日向市キャリア教育支援センター ブログ

2025.12.18

子どもの特性を理解し環境を整える

  

    子を残し先に逝く。どんな思いでしょうか。亡くなる前は胸を引き裂かれる思いばかりではないかと苦しくなります。

  雑誌に、特定非営利法人福祉広場理事長 池添素(いけぞえ もと)氏の話がありましたので紹介します。

   保育について勉強していく中で、保育実習で訪れたある知的障害者施設に、奇しくも父と同じ名前の男の子がいました。男の子は、石でも釘でも地面に落ちているものを何でも拾って食べてしまいます。汚いからだめと伝えても、全くやめてくれません。この時、自分の無力さを痛感すると共に「なぜそんなことをするのかを知りたい。理由を知って何とかしてあげたい!」という思いが沸き上がってきたのでした。なぜそんなことを-?この問いが私の活動の原点であり、いまも子どもの立場になってなぜ?を問う姿勢は一貫しています。(略)

 もう一人、いまも忘れられない子がいます。その子は母子家庭で育ち、お母さんはすごく仕事のできるキャリアウーマンだったのですが、保育園に通い始めた頃から自己主張が強くなり、友達とのトラブルが絶えませんでした。その後、小学一年生から不登校になったのですが、私は「あの子がやることは何でも認めてあげてください」とお母さんにアドバイスしました。(略)その子は海外のオンラインゲームに興味を持つようになり、それを通じて世界中に友達ができ、英語ができるようになったのです。(略)お母さんはわが子に寄り添うために一時仕事を辞め、専業主婦(専業母)になりました。経済的には苦しい状況でしたが、それからその子の状態もだんだん落ち着き、中学生の年齢になる頃、「お母さん、働いていいよ」と言えるまでになりました。ところが、働きに出るようになった矢先に、お母さんにがんが見つかり、闘病の末、四十代の若さで亡くなってしまったのです。

(略)彼は通信制高校で一所懸命に勉強しています。(略)彼がいま前を向いて歩んでいっているのも、きっとお母さんが彼のことを最後まで諦めず信じ続け受け止めた結果だと思います。

  子どもの特性を客観的にしっかりと見極め、「自分で決めさせる」「ひたすら待つ」この二つが大事だと言われますが簡単なことではありません。ここには絶対的な覚悟が必要になります。昨夜テレビで、初めて犬を育てるという番組がありました。犬を育てることで子どもが成長するということが紹介されていました。ペットもその家で一生を終えることになるので家族同然です。生あるものと接するという覚悟が必要になります。覚悟を決めて子どもを育てることは、自分の子どもに責任をもつことになります。子どものペースで継続できる環境を整えながら共に歩む道のりは長いようで短いです。

  「子育ては18歳まで」 これは私が懇談時に保護者によく話した言葉です。18歳を過ぎると、就職や進学で親元を離れる場合が多くなります。もちろん親子の関係は一生続くのですが、直接面倒をみる機会は、18歳を境に激減します。20年ほど前、高校総体が終わった(県大会で敗北)6月に行われる保護者と監督(先生)の慰労会では、飲み会の賑わいはなく沈んでいました。私が近くの保護者に「どうしたんですか?」と聞くと、「もうこれで子どもの応援ができない。」と暗く悲しい表情で答えられていたことが今でも忘れられません。ですから、6年生の保護者に「あと6年で巣立ちますよ。今は少年団や習い事の送迎などで忙しいという思いが先行しているかもしれませんが、6年なんてすぐに来ます。一日一日を大切に、今を頑張りましょう。」と伝えていました。

  親が子どもにできることは、子どものことをよく理解し環境を整えることです。それは親にしかできない価値でもあります。

  必要以上に傍にいて守らなければならない子どもを残して先に逝ったお母さんは、さぞ無念だったことでしょう。この時、母と対面し泣き崩れた少年がその後、前を向いて歩いていく姿をお母さんはどこかで見ていたでしょうか。

  親は、わが子に自分らしい生き方をして欲しいと願うものだと思います。共にがんばりましょう。

親が落としたブドウの種から実ったぶどうの実を子が食べた時、親を思うのでしょうか。

「きつねとぶどう」 生成AIで作成

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