日向市キャリア教育支援センター ブログ

2025.12.09

日向はまぐり碁石は世界の宝~よのなか教室 財光寺南小学校5年生

  125日(金)午前、財光寺南小学校5年生のよのなか教室に参加してきました。この日のよのなか先生はミツイシ(株)の黒木宏二様です。単元は「世界でオンリーワン日向はまぐり碁石について」です。黒木さんは財光寺南小学校が母校ということで、力も一段と入っているようでした。子どもたちも「母校」と聞かされ親しみを持った反応が返ってきました。私も教員になり立ての頃から社会科を通して日向はまぐりについては、工場見学などかなり熱心に回りましたが、今回の講話では知らないことが次々と出てきました。

 囲碁では黒が先に打つと決まっていて、黒が181目(モク)に対して白は180目になり同数ではないということ。全体に広がると、白が膨張色のため大きく見えてしまうことから、黒の方が白より0.3mm直径と厚みが大きくしてあるということ。囲碁人口は、世界で3600万人いて、中国は2000万人、韓国が900万人、日本は200万人ということ。もともと囲碁は中国から入ってきたが、現在は日本の文化として世界に広まっていること。「一目おく」や「(打ってもダメな場所として)駄目」など囲碁から生まれた言葉が多いこと。そのほかにも、戦国大名が囲碁を好んでいたことやアインシュタインなど著名人も趣味としていたことなど、囲碁の世界の広さと深さを教えていただきました。

 日向はまぐり碁石の歴史としては、海岸地形からお倉ヶ浜にはまぐりの貝殻が大量に存在していることに目を付けた黒木清吉さんが製造技術を学び広めたそうです。ところが今から50年ほど前には貝殻が捕れなくなってきてメキシコから輸入するようになったとのことでした。しかし、貝殻のはまぐりから碁石を製造する技術は脈々と受け継がれ、これができるのは世界でも日向市だけだそうです。しかも、実際に作れる職人は4~5名しかいないとのことで、4人は日本の伝統工芸士に認定されているそうです。120年の歴史がある日向はまぐり碁石の製造は残していきたいというのが黒木さんの願いです。

 その伝統工芸士である職人が「何事も真面目に一生懸命に目の前のことに向き合う大切さを知って欲しいです。」「何十年経験しても、最高の職人になれるように頑張っています。」と言われていることを紹介してくださいました。一つの道を極める方こそ、一層の高みを目指す姿勢というものを崩さないのだと感じました。

 日本人の囲碁人口が少ない状況の中、海外では人気があるようで、会社としては台湾やイギリスなどへの販路拡大を目指し、HPも海外向けのアピールをされているようです。また、会社では碁石の新しい挑戦として金箔プラチナ箔の鮮やかなものの開発や、碁石以外の食品にも力を入れているとのことでした。

 これらの熱のこもった講話から子どもたちも刺激を受けたようで、「人間性はどうやって高めましたか?」と核心に触れる質問も出ました。黒木さんは「『ごめんなさい』や『ありがとう』など当たり前のことができる人を目指しています。掃除は毎日して、ゴミは拾わないと物に対する感謝の気持ちをもつことができないようになるのできれいにしています。するとゴミに気づくようになります。そうやって、人間性は少しずつ高めてきました。」と分かりやすい例で教えてくださいました。

 また、「『ミツイシ』の由来は?」との質問は私も聞きたかったことで、「〇●〇(実際は左の丸に横線が入る)が元々の碁石作りの屋号になっていて、碁石ばかりでない製品の製造に取り組むためカタカナの文字にしました。」とのことで、深い話です。さらに、「製作の時間はどれくらいかかりますか?」との質問に「削ってできた石をより白くするための漂白と乾燥に時間がかかり、特に冬場は時間がかかります。2~3カ月はかかります。」という予想を超えた工程作業の時間に子どもたちは驚いているようでした。最後には「なぜ大きなはまぐりから1個しか石を作らないのですか?」という大人も疑問に思うことを質問してくれました。黒木さんは「貝殻の中央が一番分厚くて、そこから作る厚い碁石が一番値打ちがあるから1個だけの貴重な碁石を作るようにしています。」との回答に「う~ん。」と納得したような感嘆の声が聞こえた気がしました。

メモを熱心に取る児童

 財光寺南小の5年生では来年1月にもよのなか教室を開く予定です。当日のみでなく、事前学習をしっかりと行った上で当日の授業に臨むというモデルになるような学習を計画しているようで頼もしいです。当センターとしてもとても力が入ります。子どもたちが世の中で活躍する本物の職業人から直に学習を提供されることで、学校では学べないキャリア発達(自分らしい生き方の道筋)を獲得していけるだろうと期待しているところです。

 今回は日向が誇る伝統工芸の日向はまぐり碁石の製作とそれにかかわる人の生き様について黒木宏二様より学習を提供していただきました。日向のはまぐり碁石は世界の宝だということを実感しました。本当にありがとうございました。

【追伸】ウチ(商工会議所)の奈須春樹名誉本因坊七段格が、先日のアマ宮崎本因坊戦で昨年に引き続き連覇を達成し、通算で6度目の王座に就きました。おめでとうございます。(宮日新聞12月8日掲載)

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