Hyuga City Career Education Support Center
日向市キャリア教育支援センター長
突然、浦賀に現れた黒船に肝を冷やした江戸幕府。国を開くかどうかの決定を先延ばしにし、喧々諤々の議論を尽くしても、なかなか結論には至りませんでした。太平の眠りをむさぼっていた間に、欧米では産業改革が急速に進み、アジアやアフリカ諸国が次々と植民地化され、我が国にも危機は迫っていたのです。
しかし、日本は不平等条約の怪我を負いながらも危機を回避できました。しかも、圧倒的な科学力と軍事力をもつ列強各国に驚異的な速さで迫っていきました。
なぜ、こんな奇跡が極東の島国にだけ起こったのでしょうか。私は、そのヒントは日本の津々浦々に張り巡らされた学びのシステムにあると思っています。薩摩には郷中教育が、長州には圧倒的な数の郷校、寺子屋、私塾などがあって、大きな時代の変化にも動じない肝と基礎学力が培われていました。だからこそ、短期間で欧米の文化を学び、日本風にアレンジして時代を進めることができたのでしょう。明らかに実力の違う相手、これまでの常識が通じない現実を前にして、腰が引けなかった先人を誇りに思います。
今の世の中は加速の時代と言われています。半導体の処理速度は毎年2倍ずつ増え、できることが指数的に広がっているからです。10年ひと昔ですらありません。グローバル化が進んだ結果、黒船は毎年のようにやってきます。そんな中、これからを生きる子供たちは、全く予測できない世の中に自分の船を漕ぎださなければなりません。しかも、送り出す大人も次代を予測できませんので、ナビなしの出航です。
しかし、怯む必要はありません。何事も成否は、準備にかかっています。
この地に住む大人として、次代を担う子供たちによい準備をさせましょう。地元日向の大人たちの多様な価値観に触れさせ、魅力に気付かせ、今の自分をどう磨くべきか、未来に備えてどう生きるべきかを真剣に考えさせましょう。
薩摩や長州ではなく、これが日向のキャリア教育であり、答えのない時代に踏み出す力に繋がるはずです。
そのためには「日向の大人はみな子供たちの先生」のスローガンのもと、日向市民総力戦で日向の子供たちの未来づくりを進めていけるよう尽力いたします。
ご協力をお願いいたします。
日向市教育委員会教育長
子どもたちはもちろんのこと、大人も含めて「人」は「人」とかかわりながら、また、「人」に指導されながら様々なことを学び、育ち、変容し、成長していきます。指導したりかかわり合ったりする「人」によって、考え方も行動も大きく変わっていきます。子どもたちの成長には、教師はもとより、周りの大人が与える影響は本当に大きいと実感しています。
それだけに、教師も親も、地域の大人たちも、全ての日向市民が、自ら学び、自ら成長しながら、責任ある後ろ姿を子どもたちに示し、関わっていける、そんな日向市であり続けられるたら素晴らしいと感じています。
日向市は、産・官・学、及び地域が連携して子どもたちを育てていこうとする気運が強い街です。日向商工会議所も、キャリア教育支援センターを設置して積極的な取組を推進していただいており、平成29年1月には、これまでの取組が国においても評価され、全国の最優秀賞の栄に輝かれ、文部科学省・経済産業省から表彰を受けられました。
日向商工会議所の壁面には「日向の大人はみな子供たちの先生」という日向市のキャリア教育のスローガンが掲げてあります。子どもたちだけではなく、大人としての目指すべき姿をスローガンとして掲げ、意思表示できている街は、全国でも他にないと誇りに思っています。
この理念を実現するためには、まず教職員は自分の指導力に責任がもてるように自分をブラッシュアップさせ、人間性も磨かなければなりません。保護者や地域の方々も含めた日向の大人たちも、まずは自らしっかりと学び、成長していく機会をたくさん作っていかなければなりません。日向の大人が積極的に学び、成長しながら、一体感をもって子どもの教育に関わっていける、そんな日向市であり続けられるよう、日向市キャリア教育支援センターと連携を図りながら教育行政を進めていきたいと考えています。
日向商工会議所 会頭
「ふるさとで職を見つけしラッキーな同級生は津波で死ねり。」これは、あの3月11日の震災のあとで新聞の歌壇に掲載された一般の方の短歌である。人間万事寒翁が馬と、いうことなのか。
私たちは君たちを少し甘やかし過ぎたかも知れない。就職しても3年以内にその職場を去る子供達が半数近くいるらしい。嫌ならやめる。向いていないからやめる、というが、それが判るほど嫌という程、やったのか。
やりたい事が判らないのは、あたり前だと思う。ただ君たちは求めて最前列にすわっているか。真正面から愚直に、素直に生きているか。弱い人間は素直になれない。幸福(しあわせ)になろうとしない人間は幸福になれない。
キャリア教育とは自分自身を知る為の終りのない堂々めぐりの自分探しの旅だ。自分が何に反応するか大いに迷い惑ってほしい。それは、あの坂にのぼれば届くのではと思う「坂の上の雲」のようなものかも知れない。何度も言うが、やりたい事が判らないのは、あたり前だと思う。
いい大学に入ることは人生のほんの小さな必要条件になっても、もはや十分な条件ではない。人間は何を注文しても人が注文したものの方が良く見える。それとコンプレックスを自覚してほしい。それを持っていない人間は、いない。ある意味では、それが大きい程、前進するマグマは激しい。それを自覚することは間違いなく君たちを強くする。
「将棋」や「碁」などで何十手先を読む事を「長考」というが、多分君たちが自分の進む道が見えないのは「長考」ではなしに「混乱」だと思う。
その霧は完全に晴れることは、ないのかも知れない。しかし幾分かの整理はこのキャリア教育でつくと思う。
天職とは英語でコーリング、又はヴォケーションとか言われ、どちらも呼ばれることを意味する。真摯に生きよう。そうすれば、いつか遠くで君たちを呼ぶ声が必ず聞こえてくるはずだ。その時は、それこそ「縁」という名の運命を信じて迷わず勇気を持って踏み出すだけだ。
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