子どもの生きる力となる学習として位置づけられることが重要で、社会に出てこそ意味ある学習だったと評価できるのではないかと思います。むしろ、社会に出た後もさらに学び続ける(リカレント教育やリスキリングなどと言われています)ことこそ、今後の日本では重要になるのでしょう。

 ずいぶん昔から、西洋諸国では、スキルアップしながら転職していくのは当たり前のキャリアアップだと言われていました。実際、私が25年前にカナダからの登山旅行で日本に戻る時に、航空機の隣席にいた外国人から職業年数を聞かれたとき「25年になる。」と答えると「オーマイガッド。」と言われました。彼にとっては、そんなに一か所に長く勤めるなんて、信じられない、ということのようでした。何も転職を勧めている訳ではなく、社会人となってからも学び続けることこそ大切だと言いたいのです。わざわざ私が言わなくとも、日向市内にも仕事の後に勉強されている方も大勢おられるようなので、大丈夫な日本いや日向かもしれません。

 

 昔、日向市内のある小学校でいち早く英会話の学習が導入され、2年生に英会話の授業をALTと一緒にしている時、一人の女の子が「Thank you」の発音に悩んでいました。「『ス』と『サ』の間の音を、舌を引きながら発音する」というようなことをALTの先生に教えられても、2年生にはなかなか無理でした。しかたなく私は助け船を出して、「『ス』の口をして『タ』と言えばいい」と収めようとしたら、その子はとうとう「タンキュウ」になってしまいました。(本当の話)  お後がよろしいようで…。

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