日向市キャリア教育支援センター ブログ

2025.12.16

自分事

 
  皆さんのところではインフルエンザは迫ってきていますか?もう通り過ぎましたか?市内では猛威をふるっているインフルエンザに戦々恐々とする毎日かもしれません。大学、高校の受験生のいるご家庭では心配なことでしょう。基本的な予防をするしかありませんので、くれぐれもお気を付けください。

 さて本日は、物事を自分事として捉えることについて、朝日新聞eduAという記事がありましたのでお知らせしたいと思います。

福島県・茨城県中学生28人がウォルト・ディズニー・ジャパン社員のアドバイスを受けながらキャラクターや物語を制作するワークショップ8月、東京都内で開かれました。福島県いわき市のチームは、高校受験を控え、サッカー強豪校に進学するか悩む、中学3年生の思いを描く物語を考案。過去のケガや失敗から本当の思いを両親に打ち明けられない主人公を応援するキャラクターとして、クマの妖精「ムタティオ」を生み出した。キャラクターのイラストには生成AIを活用し、スライドや音楽を織り交ぜたプレゼンテーションを使って、自分たちで考えた物語を発表した。同中学3年生は「社員の方から『自分事に置き換えて考えてみて』というアドバイスを受けて、説得力をもった作品に仕上げられた。0から1を生み出すことは難しかったけれど、その経験を将来に生かしたい」と話した。

この記事を紹介したことには理由があります。最後の「自分事に置き換えて考える」という部分は、日向市のキャリア教育で活用する視点と同じだからです。よのなか教室(職業講話)やよのなか挑戦(職場体験学習)には共通する事前学習の視点があります。それは、職場環境の中で他者をどう理解し自分が社会の中に活躍の場を見いだすかという「相手を尊重し社会を理解する力」や、自己を正しく理解し自己管理を行っていく自分を正しく知りコントロールする力」、さらに、自分が克服しなければならない課題にどのように対応していくかという「課題を見極め解決の工夫をする力」、そして、これからのキャリアをどう発展させていくのかという「働く意義を知り将来を切り拓く力」。この4つの力を講話や体験で学び取るように事前指導を行います。

 その講話や体験が終了した時、児童生徒は果たして自分が4つの力を獲得できたのか把握しにくい場合がでてくるので、自分が納得できるように置き換えて考える必要があります。それが「自分の身に置き換えて」という視点になります。それは、「相手をどのように尊重すればよいかや自分は周囲との関りができているか」や、「自分の役割をよく理解することや自分をコントロールするために必要なことは何か」、さらに「現在の自分の課題が分かり、実行していくために必要な工夫」、そして「働く意義とは何か、道を切り拓いて将来を設計するために必要なことは何か」。こうやって4つの視点を「自分事として置き換えて考えてみる」ことで、自分の中にこれから頑張っていくことは何かという「軸」が出来上がると期待しています。

 学校では、教育課程の中に成長のために必要な体験プログラムを様々な行事・学習という形で組み込んでいます。それを面倒くさい行事としか捉えられなければ成長は期待できないでしょう。目の前にある課題(体験活動)を自分事として捉えて成長につながる収穫を得てくる。そういう前向きな捉え方を主体的な活動と呼びます。

 人生は長いようで短い。それを分かっている大人であれば、なお更、子どもたちには充実した人生を送らせたいものです。そう語ってみたところで、今もがき苦しむ流れの中にある子どもたちは、長い旅の途上の真っただ中にいます。私は早く成長してもらいたいと焦るあまり、子どもに大人の価値観を押し付けたように思います。大人の尺度で大人の価値観を振り回したところで、先のことなんて分からない今を生きる子どもたちには響かないことが多いと後になって分かってきました。人生の先輩として子どもに話すことは沢山あるでしょう。大事なことは、その話の内容を子どもが自分事に置き換えて考えてみる時間を作ることだと今は言えます。難しく言えば「内省化」の時間を作ることが大切です。平たく言えば、「どんな意味か考えてみない?」と子どもが振り返る時間を置くことです。そして、数時間あるいは一晩おいて聞いてみることです。「どんげ思った?」と。話しても言うことを聞かない。家のことを手伝わない。これらは、しっかりと本人が自分事として受け止める時間や空間を作っていないことが原因かもしれません。反抗期とよく言いますが、まったく反抗期のない子どもも実際にいます。残念ながら反抗期だと自分で認めている子どもも多くいます。後者の場合、大人が分かりやすく話した内容はほぼ理解しています。自分で反抗期だと認めている以上、受け入れる態度がとれないのです。大人は「子どもは分かってはいるんだ。」と自分を納得させるしかありません。それでも、これからも話を続け、「自分事」として受け止められるような伝え方を心がけていきたいものです。

 まずは、そういう私たち自身が、職場や周囲の人の言うことを自分事として受け止め、考えられる人間であることが、子どもへのアプローチとしては遠くて近い道なのかもしれません。自戒の念を込めて…。

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